(勇)あそこに おるん中村春太郎ちゃう?
(貞子)また こないだと
ちゃう子 連れとう。
あの若い子も あんなタラシに コロッと
いかれてしもて アホやなあ。
どうせ すぐに
泣かされるに決まっとんのや。
(春太郎)ほな 僕 帰るわ。
おおきに。 ありがとうございます。
毎度 おおきに!
春太郎様 またのお越しを!
(糸子)奈津…。
えっ 何や 知り合いか?同級生や うちの。
あかん 奈津! そんな男に
ついていったら あかん!
落ち着いて 落ち着いて。
何で? 悪い奴なんやろ? あれ。
そやけどな
ここで言うたら あかん。
今は あかん。
なあ ここは そっとしとき。
けど 大変や
泣かされてしもうたら。 奈津!
♪♪~(テーマ音楽)
♪♪「小さく丸めた躯は今」
♪♪「悲しみ隠し 震えて」
♪♪「命を表しているのね」
♪♪「重く濡らした瞼は今」
♪♪「よろこび映す日の為」
♪♪「心を育てているのね」
♪♪~
ほんま あんな男に引っ掛かって
どないすんのや。 アホが!
<あれ? うち
人の心配してる場合ちゃうやん>
お父ちゃんに
ミシンの話せなあかんやん。
ただいま。
(ハル)お帰り。
ちょいちょい ちょいちょい。
ちょっと。何?
何や?
何が?
また お父ちゃんに
何か ややこしい話 あんのか?
何で 分かんの?
顔に書いちゃあら。
やめとき。 今日は お父ちゃん
機嫌悪いさかい。
機嫌のええ時なんか ないやん!
お父ちゃん。(善作)あかん。
まだ 何も言うてへんやん。
言わんでも 分かるんじゃい。
お前が いきりたってる時は
大概 ロクでもないんじゃ。
ミシン 買うてもらいたいんやけど。
アホか お前。 そんな金うちの どこにあんねん?
お父ちゃんに ちゃう。
ああ?神戸のおばあちゃんにや。
何?
今まで 黙っちょってんけど→
うち こないだ 木之元の
おっちゃんとこに来てた→
根岸先生のミシン教室 通てんねん。
そやけど そこではミシンの使い方しか 教えへん。
けど うち
もっと洋裁の勉強したいよって。
そやけど…
その店のミシン 買わなあかんねん。
今日な たまたま
神戸のおばあちゃんに→
心斎橋で会うてな
その話 したら→
おばあちゃん 「ミシン買うたっても
ええ」て 言うてくれて。
何やて? 心斎橋?
ミシン? 神戸?
親に隠れて 何 コソコソ
やっとるんじゃ お前は!
(ハル)ちょっと やめとき。
わしを コケにしくさって!→
なめてんのか? このガキが!
コケになんか してへん!
うちは 洋裁 習いたいだけなんや。
洋裁 習うには…。
(糸子の泣き声)
≪(糸子の泣き声)
<お父ちゃんは
許してくれませんでした>
(泣き声)
<うちには もう夢も希望もありません>
(泣き声)
<けど 祭りは あります>
♪♪~(お囃子)
ソーリャ ソーリャ ソーリャ ソーリャ!
<今年も 祭りがやって来ました。→
何があっても 祭りだけはきっちり来てくれる。→
ありがたいこっちゃなあ>
ソーリャ ソーリャ ソーリャ ソーリャ!
<泰蔵にいちゃんは
去年で大工方を引退しました。→
おばちゃんも やっと 気絶せんで
済むようになりました>
うわ~!
うわ~!
♪♪~
<だんじり 見とったら→
ちっこい事で悩んでるんが
アホらしゅうなります>
♪♪~(お囃子)
(八重子)お父ちゃん 来たがな。
(太郎の泣き声)
♪♪~
(奈津)ふん!
ちょっと あんたこれ 持っとって。
奈津! 奈津 ちょっと待ち!
あんたなあの歌舞伎役者 あかんで。
はあ?
こないだ 心斎橋で会うちゃあったやろ。
ごっつう ニヤケの
しゃべり方 変な男。
何やねん あんたに関係ないやろ。
うちのおばあちゃんがな「あの男は タラシや。→
あんたが 絶対泣かされる」て
言うちゃあってん。
ふん! おばあちゃん?
あんたんとこの おばあちゃんが春太郎様の何を知ってんよ?
おばあちゃんゆうても うちにおる
おばあちゃんと ちゃうで。
うちにはな 神戸に もう一人
おばあちゃんが おってやな→
そっちは ごっつ金持ちで
有名人の事も よう知ってんやし。
嘘つきいな! あんたに そんな
金持ちのおばあちゃんが→
おる訳ないやろ。
ほんまや。 ほんまに いてんのや。
そのおばあちゃんがな
「あの男は タラシやし」。
黙り!
うちに 偉そな口 利きな!
何や? あんたなんか仕事もせんと
プラプラしてるくせに。何やて?
うちは立派に女将修業してんねん。
あんたより 100倍上等や!
何? もう一回 言うてみい!
何回でも 言うたるわ!
この出来損ないの すねかじりが!
すねかじりと ちゃうわ!
(八重子)何してんの!?
(泰蔵)おい!
アホ!
お前かてアホや!(泰蔵)やめ~!
キャッ! あ… 嫌~!
(桝谷)あの~ わし 糸子さんに勤めてもらってた パッチ屋です。
ああ こら どうも!
ほんま 糸ちゃんにはすまん事しましたなあ。いや。
不況ちゅうのは ほんまに
えげつないもんですさかいなあ→
よう分かります。
どないなりますねんやろなあこの先。
わしが こんな事 言えた義理
ちゃいまんねんけど→
糸ちゃんみたいな娘がいてたら
ごっつい羨ましいですわ。
いやいや。 実際 うち おったら
たまりまへんで。
次から次に 変な事ば~っかり
言いだしよって。
いやいや あれは 将来有望です。
いや…。ほんまでっせ。
わしかて これまで 何人も
職人 雇てきてまんのや。
あれは 女にしとくのは
もったいない。
腕もある 頭もある 先も読める。
呉服屋のおやっさん捕まえて何でっけど→
あの糸ちゃんが
あんだけ熱上げるんやから→
洋服ちゅうんは ほんま
これから 主流になるんやろと→
わしも このごろ 思てまんねん。
こない商売が うまい事いけへんわ→
自分も 年取ってくるわゆう時に→
あんな頼もしい子どもが目の前 ウロチョロされちゃあったら→
そんなええ事 あらへん!
おおきに。 そない言うてもうて。
糸ちゃんが わしの娘やったら
さっさと 店 任せますわ。
わしなんぞが やるより
よっぽど もうかりまっせ。
あっ あった 中村春太郎!
これ! こいつ!
(玉枝)どれどれ 見せて。
はあ~ 男前やし!
いや おばちゃん けど
ごっつ タチ悪そうやろ?
いや 悪いんは悪いかしらんけど
男前や。 そらなあ→
若いうちは こんなに
ニカ~ッて笑われたら→
コロッと いってしまうわなあ。
奈津に説教したってえな。
頼むわ おばちゃん。
うん そやなあ。
まあ おばちゃんも
そない 偉そうに言えるほど→
ぎょうさん 男前
知っとる訳ちゃうけどな。
♪♪~(ラジオ)
毎度。(木之元)おう 毎度。
何や?
あの… こないだ来ちゃあったやろ? ここに。
はあ?
何や 偉そうな…。
女や。 ミシンの。 教えに。
うん?
そやさかい ミシンの先生や!
来ちゃあったやろ?
あっ 根岸先生の事か。
そや!
あれ 今 心斎橋にいてんのか?
そうや。 心斎橋のステンガーミシンでミシンの講師 やってら。
う~ん…。
それが どないしたんや?
お前 場所 分かるか?
ああ 分かんで。
わし 週に1回は
心斎橋に出るさかい。
おもろいど~ 心斎橋は!
珍しい店 ようけあるしなあ。
わし 連れていってくれ。
おう 行こ 行こ! 今度。
今度ちゃう! 明日や。
明日?
明日 その… ステンガーミシンに
連れてってくれ。
明日なあ。 あっ 明日は
わし ちょっと あかんわ。
ええさかい 連れていけ!
売りもんのために仕入れた古着や。
今日中に 修繕やら 直し
全部 しとけ。
へえ。
<次の日 うちに山ほどの仕事を言いつけて→
お父ちゃんは 珍しく…>
あっ あっ! おはようさん!おはようさん。
ほな ほな! ほな ほな!
<木之元のおっちゃんとどこかへ出かけていきました>
そこや。 そこ 入って
キュキュッと行ったとこにな→
ごっつ うまい店 あんやし。
ちょ 行こや。
あかん。 ミシン屋が先じゃ。
はあ~。
はあ~。
おお ここや。
聞いてきてくれ。
は?
先生おるか 聞いてきてくれ。
何で わしが?
ええさかい 聞いてきてくれや!
はあ~!→
はあ~!
いてんで。ああ…。
いらっしゃいませ。
(根岸)こんにちは。
こんにちは。
♪♪~
2018/04/26(木) 16:20〜16:35
NHK総合1・大阪
連続テレビ小説 カーネーション(21)「誇り」[解][字]
春太郎(小泉孝太郎)と一緒の奈津(栗山千明)を心配する糸子(尾野真千子)。善作(小林薫)は洋裁やミシンの話に激怒する。そんな折、桝谷(トミーズ雅)が訪ねて来る。
詳細情報
番組内容
春太郎(小泉孝太郎)と一緒だった奈津(栗山千明)のことを心配しつつ、家へ帰った糸子(尾野真千子)。善作(小林薫)に洋裁教室やミシンのことを話すが、激しい怒りを買ってしまう。だんじり祭の日、糸子は奈津を見つけて春太郎とのつきあいを注意し、大ゲンカになる。ある日、善作が井戸端にいると、パッチ屋の桝谷(トミーズ雅)がやって来た。桝谷は、糸子が将来有望だと褒め、洋服がこれから主流になるだろうと話す。
出演者
【出演】尾野真千子,小林薫,麻生祐未,栗山千明,財前直見,正司照枝,濱田マリ,須賀貴匡,十朱幸代,小泉孝太郎,甲本雅裕,田丸麻紀,柳生みゆ,トミーズ雅,渡辺大知
原作・脚本
【作】渡辺あや
音楽
【音楽】佐藤直紀
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ