今日は…
え~ その前に…
あ ほんと? あぁ そう。
(笑い声)
まあ そうやって…
通り過ぎていくんですか?
ちょっと じゃあ行ってみましょう。はい。
俺はね…
2回ぐらいは来た事ありますよ。あっ そうですか。
おぉ~ 来た。
あっ!
あれっ 光ってました?
うん。
何だ?
すごいタイトルだな。
確かに…。
確かに美しい。
あっ 人の手によって。
人の手も入ってると思うんだけど。
分かりません。
≪はじめまして。あっ どうも。
(2人)
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
深町加津枝さんは風景の専門家。
自然の風景はもちろん→
人の手が加わった風景についても研究しています。
タモリさんが今いる嵐山は
京都盆地の西の外れ。
その名も「嵐山」という山の麓に
広がる観光地です。
何といっても…
きれいだよね。 桜の時は来た事ないんですけども→
秋 紅葉だよね。
はい 秋はこういう感じで。
鮮やかですね!
では なぜ 嵐山が美しいというふうに思うんでしょうか?
実は 人が目で見て
風景を美しいと感じる範囲は→
限られています。
上下左右30度の範囲です。
(笑い声)
手軽に。
こう?
そうですね 近づけて頂いて。
ああ そうですね。
若干…
山と橋と川。
確かに 嵐山の風景に欠かせない要素が→
範囲の中に収まってます。
誰が見ても美しいと感じる嵐山の風景。
最初に有名になったのは
実は平安時代の事です。
ところが…。
今ですと 嵐山といったらこの風景なんですが…
ん?
あ~… じゃあ それは 是非一緒に行きたいなと思いますので。
あ そう…。
という事で 今回の「ブラタモリ」舞台は京都・嵐山です。
ほんと きれいだなぁ。
観光客は 年間1600万。
平安の昔から 日本人は
嵐山に魅せられてきました。
四季折々 季節の移ろいが鮮やかな
美しき観光地です。
でも 皆さん その美しさの陰に→
奥深い理由がある事ご存じですか?
さあ 嵐山は なぜ美しいのか?
タモリさんが ブラブラ歩いて解き明かします。
今日は 京都・嵐山で 「ブラタモリ」!
♪♪「ハロー ハロー お元気?」
♪♪「今夜
なにしてるの?」
♪♪「TVなんか 見てないで」
♪♪「どこかへ一緒に行こう」
♪♪「だからもう
I love you so」
♪♪「I’d love to be back
in your heart」
♪♪~
タモリさんが向かったのは→
渡月橋から西へ700mほどの→
小高い丘の上。
ここで 平安時代の人々が
最も美しいと感じた風景を→
見られるんです。
あ~ いいな!こんなとこ あるんですね。はい。
お~ きれい。
どうでしょうか?
いいですね!
今日は きれいだね 霧がかかって。はい とても。
(笑い声)
ここ 知らないでしょ? みんな。はい。 実は→
渡月橋で 皆さん「嵐山を見たな」と
帰っちゃうんですけども…。
確かに 絶景ですねぇ。
少し山に入っただけで雰囲気が ガラッと変わりました。
どういうものが美しい…。
旧山陰線?今はね 山陰線は まっすぐ→
トンネル抜けるんですけども→
旧山陰線は ず~っと川沿いを走っていくんだよ。
今 トロッコ列車が
有名なんだ。はい。
逆を見ると 市内が見えるんだ。
町並みがありますね。
そうか!
平安時代 嵐山は町に暮らす京都の人々が→
大自然の美しさを
実感できる場所だったんです。
しかし あとの時代になると
嵐山に新しい美が生まれます。
その場所を 是非
見に行きたいと思うんですが。
(シャッター音)
どんな写真ですか?
あっ すご~い。
渓谷 やっぱ いいわ。
(笑い声)
という事で やって来たのは→
嵐山の町の中にある 天龍寺。
室町時代 将軍 足利尊氏が建てたお寺です。
世界遺産に登録され
多くの観光客が訪れています。
有名なお寺ですよ。
(笑い声)
えっ!?
(笑い声)
すごいですね。
(笑い声)(深町)そうなんですか。
(深町)全部 塔頭で
この辺り全体が…。
すごいな あの石。
んっ!
そうだったかな? 美だったかね?
京都の美というより 高低差マニア梅林秀行さんです。
今回 3回目の登場で
タモリさんとは名コンビ。
今日は 地形という視点から
嵐山の美を教えてくれます。
アハハッ ありがとうございます。
すごいですね!
(笑い声)
早速 向かったのは 天龍寺のお庭。
室町時代に生まれた嵐山の美が
見られる場所です。
(梅林)
おぉ~ 精神性ですか。 なるほど。
そうだ そうだ。
(梅林)あ~ いいですね。
きれいですね。
天龍寺を開いた夢窓疎石がつくりました。
あっちの方もね… 正面の。
(梅林)滝組ですか。
池を中心に 石や植物を配置。
ほぼ つくられた当時のままの貴重な庭です。
夢窓疎石は 庭の外側にある
嵐山の自然の美を→
庭の内側に取り込みました。
「借景」と呼ばれる手法です。
完全な借景ですね。
(深町)例えば あそこに…
(深町)はい。
そこに 何だろう…
あっ これは…
ああ そう。
タモリさんが注目した斜面。
池の奥にありますよね。
実は この斜面こそ→
この庭の美の秘密を解く鍵なんです。
(梅林)ちょうど「中景」に
当たるのかもしれませんね。→
ですから この庭は…
そうそう。(笑い声)
そうそう
前景 中景 後景みたいな。
ああいう感じですよ。
奥行きが出てるような。
(笑い声)
大体あんな感じと 僕は思って…。
自然がつくったという
庭を美しく見せる斜面。
一体どうやって
できたんでしょう?
是非 ご覧頂けたらと
思いまして。
急ですね。
え~っと 待てよ…
そうですね。
そうすると… 待てよ!
ん?
(梅林)おっ!
(梅林)そうですね。
今日 とってもいい…→
「都市圏活断層図
京都西北部」。
はい おかげさまで。
(笑い声)
これか 嵐山。
(梅林)そうなんですよ。おぉ~。
断層崖。
後ろに…。
断層崖。
お~!
ポキポキポキってなって。
天龍寺の庭にある斜面は→
大地のパワーで地面がずれた痕跡
断層だったんですね。
室町時代
この庭をつくった夢窓疎石は→
自然の地形をうまく利用して→
嵐山に新しい美を生み出しました。
(梅林)いいですね。 共感しました。
(笑い声)
うまいな~。
夢窓疎石が生み出した 嵐山の美。
実は この庭だけではありません。
嵐山周辺の風景を10か所選び「天龍寺十境」と名付けたんです。
嵐山 渡月橋
曹源池など→
6つが
今でもあります。
そして これこそ→
現在も嵐山で美しいと言われている風景なんです。
という事は
十境の共通点を探ると→
嵐山が美しい理由が分かるかも。
やって来たのは 十境の一つ大堰川の近くです。
(深町)現在地を確認させて頂いて
いいでしょうか。
はい。
(笑い声)
(深町)先ほど行っていました
天龍寺の曹源池…
(深町)そうなんですね。
太巻きの一番端っこ うまいよね。ああ!
かんぴょうが飛び出したりね
カステラの端っことか うまいよね。
平地と斜面が出会う場所
「へり」。
では なぜ
「へり」は美しいのでしょう?
平地と斜面って
違うじゃないですか。
ちょっと 「へり」に…
あ~ 十分 十分。
(笑い声)
その理由が 平地と斜面が出会う「へり」にあるのかもしれないと→
感じ始めた タモリさん。
どうぞ。 滑りますから。→
屋根が低いですから
頭 気を付けてね。
タモさん 大好きな舟で
次の場所へ向かいましょう!
目指すのは
向こう岸の山 嵐山。
「へり」にとって重要な斜面が
なぜ美しいのか→
よ~く分かる場所です。
初ヘルメット? これはね…
この番組は 必ず かぶります。
ウフフフ… フフフフッ。
嵐山は現在 国が管理していて
ふだん入る事ができません。
(深町)ちょっと立ち止まって
前を見て頂くと…。
随分
上がってきましたね。
(深町)今 葉っぱが落ちているので
このように→
渡月橋が
よく見えるんですけども。
すごい斜面ですね ここね。
わぁ~ 急ですね。
(深町)
ほとんど落ちていくような感じで。
こうなるからね。
(深町)あっ すばらしいですね。
こう…。
その事が やはり…
秋 鮮やかな色彩を生む
嵐山のモミジ。
更に そんなモミジや春のヤマザクラは
急斜面に適した樹木。
不安定な土壌でも
しっかり根を張り→
斜面が崩れるのを
防いでくれるんです。
そんな性質をよ~く知っていた
嵐山周辺の人々は→
モミジやサクラを斜面に植え
守り続けてきました。
1801年になりますが…
そういう事もやってたんだ。
へぇ~。
よろしくお願いします。よろしくお願いします。
今回 特別に タモリさんも→
嵐山の美を未来につなぐお手伝いをする事に。
おっ きました。
植えるのは ヤマザクラです。
意外と大きいですね。
ないな。 それは ないな。ないですかね。
よかった。 初めての植樹。
今も 嵐山では地元の人と林野庁が協力して→
サクラやモミジを植え
美を守っています。
(深町)
よろしければ それをめくって頂けますか。
あら ほんとだ。
(深町)横も。
「三月八日」…
え~ ありがとうございます。
タモリさん よかったですね。
なかなかできない経験ですよね。
親しみ感じるよね。
さまざまな人が守ってきた嵐山の急斜面。
タモリさんの手で また一つ
美しさが加わりました。
さあ 嵐山の美しさを
生み出している急斜面は→
そもそも どうやって
できたんでしょう?
タモリさんがやって来たのは
渡月橋から3キロほど上流の→
崖の上です。
こんなとこに旧道の…。旧道ですね これ。
ちょっと崖 結構…。
(深町)怖いですね。(梅林)もう ヒヤヒヤですよ。→
左手が
巨大な岩が露頭してます。→
あっ なんか…。
ん?
(笑い声)
(岩をたたく音)
たたいてる。
何でしょう?
(笑い声)
地道な。「恩讐の彼方に」。
あ~ こんにちは。
よろしくお願いします。
こちらこそ。
あぁ~ 長いですね。
はい ありがとうございます。
そうですね。そうという事が分かりました。
井本伸廣さんは
地質の専門家。
趣味は 石に彫刻して
ハンコを作る事です。
こんなとこ通ってたんだ。
危ねえな~。
あっ 崖。
(梅林)保津峡ですね。
実は この絶景の至る所に→
嵐山 急斜面の成り立ちが分かるヒントがあるんです。
突然ですが…
これは何ですか これは…。
(たたく音)
硬いですね。
(たたく音)
チャートですか。
それから…
ほぉ~。江戸時代より前?
江戸時代より前…。
銭形平次… これですね。
石で!
はい。
そうです。
ここに 火打ち金っての持ってますから…
あっ 火を?
おぉっ 結構豪快。いいんですかね?
突然…。
(笑い声)
おぉ~ あっ 火花。
それで ここに…。
(梅林)あぁ~。
(タモリ 梅林 近江)おぉ~。
どんだけ火が貴重か。
斜面…。(笑い声)
僕たち…
そう 実は このチャートこそ→
急斜面の成り立ちが分かる
痕跡なんです。
表面を よ~く見ると…。
なんか ちっちゃな…。(井本)あっ はいはい。
そうですね ええ。
すごい ちっちゃいですね。はい。
おぉ~。
これがですね…
あ~ そのとおりです!
さすが タモさん!
硬い殻を持っていて
死ぬと その殻が海底に積もり→
硬いチャートの層をつくります。
(井本)中生代という時代ですね。
2億年。
まあ… まあまあ古いかな。
そうなんですか?
(笑い声)
まあまあ古いですよね。
そうですね はい。
「まあまあ」ですか。
それに比べりゃあね。
46歳の男が 2歳の子を見てる
みたいなもんでしょうね。
そのとおりです。
あぁ でも まあ…。
まだ ちっちゃいですから。
2億年ほど前赤道の辺りでできた チャートは→
プレートの動きで 大陸の近くまで
運ばれました。
そして 泥や砂と混じり合い→
現在の地層になったんです。
でも 嵐山の急斜面と→
どんな関係があるんでしょう?
よく分かりますね これで。
今ここか。
あっ すぐ分かりましたね。
早いですね。
(梅林)おおよそで結構ですよ。
えっ?
天龍寺…。
分かったら すごいです。
すごいです 大正解。
大正解 大正解。
(笑い声)
え~と…。
断層崖。
断層崖でしたが…。
こう続いてるんだ。
あっ そうなんですか。うん。
そう さっき見た
天龍寺の断層は→
南へ延びていたんです。
つまり…
更に よ~く見ると→
西側にも断層が もう一本。
実は この辺りの山々→
東西から断層に押されてできたんです。
そして この時→
本来は地下にあるチャートが地上に現れました。
という事で
チャートが地上で見られる事→
それこそ 断層が嵐山の急斜面を
つくった証拠なんです。
(梅林)うわぁ~ えらいこっちゃ。
あ~ これだ。
(梅林)すごいなあ!
あっ すごい!
ここは すごい。
(井本)そうなんです。これは珍しい。
折れ曲がった チャートの層。
なんと大陸にぶつかった時こんな形になりました。
はい 敷きますね。
その時に…。
その時に…
そうですね…。
そうですね はい。
その時に…
そして こんなふうに。
長い間かかって太平洋の沖から来た。
太平洋の沖から!
大地の巨大なパワーで生まれた嵐山の美しさ。
京都の人々に知られたのは
平安時代の事でした。
そのきっかけをつくったのは→
それより前から嵐山に住んでいたある一族。
彼らが嵐山の美を見いだし
京都の人々に伝えたんです。
(梅林)平安京ができる前…
はい。はい 行きましょう 是非。
あるんですよ! あるんです。
大丈夫です 大丈夫です。
大丈夫?
大丈夫です。
大丈夫です。
という事で 渡月橋の近くに戻ってきました。
実は ここに 嵐山の美を
見いだしたパイオニアたちの→
活動の拠点があったんです。
あるものをためる?ためる…。
(梅林)何でしょうか?
というとこですね。
そういう事ですか?
(梅林)おっ さすがですね。
(梅林)分かります?
(梅林)ここ 木材が。その辺だ。
え~!
そうなんですよ。
戦後すぐまで行われていた
「いかだ下り」。
実は そのルーツこそ→
5世紀ごろ 嵐山の美を見いだしたパイオニアたちにありました。
それは一体 何者なのか?
実は そのヒント→
嵐山の近くの地名
「太秦」にあるんです。
そうです 秦一族。
秦氏は3世紀ごろ日本に来た 渡来人。
土木や養蚕など 当時
最先端の技術を持っていました。
秦氏にとって 資源豊かな山と
人々が住む平地が交わる→
へり 嵐山は
魅力的な場所だったんです。
続いて 嵐山の美のパイオニア
秦氏の事がよく分かる→
痕跡がある場所へ。
こんにちは。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
國下多美樹さんは古代の都→
特に 京都にあった
長岡京や平安京について研究しています。
はい。
(國下)何だと思われます?
そのとおりです。
えぇ~。
この竹やぶの中の古墳→
6~7世紀ごろにつくられた秦氏のお墓 狐塚古墳です。
特別に 古墳の中にある
石室を見せてもらいましょう。
行きましょう。
石室は ないですね。
はい 分かりました。
よいしょ… よいしょ。結構 低いですね。
低いな これ。
(國下)大丈夫ですか?はい。
(國下)それじゃ 奥まで
入ってきて頂きまして…。
たくさんの巨大な石は→
多くの労働力を動員できた権力の証し。
更に この石室
もっと広かったんです。
はい。
これですか?(國下)そうです。
最低でも。
(國下)そうです。→
そうしますと
今 私たちが立ってます…
…という事になりますね。
あぁ そうですか。
土砂で見えませんが→
今も石棺が埋まっているというこの石室は→
高さ3m。
秦氏の権力の大きさが分かります。
秦氏は その力を生かし
嵐山を開発しました。
更に はるかに望む京都盆地に
平安京がつくられる時にも→
深く関わったんです。
あっ そうですか。
ですので やっぱり…
…という事なんだと思います。
そうでしょうね。
平安京の礎を築いた…
そのおかげで 人々は→
今に至るまで 嵐山の美を楽しむ事ができるんです。
嵐山の美 それは→
大地のパワーが生み出した「へり」にルーツがありました。
その後 それぞれの時代の
それぞれの美しさが積み重なり→
現代の超人気観光地「嵐山」に
つながっていったんです。
はい 再び 渡月橋んとこに…。
「再び」じゃないや何回来たんだ これ。
何回目でしたっけ。
ウロチョロ ウロチョロしてるの この辺ね。
多いですねぇ。
激しい地殻の運動 それが基本的な美しさをつくって→
それにのっかって
それを利用して→
更に それをまたきれいにしよう
という人工の手も入ってるという。
京都盆地のある町ですから。
つまり…
そうだよね!
いいんですよね これ。やっぱり 「へり」ですよ。
「へり」なんですかね。
うん。
♪♪「未来の あなたに」
♪♪「幸せを 贈る」
♪♪「記憶と 想い出を」
♪♪「花束に 添えて」
♪♪「ひとときの 夢を」
初めての「ブラタモリ」あ~ なんかもう…
(笑い声)
そうそう。
どっちでもいいかなっていう。
(笑い声)
2018/04/10(火) 23:55〜00:40
NHK総合1・大阪
ブラタモリ「#36 京都・嵐山」[解][字][再]
ブラタモリ、京都へ!舞台は京都を代表する観光名所・嵐山。タモリさんと近江友里恵アナウンサーが春の京都を「ブラタモリ」流に旅します。
詳細情報
番組内容
渡月橋や天龍寺など美しい風景を目当てに年間1600万人の観光客が訪れる嵐山。その「美」の秘密をタモリさんが解き明かします。室町の「美」がそのまま残る天龍寺の庭園。その美しさを演出していたのは、実はタモリさんが大好きな“断層”だった?平安京が出来る前に嵐山を開発した“謎の一族”の古墳にタモリさんが潜入。巨大な石室で見たものは?今回もズバズバ言い当てるタモリさんに、同行した近江アナもビックリ!
出演者
【司会】タモリ,近江友里恵,【語り】草�g剛
ジャンル :
バラエティ – 旅バラエティ
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化