♪♪~(テーマ音楽)
♪♪「小さく丸めた躯は今」
♪♪「悲しみ隠し 震えて」
♪♪「命を表しているのね」
♪♪「重く濡らした瞼は今」
♪♪「よろこび映す日の為」
♪♪「心を育てているのね」
♪♪~
(糸子)ほれ ほれ あんたら邪魔や。下 降りとき。
あんたも 下 降りとき。
お待たせしました。
よろしゅう お願いします。
(根岸)私も いろいろと考えてきたんだけれど。
どんなに急いだとしても→
1週間で教えられる事はほんの僅かです。はい。
だから とにかく
大切な基本だけを→
私は あなたに たたき込むわ。
はい。
じゃ まず…。
あ ちょっと待って下さい。
はい お願いします。
これに着替えて。え?
♪♪~
着替えて。
いや うち
まだ 洋服は着た事ないんです。
だから 着るのよ。
え?
先生 何か…。
変です。
それはね 今 私が着てるのと
同じデザインなの。
え?
♪♪~
ほんまや 生地の色がちゃうだけで
よう見たら一緒や。
でも 少し あなたには
似合ってないような気がしない?
少しどころか
全然 似合うてません。
私のと よく見比べてみて。
どこが違うのか。
先生と うち?
どこが ちゃうか言うたら…。
♪♪~
はあ うちの方が 脚が短いです。
そう! そう見えるわね。
それは どうしてかしら?
うちの脚が短いからです。
糸子さん これは洋裁の授業なのよ。
服を見なさい。
♪♪~
脚が短いんやなくて
胴が長いです。
そう ウエストの位置が違うの。
うえすと?腰の一番 細い所に手を当ててごらんなさい。
ここ?
そう そこよね。
洋服のウエストは
この位置に合わせるの。
どう?
あ 脚が長なった!
それでね→
これ履いてみて。
えっ こんな高い靴?
あ! もっと長なった。
じゃあ 今日は これを着て
街を歩いてみましょう。
えっ?
♪♪~
(善作)ぷっ! 熱っ あつつ!→
お前 何じゃ そら?ちょっと出かけてまいります。
そ そんな格好でけ?
ええ これも大事な授業です。
洋服を作る者は
着る方の気持ちを→
きちんと知っておかなければ
ならないんです。
いや うちの娘が そないな格好で
街 歩かれたら。
遅くはなりませんわ。
行ってまいります。
ちょっと ちょっと!
(妹達の はしゃぐ声)
先生 どんな顔して歩いたら
ええんか 分かりません。
あなたの好きな花は 何?
花ですか? カーネーションです。どうして?
あの花は 根性あるて
おばあちゃんが。根性?
ほかの洋花と違て
カーネーションは 簡単に しおれへん。
カビ生えるまで咲いてるて
感心してました。
まあいいわ。 カーネーションね。
じゃあカーネーションになったつもりで歩くの。
カーネーションですか?
そう。
カーネーションの花
堂々と咲いてるでしょ?
堂々と…。
恥ずかしがって咲かないカーネーション見た事ある?
そら ないですけど。
ただ無心に咲く。 それでいいの。はあ。
糸子さん!
はい。
私は 今 あなたに
一番大切な事を 教えてるの。
堂々としなさい。
洋服を着て胸を張って歩くという事を→
あなたの使命だと思いなさい。
♪♪~
<洋服を着て
胸を張って歩く心斎橋は→
全然ちゃう街みたいに
思えました。→
まず 今まで目の合うた事のない
人らと 目が合います>
<それから
やたらと鏡が気になります>
<それから
よう 人に話しかけられます>
こんにちは。
いらっしゃいませ。
<それから…>
あ~。
< くたびれます>
糸子さん。はい。
立ち居振る舞いは 常に美しく。
どう? 洋服を着て歩いてみて。
気ぃが詰まりました。
どうして?
そら 目立つし
人がみんな ジロジロ見るさかい→
「おかしないやろか
ちゃんと似合うとるやろか」て。
そうね。 今 この日本で 女性が
洋服を着て歩くという事は→
誰もが そんな気持ち。 そりゃ→
時代の一番先頭で 旗を振って歩いてるようなもんだもの。
私だって 本当は緊張してるのよ。
先生もですか?もちろん。
でも 私の仕事は
着る方が そこで→
「大丈夫。 私は きれい」って思える
必ず思える→
そういうものを作る事なの。
それが 私にとっての洋服作りなの。はい。
本当にいい洋服は 着る人に
品格と誇りを与えてくれる。
人は 品格と誇りを持てて初めて
夢や希望も 持てるようになる。
いい?
あなたが志している仕事には→
そんな大事な役割があるのよ。
はい。
(春太郎)根岸先生ちゃいますの?
先生! や~ どうも。こんにちは。
いや~ うれしいな。
先生に また会えるやなんて。
ミシン教室 終わってしもうたと
聞いて がっかりしてましてんで。
ミシン教室なら 来月から
また 別の者が来ますわ。
いや 教室は
どうでも よろしいねん。
先生は? まだ 心斎橋
しばらく いてはりますのん?
いえ 私は 来週には
東京に戻ります。
♪♪~
そ… そうでっか。 ほんでも また心斎橋 来て下さいな。
歌舞伎 見に来ておくれやすな。
ほな。
さようなら。
♪♪~
毎度おおきに。
春太郎様 またのお越しを。
ど… どうしたの?
ううん。 イヒッ。
あ 靴擦れ? 痛い?
家まで あと ちょっとやさかい。
あっ。
♪♪~
あ~! やっぱし 着物が楽や。
<情けないけどそれが うちが その日→
一番 心から思った事でした。→
1人でフテてたおばあちゃんはっちゅうと→
ひょんな事で
あっさり 機嫌を直しました>
何じゃ こら?
(千代)はあ 豚は よう火ぃ通さんとあかんって聞いて→
心配で何回も揚げ直しとったら
こないなって…。
だいいち 焦げすぎじゃ!
こんなもん 食えるか!
はあ あの どないしましょう。
今日は おかずそれしかないんです。
せっかく 根岸先生が
来てくれてんのに!
すんません!
いただきます!
♪♪~
大丈夫 おいしいですわ。
ゴホッ ゴホッ…。
す… すんません。
(ハル)あの…。
こっち 食べてみちゃあって。
田舎料理やさかい
お口に合わんかもしらんけど。
いただきます!
う~ん。 おいしい!
さよか?
これは いわしですか?(ハル)はい そうです。
いわしって こんなに
おいしかったんですね。
おばあ様が
お作りになったんですの?
いや これはな せがれが
いわし好きなもんやさかい→
うちは よう作るもんなんやけど
孫らが嫌うてな。→
せっかく作っても いっつも
食べんのは せがれしか いまへん。
まあ そんな 先生に
そない喜んでもうたら→
うちも 気ぃ晴れます。
ゴホッ ゴホッ…。
<先生が飲み込んだカツレツやから
うちも飲み込もう>
(ハル)シャコは?
東京では シャコ 食べますか?
(根岸)ええ 私もシャコは大好きです。
(ハル)ああ そうですか!
<おばあちゃんの いわしも→
明日から ちゃんと食べてみよう>
♪♪~
2018/05/01(火) 16:20〜16:35
NHK総合1・大阪
連続テレビ小説 カーネーション(23)「誇り」[解][字]
根岸先生(財前直見)は糸子(尾野真千子)に洋服を着せ街を歩かせる。戸惑う糸子に、カーネーションの花のように堂々と歩くよう教え、よい洋服を作る者の心構えを教える。
詳細情報
番組内容
根岸(財前直見)は、まず糸子(尾野真千子)に洋服を着せ商店街を歩かせる。根岸は好きな花を尋ね、糸子がカーネーションを挙げると「その花のように堂々としろ」と教える。続いて心斎橋のカフェに糸子を誘い、本当によい服は夢や希望を与えると話し、糸子は大きな影響を受ける。だが、またも女連れの春太郎(小泉孝太郎)を目にし、糸子は猛然とにらみつける。帰り道では、堂々と会釈する糸子を泰蔵(須賀貴匡)が驚いて見送る。
出演者
【出演】尾野真千子,小林薫,麻生祐未,正司照枝,小泉孝太郎,財前直見,須賀貴匡,柳生みゆ
原作・脚本
【作】渡辺あや
音楽
【音楽】佐藤直紀
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ