[外:6D5AA3FF99A144BD5138562787F58590](シャッター音)
(母)何してんの?
(あきら)あっ。
えっ?
ん? 月?まあ いや… ちょっと…。
今日は スーパームーンじゃないわよ。
知ってるし。
あんたでも
願い事なんてするんだね。
(あきら)するし…。
お風呂 先 入っちゃうね~。
あっ あんた 早いとこ
それ 持ってってよね。
ん?
♪♪~
(音響式信号機の音)
(近藤)橘さん!
ごめんね~ 遅れちゃって。
ハハッ…。
すいません。
急に誘ってしまって。
(近藤)いやいや えっと 今日は…。今日は!
メ… メールにも書いたとおりあの…。
友人として お薦めの本など
教えていただければと!
うん 任せてよ。
いやぁ それにしてもいい天気だね~!
結構 出店数あるなぁ。
あっ。
おっちゃん!
(店主)ん? おお!
何だよ!
おっちゃんも出店してたんだ!?
(店主)おうよ!
出稼ぎってやつよ! ヘヘヘ!
出稼ぎって…。
こないだ 馬場に行ったとき→
のぞいたら 閉まってたろ?
つぶれたかと思ってたよ。
グハハハ。 つぶすかよ。
もう 年だからな夜は やってねえんだよ。
何だよ 心配させ… あっ。
学生のころ よく通ってた古本屋の親父さん。
あっ こんにちは。
おー あんたこんな立派な娘がいたのかい。
年取るわけだ。
娘じゃないよ 職場の…。
友達です!
友達?
ふーん。
まっ…まあ いいじゃないの!
で いい本 持ってきたんでしょ!?
(店主)もちろん。→
違いの分かる本好きのために→
いい本たくさん持ってきたぜ~。→
それはね 昔の人が実際に出した
古はがき。
へえ~ 面白いもん置いてるね。
(店主)古道具屋の友人の委託だよ。
うん うん… うーん シンプル。
ハハッ いい味 出してんなぁ。
そういや 橘さん→
「世界で一番短い手紙」って知ってる?
いえ。
ヴィクトル・ユーゴーだな。
うん。
フランスの作家なんだけどね。
本の売れ行きが
気掛かりだった彼は→
出版社に「?」とだけ書いた
手紙を送ったんだ。
それに対して 出版社は
「売れ行きは好調」という意味で→
「!」とだけ書いた手紙を送った。
つまりねユーゴーと出版社の間に→
きちんとした信頼関係が
できてたから→
たった一文字でも
意思疎通ができたんだ。
…って まあ これが→
「世界で一番短い手紙」っていわれてるんだけどね。
きっと この短い文章の中にも
2人にしか分からない→
いろんな思いが
詰まってるんだろうね。
(店主)ひょ~ 相変わらず
ロマンチストだね。
えっ? 今 そんな感じだった?
(店主)イヒヒヒヒ。ああ そういや あっちに→
あんたの好きそうなのがあるよ。
ホント!?
♪♪~
店長 この はがき…。
(店主)駄目 駄目。
ああなっちまうと 周りの声も耳に入らなくなっちまう。
♪♪~
(店主)ん~ こりゃ夢中になってどっか行っちまったかもなぁ。
えっ!?
あっ。
[外:6D5AA3FF99A144BD5138562787F58590]
(笛の音)
(部活動をする生徒たちの声)
♪♪~
♪♪~
う~ん…。やっぱ おっちゃんのとこが…。
う~ん… あっ しまった!
つい…。
[外:6D5AA3FF99A144BD5138562787F58590]
ん?
[外:6D5AA3FF99A144BD5138562787F58590]
やつは まだ見つからんかい?
あ… たぶん
もうすぐ戻ってくると思います。
(店主)ん? しっかし わしも
長年 この仕事をしてきたが→
やつほどの本の虫は
そうはおらん。
へえ…。
確か→
自分でも書いてたはずだしのう。
ああ そうそう。小説家を目指してるとかでな…。
小説家…。
ごめーん!ご… ごめん…。
つい 夢中になってしまって!
すいません!
いえ 大丈夫です。
そういうことって誰でもあると思うので。
できた娘さんだ。
何かいい本 買えました?えっ?
いやぁ それがね
やっぱり ここの品揃えが一番!
ってことで おっちゃん
この本 まけてくれない?
(店主)ん? 駄目!
お願い! 一生のお願い!
(店主)絶対に駄目。
おっちゃん 頼むよ。
まけてくれよ~!
こんな本 俺しか買わねえって!
バッキャロー!
こいつは初版本だぞ!
あっ じゃあ 古はがき
一枚 おまけで つけてやる。→
それでいいだろ!
え~。
よし 買った!
(店主)まいど~。
この商売上手!
(店主)この本バカ!
橘さん はがき選んでよ。
えっ。
今日のお礼というか
おわびというか…。
俺ばっか楽しんじゃったからさ。
橘さん いいのあった?
じゃあ これ…。
早いね。さっきから気になってて。
うーん…。
うん いい手紙だね。
♪♪~
♪♪~
昨日のあれ 見た?
(部員)ああ 見た見た。
♪♪~
(部員)喜屋武 早く~。
(はるか)あっ はーい!
(諸星)足の方は何も問題ないかな?
はい。 特に。
(諸星)傷の方は→
治ったといえるね。
はい。
んじゃ 定期検診終わり。
また次回ね。
はい。
これからバイト?
はい。
続いてるね。
ファミレス… だっけ?
はい。
失礼します。
あきらちゃん結局 陸上部復帰へ向けての→
リハビリはしないんですかね。
(諸星)…って言ってるね。
やれば
また走れるようになるのに…。
こればかりは 肉体的な問題
だけじゃないからなぁ。
本人に その意志がないと
なかなか難しいよ。
(店員)はい お待ち。
[外:2EFC3F9CB8EA7F1AF59B0E3919EBAAA9]♪♪(音楽)
[外:2EFC3F9CB8EA7F1AF59B0E3919EBAAA9](女性)
それでは あらためまして→
本日 スタジオに
お越しいただいております→
作家の九条ちひろさんです。
[外:2EFC3F9CB8EA7F1AF59B0E3919EBAAA9](ちひろ)どうも。(せき)
[外:2EFC3F9CB8EA7F1AF59B0E3919EBAAA9](女性)九条さんにとって
小説とは→
ずばり 何なんでしょうか?
[外:2EFC3F9CB8EA7F1AF59B0E3919EBAAA9](ちひろ)難しい問題ですね。僕は小説と共に歩んできました。→
楽しいときも つらいときも
ずっと 小説を書いてきました。→
僕にとって小説とは…。→
恋人のようなものです。→
それは きっと
この先も変わりはしません。
[外:2EFC3F9CB8EA7F1AF59B0E3919EBAAA9](女性)わあ! では ずっと
両思いの関係ってことですね!
[外:2EFC3F9CB8EA7F1AF59B0E3919EBAAA9](ちひろ)いやぁ~。
そう思っていただけるものを→
書き続けたいですね。
アハハハ…。
[外:2EFC3F9CB8EA7F1AF59B0E3919EBAAA9](女性)本日のゲスト
九条ちひろさんでした。
[外:2EFC3F9CB8EA7F1AF59B0E3919EBAAA9](ちひろ)
ありがとうございました。
ごちそうさん。
(店員)はい まいど。
《小説は 恋人か…》
《かつては 俺も そうだった》
♪♪~
《四六時中 小説のことを考えて書きまくっていた あのころ…》
ん… よっと… あっ…。
あちゃ~。
ん… よいしょっと… ん?
《それが いつからか…》
《俺の片思いになってしまった》
《それでも 追って 追って追い掛けて…》
《周りの人間も傷つけて…》
俺の文学への思いは誰も救うことができないのか?
♪♪~
158円のお返しです。ありがとうございました。
♪♪~
≪(ドアの開く音)
お疲れさまです。
お疲れ~。
あの 店長…。
ん?
あの これ
あのときに買ったんですけど…。
あのとき… ああ 古本市?
はい。
おっ 漱石の『それから』
前期三部作の一つ。
タイトルだけで買ってしまって…。
読んでみた?まだ… 少し難しくて…。
あっ。
ん? しおり…。
こりゃ ずいぶん使い込んだ…。
最初から入ってたみたいで…。
持ち主は きっと たくさんの本を
読んできたんだろうねぇ。
これって やっぱり お店に
返した方がいいんですよね?
いや 返さなくていい。
これはこの本に含まれるものだよ。
いわば この本がたどった
歴史そのものだ。
これも
古本の持つ醍醐味なんだよね。
クローバーって柄もいい。
大事にするといい…ん? これは…。
大発見!
ん?
ほら…。
ツバメ!
うん。
透かし… っていうより→
古くなって
箔が剥がれたんだろうね。
ツバメといえば そこのドアの所にツバメの巣があったんだけど…。
えっ そうなんですか?久保さんが壊しちゃったんだ。
えっ!?
フンがひどくてね。
飲食店だから仕方ないけどね。
悲しかったなぁ。
ああ! いやいや
ひなが 皆 巣立った後ね!
一羽だけ
なかなか飛び立たなくてね。
冷や冷やしたもんだけど
無事 みんな巣立っていったよ。
もしも…。
ん?
仲間と一緒に飛び立てなかったら
そのツバメは…。
どうなってしまうんでしょうか?
飛び立てなくても…。
その地にとどまって 得る幸せも
あるかもしれないね。
仲間たちのことも忘れて…。
でも そのツバメの飛び立たなかった理由が→
ただの諦めであったとしたら…。
きっと 毎日空を見上げることになる。
ずっと 永遠に…。
何てな。 アハハハ…。
ごめん しゃべり過ぎたね。
ああ これ ありがとう。
ん~ 古本市のときといい
最悪だな 俺は。
店長。
ん?あたしは→
店長の言葉が聞けて
うれしいです。
えっ… 俺の?
店長の言葉をもっと聞きたいですし→
いつか
店長の言葉を読んでみたいです。
俺の… 言葉を?
店長がメモを取るのはいつか書く小説のためですよね?
こんな俺の…?
そんな店長だからです。それから…。
本当に飛ぶことを
諦めたツバメは→
きっと 空を見上げることも
忘れてしまうでしょうから。
《ツバメは知っている…》
《雨の当たらぬ場所は日も当たらぬ場所だと…》
あたし 店長の書く小説
きっと好きです。
♪♪~
フッ… ハハ…。
《許されたい… なんて
そんな大げさなことじゃない》
《けれど ずっと
誰かに言ってほしかった》
《「それでもいい」と》
《ありがとう》
♪♪~
2018/03/16(金) 01:55〜02:25
関西テレビ1
恋は雨上がりのように[字]
古本市にやって来たあきらと近藤。近藤は本に夢中であきらをほったらかしにしてしまう。そんな近藤をまっすぐ見つめるあきら。そしてその口から出た言葉はーー
詳細情報
番組内容
陸上部のエースだったが怪我で走ることをやめてしまった女子高生・橘あきら(17歳)と、夢を諦めた過去を持つあきらのバイト先、ファミレス「ガーデン」の店長・近藤正己(45歳)。海辺の街を舞台に、青春の交差点で立ち止まったままの彼女と、人生の折り返し地点にさしかかった彼が織りなすものがたり。
胸が熱くなる瞬間を、本当は誰だって待ってる――。
出演者
橘あきら(CV:渡部紗弓)
近藤正己(CV:平田広明)
喜屋武はるか(CV:宮島えみ)
西田ユイ(CV:福原遥)
スタッフ
【原作】
眉月じゅん(小学館「週刊ビッグコミックスピリッツ」連載)
【監督】
渡辺歩
【シリーズ構成】
赤尾でこ
【キャラクターデザイン・総作画監督】
柴田由香
【音楽】
吉俣良
【オープニング・テーマ】
CHiCO with HoneyWorks「ノスタルジックレインフォール」
【エンディング・テーマ】
Aimer「Ref:rain」
スタッフ2
【アニメーション制作】
WIT STUDIO
【制作】
アニメ「恋雨」製作委員会
ジャンル :
アニメ/特撮 – 国内アニメ