(宇海直哉) このホテルの支配人はあなたです。
あなたが向かいたい場所が
私達が向かう場所です。
(
桜井佐那)私は ずっと願っていました。
このホテルが
夢の場所になればと。
とても当たり前のことを
当たり前のように言ってのけた。
もしかしたら
怪物かもしれないですよ。
(
丹沢)ここを辞めさせてもらいます。
このホテル
もう潰れますから。
へっ?
(江口)で この辺にデッキを設置して→
テラス席にするってわけ
。
(
ハル) いいですよねこれからの季節→
絶対
気持ちいいですし!
(
江口) だから このお金と→
あと…
これ 何だ? これあの 飼育小屋。
これを撤去する費用が欲しい
ってことなんだけど。
いいんじゃないですか
別に。
ホントですか?
やった!
まぁ
こんなの ずっとクソの役にも立ってなかったしな。
用事が
それだけなら私は これで。
(
江口) ああ。
(
あくび)
あ~!
びっくりした!
宇海さん
大変なことが…。
どうしました?
丹沢さんから報告を受けまして。
この近くに
あの朝光ホテル系列の→
ビジネスホテルの建設予定が
あるそうです。
朝光ホテル…
あ~。
このインヴルサの
経営状態が悪いことを耳にして→
新たな開業場所に
選んだらしいです。
フッ…
まぁ 向こうからしたら→
いいビジネスチャンスですからね
。
それは
そうですけど→
そんな悠長なコメントを
求めているわけではなく→
このインヴルサにとっての
大ピンチが→
すぐそこに来ているという
相談です。
分かりました
。
じゃあ
情報を持って来てくれた丹沢さんを含めて→
対策会議しましょう
。
それが…
。
(
時貞正雄)お前 このホテル辞めるってどういうことだよ?
朝光のビジネスホテルに
誘われまして。
でも
お前さ→
辞められないだろ?
分かってるよな?
どうしてですか?
このホテル俺達の手で売却しないと→
あのことが明るみに出ちゃうだろ
。
負債金の一部を
個人的に使い込んだことですか?
はっきり言うな!
違うんですか?
そうだけど…
あのな→
俺が副支配人で
お前が経理担当だったから→
何とかなってたんだろ?
俺 降格させられて→
お前までいなくなったら
終わっちゃうじゃないかよ。
いや
困るのは 時貞さんと→
NNF銀行の横山さん
だけですから。
はぁ?
だって→
NNF銀行からの融資を
着服して トンズラした→
[外:835D78967C04D0F60F02EAFD9D328EF3]総支配人は行方不明
。
そこから
キックバックをもらってたのは あなたと→
銀行の融資担当の横山さん→
この2人だけですから。
ちょ…
お前は?びた一文も。
一緒に隠してくれてたじゃ
ないかよ。
俺とお前の2人で
悪役っぽい交流もしてたし。
悪役っぽい?
私は ただ→
時貞さんの…→
小ズルい顔を見るのが→
面白かっただけですから
。お前 何言ってるか分かんないぞ。
ご安心ください
いまさら 表沙汰にはしませんし。
後のことは
横山さんと相談してください。
ちょっと
丹沢。
(
阿部) 尚美 尚美。
丹沢さん
ホテル辞めるらしいで。
(
尚美) え?新しく出来るホテルに→
誘われたらしいんやけど
。
あの人
随分な古参やのに→
何で急に辞めはんのやろな?
そうなんだ。(阿部) うん。
(ピエール
田中) えっ!
(ピエール)
だから誰もロビーに顔出さないんだ。
大田原さん!
大変ですよ!
近くに
ビジネスホテルが建つそうで。
しかも
そこに丹沢さんが行っちゃうって!
(
大田原) う~。
どうしたんですか?
いつも以上に怖い顔して。
はっ!
この前 時貞さんに4時間半 愚痴られながら→
笑顔が気持ち悪い
って言われたの→
まだ気にしてるんですか?
丹沢さんは経験者として→
新スタッフの教育係に
任命されたそうです。
いつですか?
丹沢さんがいなくなるのは。
1週間後です
。早いな。
正直
信じられないです。
丹沢さんが
いなくなるなんて。
え?
丹沢さん学生時代から 父と一緒に→
ここで働いてくださってたんです
。
だから
ずっとここにいるものだと。
そうですか
。
どうすればいいんでしょう?
う~ん。
(
梢の声) まさか あんたがね。
沈むと分かってる船に→
乗ったままではいられないですから。
(
梢) 昔のあんただったらさ→
解決策を探してたと思うけど
。
枝川さんは
どうして残ってるんですか?
ここしかないから
思い出が残ってんのは。
剛さんですか?
別に沈むってならさ→
沈む瞬間まで見てたいってだけ
。
なるほど
。
よし!
何か思い付いたんですか?
面接しましょう
。
はっ?
♪♪~
皆さん
どうやら すでにお耳に入っているようですが…。
こいつが裏切ったという
話ですよね?
あっ
いや裏切ったということではなく…。
人事にかかわる繊細な話で
いちいち全員集合させるの→
やめてもらってもいい?
いや ちょっと お話が…。
あの~…
。
何か
噂話みたいになるのも嫌だから→
いいタイミングなんで
お伝えしますけど→
実は
私も丹沢さんと一緒に→
朝光ホテルに行こうと思ってます
。
はぁ!?
あの…それは どういうことですか?
私達も
いい機会なんで→
朝光ホテルの教育係に
採用してもらおうと思って。
(
阿部) ちょっと待てよ お前俺に何の相談もないやん。
「
私達」というのは?
(
阿部) えっ?(ピエール) えっ? 大田原さん?
そんなに時貞さんから
愚痴られるの嫌だったんですか?
えっ
何? 俺のせい?
いや~
これは大変ですね。
何
何 何? この急展開!
せっかくレストランにも
お客様入るようになって来たのによ。
そうですよ
丹沢さんテラス席の増築だって→
賛成してくれてたじゃないですか
。そうだよ。
私は
もう関係ないので→
別にいいんじゃないですか
と言っただけです。
うわ
冷静~。え~。
ということは
一気に3パートも面接しないといけないですね 支配人。
(
一同) はぁ?
また
タイミング…。
何?
どういうことよ。
今日
集まっていただいたのは採用面接の相談をしたくて。
採用面接ってことは
こいつらを引き留めるという気は…?
いやいやいや…
もちろんパーティーはきちんと開きますよ。
門出ですから
。
江口さん
オードブルとかお願いできますか?
は?
全然 そこの心配してないです。
えっ?
支配人 どういう…。
宇海さんと話をしまして
。
だって
丹沢さん達 あと1週間でいなくなってしまうんですよ?
その間に
できる限りのことを新人に叩き込んでいただかないと。
だいぶドライな考えなのね
お2人は。
ホテルマンは
根付く方もいらっしゃいますが→
出入りの激しい業界です
気持ちは尊重したいと。
時貞さんと枝川さんの両主任は
今回の面接のチーフということで。
(
梢:時貞) はぁ?それと これは→
丹沢さんにお願いしようと
思っていたんですけど→
そういうことだったら
尚美さんと大田原さんにも→
今回の面接に
一緒に参加していただきます。
えっ?
何で私達が?
だって
皆さんのパートを募集するわけですから→
専門的な目でも
見ていただかないと。
ということで
新人発掘大作戦皆さん よろしくお願いします。
どうりで
あの どケチ人間丹沢が簡単に→
金
出すこと了承したと思ったよ。
でも
このインヴルサの大ピンチですね~。
どうしましょう?
別パートの私達にできることって→
何か
ありますかね?
なるほどな
。
これは
運命かもな。
何がです?
支配人達は 口じゃああ言っちゃいるが→
結局は
戻ってもらう口実がないだけなんだよ。
お給料も
いいらしいですしね。
…って
何ですか? これ。
昨日
池の近くで拾ったんだ偶然!
かつて
このインヴルサで幸運の食材と呼ばれていたものだ。
幸運の食材
。
あっ
動いた!
おい
触るな!! 危ねぇ!
触ったら運気が
落ちちまうかもしんねえだろ!
え~?
何ですか? これ。
こいつが
このタイミングで現れたということは→
神のお導きだ
。あぁ~…。
(
箱が動く音)えっ! え~…。
導いてる
おい… 導いてるぞ!どこに?
はぁ…
やっぱり 今回は何か違う。
宇海さんの
言うこと聞いてちゃダメだ。
私は
やっぱり行ってほしくない。
どうにか残ってもらう方法
考えないと。
(
ノック)
はい
。
失礼します
。
(
ドアが閉まる音)
これ
現在の このホテルの財務状況をまとめたものです。
これを読んでいただければ
全体のことは分かります。
これだけのこと
丹沢さんが今まで1人で。
新規社員の求人募集の手続きも
すぐに手配しますので。
あの
丹沢さんこのホテルに どんな不満が?
いえ
不満なんてありません自分の身を守るためです。
では
。
あの
丹沢さん。
もう一度
考え直していただけませんか?
(
阿部)何で何も言うてくれへんの?
何で勝手に出て行くの?
別に。
俺に相談してくれてもええやん
パートナー組んで 15年やで。
他に人がいないからでしょ
ただ それだけの関係。
分かった
。
ええ人でも選んで
。
お前みたいな人をさ
。
(
大田原) あの…。
あれ?
君達は…。
(
海原) 僕達 分かりますか?
もちろん
海原さんに 山井さんだよね?
確か
僕が採用した…。
(
山井) そうです契約スタッフとして働いてる…。
あぁ~
。
もし
よろしければなんですがお願いがありまして。
なるほど
。
分かりました
。
軌道に乗ったら
君達も向こうに雇ってもらえるように→
話をしておきます
。本当ですか?
ありがとうございます
。ありがとうございます。
頼もしいですね
。
いいんですよ
。
経験者が多いほうが
向こうも喜びますし。
(
大田原) あ…。
あ…
。
(
梢) 何で私が面接担当なんかしなきゃいけないんだよ。
あ~!
めんどくさっ。
俺ってさ→
みんなから嫌われてんのかな?何 いまさら?
やっぱ
そうなの?
もしかしたら
丹沢も俺に嫌気がさして→
いなくなるのかな?
えっ ショック。
いや
あの人は そんなことで辞めるんじゃないと思うけど。
まぁ
嫌われるというのも上に立つ者の責務だよな。
うん
そうだ だったら あれだ。
俺のこと
大好きそうなヤツらを採用すればいいんだ。
ねっ
そうだね 梢ちゃん!
その安直な思考回路→
嫌いじゃないよ。
(
ドアが開く音)(横山) 失礼いたします~。
(
横山)あっ 時貞さん お話って?
誰?
NNF銀行の横山さんうちの融資を担当してくれてる人。
ふ~ん…
で 何で→
時貞さんに用事が?
うん ちょっとね。
丹沢もいなくなっちゃうし
いろいろ話そうかなと思って。
行きましょう
行きましょう向こうにいい部屋があるんですよ。
客室ですけど
ハハハ…。ハハハ…。
(
梢) 何? あの感じ。
あぁ~
。
ってか
面接って 何 着ればいいんだ?
いや~
ワクワクしますね!新しい出会いというのは。
枝川さん
今日は雰囲気 違うね。
3周半回って
こんな服装になっちゃったの。
皆さん
これから お越しになるのは→
未来のチームメート
もしくは→
未来のお客様になるかもしれない
方々です。
笑顔で行きましょう!
ねっ 大田原さん。
今
まさにホテルマンを志す方々との出会いはステキですよ。
自分達も初心を思い出させて
もらえますから。
では
お願いします。
(
服部) はっ!
♪♪~
ありがとうございました。
さぁ
皆さん どうでした?
何でさ
自己紹介お願いしただけで黙るわけ?
さっき
私が質問した時若干 舌打ちしてませんでした?
9番
。私達だって 最初は→
緊張したものじゃないですか
。いやいや。
あれ
緊張とかの問題じゃないでしょ。
ねっ
あんたさ いつも面接の時あんな拷問 受けてたわけ?
仕事ですから
。
評判最低のホテルに
来てもらえるだけ→
ありがたいもんです
。すみません。
皆さん
せっかくの出会いですいいところを探し合いましょう。
特になし
。8番の方。
笑顔がステキでした
。
はぁ?
ちょっと顔がかわいかっただけじゃない。
はっ
。あんたさ→
自分が出て行くからって
適当なこと言わないでくれる?
あぁ…
。あ~! もう。
えっ!?
枝川さんカツラだったんですか?
気付いてなかったんですか?
あんな 髪形七変化してたのに。
で
次で最後?
はぁ?
何? これ。
これ
証明写真1枚シールじゃないの ふざけてんの?
何?
これ 最後。
年齢
初老だぜ 初老。枝川さん。
最後の方は
私が声を掛けた方です。
はぁ…
帰っていい?
江口さん
最近 オフの時間はずっと競艇新聞ですね。
絶対に負けられない戦いを
制するための→
情報収集をしているんだ
。
これはな
このホテルのためなんだ。
いわば
業務だ。
今頃
皆さんは面接中ですね。
一体
どんな人が採用されるんですかね?
園田麗美で~す
。
麗美は
仕事しろって→
無理やり
ママに応募されて来たんだけど→
結構
掃除とかマメにやるほうなんで→
イケると思います
。
清掃は大変な作業ですけど
。
とりま
昼 掃除しちゃえば夜 サボっしょ。
筒賀
猛です。
今
大工やってるんですけど大丈夫ですか?
ホテルマンを志してくだされば→
今は何をやっていても問題ありませんので。
夢のために頑張りたいと思います
。
夢とは何ですか?
漫画家になりたいんです。
えっと…
漫画家ですか?
あの
ちょっと分からないんですけど。
大工から漫画家への人生に→
こう 線引いたとしますよね?
すると
通りますかね?ホテルという存在。
はい
自分格闘漫画 描きたいんで。
はじめまして
小山内幸夫と申します。
履歴書のほうにも
書かせていただきましたが→
長年
商社に勤めてデベロッパーとして→
各地にショッピングモールなどを
造ったりしてまいりました。
すごいですね
。
(
小山内) 志望動機ですが→
噂の宇海さんと一緒に
働けるチャンスがあるなら→
ぜひにと思いまして
。
ありがとうございます
。
で
デベロッパーの方がどうしてホテルを?
この仕事にも
なかなかつらいものがありまして。
というのは?
例えば ある場所にショッピングモールを造るとします。
近隣の皆さんには→
とても便利になりますよと宣伝をします。
しかし
実際には→
まぁ
昔からの商店街などを衰退させたりします。
それは仕方ないことですよね?
あ… 私は今までそういったものを→
見ないフリをして生きて来ました
。
しかし
ふと思ったんです。
最後は
ひとに尽くす仕事をしたい。
似てる
。え?
いや
小山内さん。
(
丹沢) 剛さん→
佐那さんのお父様にですよね?
うん。
それは
私も思いました。
そうなんですか
。
う~ん
雰囲気がね。
そうか?
顔 全然 違かっただろ。
顔じゃなくてさ
こう たたずまいがね。
とにかく
私は この人優秀そうだと思ったけど。
あの
皆さん もしよろしければ→
私の個人的な
つながりのある方で恐縮なんですけど→
仮採用という形でも
。
いいと思いますよ
。
経歴を見る限り
数字関係にも強そうですし。
分かりました
じゃあ 早速 連絡します。
すぐにでも来ていただいて
いろいろと見ていただきましょう。
(
ノック)
どうぞ
。
小山内さん
明日からでも来てくれるそうです。
そうですか
。
あの方
そんなに おとう様に似てるんですか?え?
いや
皆さん口をそろえて言っていたので。
あぁ
しゃべり方や声の質など雰囲気が。
ふ~ん
。
これも何かの巡り合わせですかね
。
あの
宇海さん。はい。
面接までしておいて何ですけど→
私は やっぱり 丹沢さんに残っていただきたいです。
丹沢さんだけでなく
私は→
自分が総支配人となった時に
いてくれた皆さんと一緒に→
このホテルで働きたいんです
。
もちろん
小山内さんにも働いていただいて構いません。
甘いかもしれませんけど→
そのお給料分はこのホテルを盛り上げて→
稼げばいいんです
だから…。
それは…
。
どうしてですか?
丹沢さんには ホントにお世話になって来ましたし→
これからも…
。
情だけで固執するなら
私は反対です。
情?
丹沢さん達が辞めるのは自らの意思です。
それを情で
つなぎ留めたとしてもすぐにまた ほころびが出ます。
これから幾度となく→
このようなことは起きると思います。
決断をした人間を
愛情を持って送り出すのも→
総支配人の務めだと思います
。
しかし…
。
意志を持って止めることは
反対しません。
それもまた
総支配人の務めですから。
「
やりたいことをやる」。
初めに
私に宣言したことですよ総支配人が。
そうですね
。
結果が
どうなったとしても→
臨機応変に対応するのが
副支配人の務めです。
なので
私はパーティーの準備を進めておきますね。
分かりました
。
(
ドアが閉まる音)
(
阿部) どうやったん? 面接。
丹沢さんの後釜は大丈夫そう
。
清掃部の人は
まだね。
そっか
。
あのさ…
。
文句は聞き飽きたから
。いや…。
今まで
ありがとうな。
まだ早いから
。
手
止まってるやん。
そんなんやったら
新しいとこで困るで。
(
鼻歌)
♪♪~
♪♪~
さよならか
。
(
小山内) ここのコストを削減できれば 相対的に→
仕入れ価格も削減することが
できると思います。
(
梢:時貞) うわ!
こちらの書類
まとめて支配人に提出しておきます。
ありがとうございます
。はっ!
すごい!
ホントに何でもできるんですね。
いえ
。来て数日で→
経営の中枢にまで
食い込んで来てやがる。
(
小山内) いえいえ 時貞さんが全体を把握してるおかげで→
質問が少なくて済みます
。お~!
分かってますね!
丹沢問題は あっさり解決したな。
いや
全然 悪口じゃないよ。
いや
ホントに→
小山内さんが優秀な方で
安心しました。
≪出来た~!≫
のりつけ完了です今日はパーティーですからね。
あっ
小山内さん。はい。
事務まわりのことばっかり
お願いしていたので→
ちょっと
あらためて ホテル内の確認をして来てもらっても→
いいですか?
分かりました。
じゃあ
私が ご案内します。
あ…
枝川さんと時貞さんは→
今後の面接の相談もあるので
ちょっと残ってください。
なので
丹沢さん お願いします。
私ですか?
はい よろしくお願いします。
(
ハル) ちょっと もう丹沢さん最後の日になっちゃいましたよ。
ず~っと
競艇新聞ばっかり読んでて→
結局
何にもしなかったじゃないですか。
それは違う
。
俺は今日のために
全ての準備をして来たんだ。
ん?
俺には こいつが ついてる。
このホテルの大ピンチに
突然 現れた 幸運の食材。
この1週間
こいつの幸運を浴び続けた俺は→
今
もう まさに運気マックスの状態だ!
1枠には
前走でも1着だったベテランの選手。
今季のペラの性能も抜群だ
。
さらに
うちには そいつをアシストする選手がいて→
ライバルを潰しにかかる
そうすると外枠が まくって来る!
完璧だ!
全てが完璧なシナリオだ!
ちょっと何言ってるか
分かんないですけど。
いいか?
あいつらを引き留めるのに→
最後にネックになるのは何だ?
遅い!
金だ!
金!
俺はな
このレースの勝利資金を全て→
このホテルに
寄付しようと思ってる。
そんな1回のレースで
寄付なんてお金になるんですか?
100万円
賭けちゃった。え~! 100万!?
いいか?
宇海がやって来てだんだん変わり始めて→
丹沢も
大田原さんも→
尚美さんも
いや もう みんなだよ みんな!
今
辞めちまうのはもったいねえだろ ねぇ!
返事をした~!
お~い 来る! おい来る ハル。
こいつは
ぜってぇ来るぞ。
だからって
江口さん…。
静かに!
始まる。
以上です
何か ご質問などありますか?
いえ
大丈夫ですご丁寧にありがとうございます。
いえ
。(小山内) いや~→
しかし
やっぱり いいですね!古い建物は。
あ…
。
そんなに似てますか?
私。
この何日かの間に
何度か言われまして。
桜井
剛さんという以前の総支配人に似ていると。
そうですね
。
お話しされてる雰囲気など
そっくりです。
そうですか
。
「
ひとに尽くす仕事をしたい」。
そう
おっしゃってましたよね?面接の際に。
それを聞いて私も
何ていうか→
初心を思い出してしまいまして
。
私の場合は
お客様というより事務方でしたから。
その総支配人に尽くすという
感じでしたが。
ちょっと
座りませんか。
あっ
。
丹沢さんは
本当は→
このホテルに
残りたいんじゃないですか?
え?
私 実は昨夜 見てしまったんです。
何をですか?
あなたが夜 この庭を歩き回ってホテルを眺めてる姿を。
いや
こんな言い方したら失礼かもしれませんが→
未練といいますか
そんなものを感じました。
あっ
違います 全然 違うんです。
え?
私 捜してたんです。何をですか?
スッポンです
。
スッポン?
はい。
私が初めて
このホテルに働きに来た時→
まだ学生でした
。
その時
初めて任された仕事が→
スッポンの世話でした
。
(
小山内) あ~。
フレンチの食材で
使われてまして→
で
当時の総支配人からスッポンの世話を頼むと。
あ~
。
そしたら
私が世話をしてたスッポンが→
なんと
このホテルの看板メニューにまでなって。
フフ…
。
やがて
こう いわれるようになったんです。
「
幸運の食材」と。
ですが
時がたって→
それに代わる
看板メニューも出来て→
仕入れも減って来て
。
スッポンは
最後の1匹になりました。
あ~
。
何だか
愛着が湧いてしまいまして。
私
そいつに名前まで付けて世話をしてたんです。
でも
なぜか→
そいつが
厨房に連れてかれることもなくて。
聞いたら
総支配人が止めてたんです。
幸運の食材を
なくしてはならないと。
そして
私に ただ ひと言だけ→
いつも
ありがとうって声を掛けてくれた。
それからも
ずっと→
そのスッポンの世話を
してたんですが→
先日
いなくなってしまいまして。
なのに…
。
(
丹沢) このホテルの人間は→
だ~れも気付きもしないで
。
それで思ったんです
。
「
はぁ… もう おしまいだな」って。
すいません
こんな話。
何でですかね?
小山内さんが あの方に似てらっしゃるから つい。
丹沢さん
それ 勘違いですよ。
はっ?
私 厨房で聞いたんです幸運の食材の話。
それは
もう 大事過ぎるほどに扱われてましたよ。
え?
丹沢さんの思いは届いてますよ。
♪♪~
すぽ太郎。
あっ
丹沢さん 知ってますか?この不幸の食材。
こんなの信じたばかりに
今 まさに→
江口さんが
100万円の大損をしました!
ハァ…
。
(
ハル) なので 厄払いに私が→
こいつをアスピックにして
食べてやろうと思いまして!
すぽ太郎!!
どうしたんですか? 丹沢さん。
丹沢さん
すいません。
だから言ったじゃないですか
。
チラっと信じただけに
衝撃 倍ですよ!
チクショ~!!
丹沢さん!
よし
。
宇海さん
。
あっ
すいませんやり始めたら凝っちゃって。
私
やっぱり丹沢さんを止めようと思います。
そうですか
。
考えて
思ったことを伝えたいと思いました。
たとえ
それで断られてしまったとしても→
後悔のないように
。
それが一番の武器ですもんね
支配人の。
武器?
いえ 何でもありません。
梢ちゃん→
ちょっと あの小山内さんって人お気に入り過ぎじゃない?
え?
いくら ちょっと…→
ほんのちょっと
剛さんに似てるからってさ。
別に
そんなんじゃないわよ。
でもさ~
。いや ホントに。
確かに懐かしい感じはするわよ
。
でも
だからって どうこうって。
そんな安かないだろ
。
はい
。
え?
じゃ ついに僕と?
それは
一層ない面接から やり直して。
でもさ
宇海のヤツ 何だって急に…。
あ~
さっきの採用面接の件?
(
ドアが開く音)(丹沢) ハァ ハァ…。
(
梢) えっ 何? どうしたの?どうしたんだよ 急に。
う~わ!
何だ その汚ねぇ亀!
あ~
。
あ~
やっぱりあんた達も そうですよね!
もうね
今すぐ ここを出て行こうと思いましてね。
最後のご挨拶に来ただけです
。
え~?
ちょっと待てよ。
最後ぐらい
ちゃんと… 丹沢!
いよいよ
今日で最後か。
あんたさ
最近 寂しそうな顔してるけど→
やなの?
私がいなくなるの。(阿部) え?
いや
もう覚悟はできてるよ。
前に聞いたじゃん
。
「
何で出て行くんだ?」って。
分かった?
理由。
ん~
分からへん。
それよ
。
何が?
この前 企画やった時から→
あんた
あのコの話ばっかじゃん。
それが
やだったのよ。ちょっと待てよ。
あの人は
お客さんやん。
私だって見ててほしいのよ!
40超えたって。はぁ?
別に
好きなわけじゃないからあんたなんかのこと。
でもね→
ずっと隣にいた空間を取られちゃった女の気持ち→
あんた分かってんの?
(阿部) いや ちょっと… ごめん。
なぁ
ホンマに お前 どうしたん?「お前」って呼ばないで!
ねぇ
どう思ってたの? 私のこと。
え?
ちょ…。
いや
別に…何とも思ってないよ。
恋人でも夫婦でもないんやからさ
。
そう
。
(
阿部) でも→
俺の人生のパートナーは誰か
って聞かれたら→
最初に浮かぶんは→
お前の顔や。
長吉
。
♪♪~
(尚美) おっ!お~ びっくりした!
はい
了解です。
尚美さん
あれね…。
残るのね?
はい。
分かりました~!
丹沢さん…。
大田原さん
今日で最後ですよね?
はい
。
いいコンビだと思ってたのにな
。
そら
大田原さん→
みんなからは
無愛想だっていわれますけど。
僕
分かるんですよね。
荷物を持って行く時→
目の端で「よろしく」って言ってるのが。
こんなの僕だけだと思いますよ
。
ピエール…
。
すいません
情けない。
でも
時貞さんに言われた嫌みじゃなくて→
これは覚えててくれたら
うれしいです。
最後に
あなたが去る時に→
涙を流した同僚がいたって
。
はぁ…
。
さぁ
送別会 顔出しますか。
やっぱり
私…。
(
丹沢) はいはい。
(ピエール)
うわ~!
どいつも
こいつも→
どいつも
こいつもだよ!
私にはね→
こいつがいるから いいんだ。
こいつが…
なぁ?
丹沢さん…
。
あ~
丹沢さん。
あ~
支配人。
これまで
ありがとうございました。
ちょっと申し訳ないんですけど→
あの… 耐えられないので今すぐ帰らせていただこうかと。
えっ?
ホントにお世話になりましたまた あらためて ご挨拶に。
それでは
。
すぽ太郎さんじゃないですか
見つかったんですね。
え?
「さん」?
逃げ出してしまったのかと
私も捜してたんです。
「
私も」って。
だって
丹沢さん捜してくださってましたよね?
あの
丹沢さん…。
行かれてしまう前に→
1つだけ伝えさせてください。
正直
どうして丹沢さんが→
このホテルを
出て行かれようとしているのか→
私には全く分かりません
。
父が総支配人の時には
どんな危機だって→
一緒に乗り越えようと
してくださってました。
だから…
。
(
泣き声)
確かに
私は力不足で父のような人間にはなれません。
だけど
私にとって丹沢さんは→
失うことのできない→
かけがえのないスタッフなんです。
何か
こういう気持ちは→
心の中で持ってるだけでは
ダメだなって思ったんです。
だから
伝えさせてください。
いつも…
ありがとうございます。
経営のことも
人事のことも→
すぽ太郎さんのことだって→
いつも本当に支えてくださってありがとうございます。
私達には
丹沢さんが必要なんです。
それに
丹沢さんがいなくなってしまったら→
私が寂しいんです!
だから 残ってください。
お願いします!
お~い。
遅い
。
遅いですよ
支配人。
もう
朝光ホテルの手続き→
済んじゃってますよ
。
いや
だってね→
こいつがいなくなっても
だ~れも何も言わないし→
僕のやってること
何なんだろうと思って!
そしたら
ちょうどタイミング良く朝光ホテルから話が来て!
ちょっとだけ話
聞いたらあれよあれよと話が進んで!
支配人には僕の気持ち
分かってほしいなと思って話したら→
江口さんが
飼育小屋 ぶっ壊すって言うわ→
宇海さんは
面接しようって言うわ!
じゃ
いいですよやってみたらいい!
どうせ
ろくな人なんて来ないと思って→
高
くくってたら 小山内さん!
宇海さん
自ら連れて来るなんてひきょうでしょ!
しかも
尚美さんも大田原さんも乗って来て→
もう完全に
後に引けなかったんですよ!
なのに
だ~れも引き留めもせずに→
小山内さんをちやほやと!
こんな送別会まで用意されちゃって。
くす玉~!
僕はね…。
僕だって→
寂しかったんですよ!!
(
泣き声)
丹沢さん…
。(泣き声)
(
泣き声)
これは…
。
どういう…?
あれ?もう始めちゃってたんですか?
宇海さん
これ 一体どういうことですか?
あ~!
このひも 私が引っ張りたかったんですけどね。
そういうことじゃなくて…
。
皆さん
やりました。
朝光ホテルのビジネスホテル
開発予定は廃止になりました。
(
一同) はぁ?
皆さん…
。
すみませんでした
。
急に何ですか?
小山内さん 実は→
今回のビジネスホテル開発の
関係者なんです。
(
一同) えっ!?
(
小山内)だますような まねをして申し訳ありませんでした。
あの
宇海さんから→
このホテルのことを
知っていただければ→
きっと気が変わります
と言われまして。
普段の姿を
公平に見ていただこうと思い→
皆さんには内緒にしていました
。
面接の時
私が言ったことは本当です。
噂の宇海さんの下で
働いてみたかった。
そして
私の仕事に疑問を持っていた。
宇海さんの言う通りだと
思いました。
皆さん
よく このホテルのことを知っている。
そして
表には見えない→
奥底に愛情を感じました
。
あの
ばっちり 経理とかの内部資料も見せてた…。
それも
お願いしました。
小山内さんの目から見て
どうだろうかと。
まだまだ余地はありましたが→
まぁ 一生懸命に 崖っぷちに立って残ろうとする→
その努力を感じました
。
何か
きっかけがあればここは化けますよ。
ここのホテルが大逆転した姿を
私も見てみたい。
ですから→
近隣にホテルを建てるなんてことは→
私がさせません
。
だから
宇海 さっき俺達に→
もう面接はしないって言ったのか
。
じゃあ…
。
丹沢さん
尚美さん 大田原さん。
もし皆さんが
よろしければ→
ここで
また一緒に働いていただきたいのですが。
いや
あの…。
はぁ
。
ですよね?
総支配人。
はい
。
お願いします!
よかった~。
じゃあ
予定通り パーティーを。
あっ
…の前に1人 ご紹介が。何ですか?
小山内さんの心を動かすのに
協力してくれた方がいまして。
いわば
このインヴルサの救世主です。
いや~
実は→
うちの娘が
こちらのホテルを潰すなら→
親子の縁を切ると言われまして
。
なぜ?
それで 自分達とどうしても一緒に働きたいと→
おっしゃって
くださっているんです。
どうぞ
。
(
小山内裕子) お久しぶりです。
あ~!!
あなた! あの時の!
あの日の
ベッドメーキングの快感が→
どうしても忘れられなくて
。
ぜひ
ここで皆さんと働かせてください。
ということですが→
いかがですか? 総支配人。
は…
はい。
え?
おかえり。
いや…
。
ただいま
。
せめて
私にだけは言ってほしかったです。
すいません
。
でも
支配人が働く姿も→
小山内さんに対しての
説得材料だと思って。
でも
実際のところ→
娘さんのおかげが
大っきいですよね。
かもしれないですね
。
ホントに救世主です
。
どこまで分かってたんですか?
私は ただ臨機応変に対応しただけです。
いろんな可能性を考えながら
。
それが務めですから
。
宇海さん
。
いつも
ありがとうございます。
その言葉
染みますね。
よし
。
[外:3D1BD145819ECE4A33807CE3A4B1EFAA]
(着信音)
2018/05/06(日) 22:30〜23:25
読売テレビ1
崖っぷちホテル!#04[解][字][デ]
ホテルに大ピンチ!近隣にビジネスホテル建設予定が立ち上がり、スタッフは次々辞めると言い出す…。悩める従業員に告げたのは古参切り捨て新人面接!?次なる大逆転の手は
詳細情報
出演者
岩田剛典
戸田恵梨香
浜辺美波
中村倫也
くっきー(野性爆弾)
チャド・マレーン
佐伯大地
鈴木浩介
西尾まり
宮川大輔
りょう
渡辺いっけい
番組内容
近隣にビジネスホテルの建設予定が…。そして古参の丹沢(鈴木浩介)がその引き抜きでホテルを辞めると宣言。さらには尚美(西尾まり)、大田原(くっきー)までこのホテルを出ると言い出す。悩める総支配人の佐那(戸田恵梨香)が宇海(岩田剛典)に相談すると、なんと宇海は古参を切り捨て新人面接を行うと言い出す。様々な想いが交錯するホテルインヴルサ。物語のキーは意外なものが握っていて…。次なる大逆転の一手とは!
監督・演出
【演出】
水野格
原作・脚本
【脚本】
土田英生
音楽
松本晃彦
【テーマソング】
「Strangers In The Night」フランク・シナトラ
制作
【プロデューサー】
福井雄太
柳内久仁子
【製作著作】
日本テレビ
【制作協力】
AXON
番組ホームページ
【HP】
http://www.ntv.co.jp/gakehote/
【Twitter】
@gakehote2018
【インスタグラム】
gakehote_ntv
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ