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2018/05/28(月) 22:25〜23:10 プロフェッショナル 仕事の流儀▽情熱が、道をひらく〜ショコラティエ・三枝俊介[解][字]

情熱が 駆り立てていた。
カリブの島国
トリニダード・トバゴ。
その 鬱蒼とした林を
かき分け進む→
一人の日本人。
探し求めるのは…→
カカオ。
この男の職業。
それは ショコラティエ。
「チョコレートの魔術師」…
男の生み出すチョコレートは
香り高く 深みのある味わい。
三枝は チョコレートの原材料

カカオ豆から全てを手がける→
日本の先駆者。
不器用で どこまでも まっすぐ。
三枝は今 壮大な夢に挑む。
究極の チョコレートを作る。
♪♪~
八ヶ岳の麓。
ここに ショコラティエ
三枝俊介の工房はある。
まず 取りかかったのが→
原材料であるカカオ豆の選別作業。
悪い豆を 丁寧に取り除く。
多くのショコラティエは→
専門メーカーが製造した

チョコレートを買い→
それを商品化する。

だが 三枝は違う。
世界各地から仕入れたカカオ豆で
一から作る。
チョコレートを豆から作る…
三枝はその先駆者だ。
選別を終えると
三枝が最も こだわる工程に入る。
蒸したカカオ豆を 焙煎機に入れ
高温で ローストする。
カカオ豆は 産地の気候や
農園の土壌などによって→
味や香りが大きく異なる。

例えば 今 焙煎しているこのトリニダード・トバゴの豆は→
古木のような香りで
長い余韻が特徴だ。
焙煎によって じつに
1,000種類以上の香り成分が→
生じると言われる カカオ豆。
そこから その産地ならではの特徴を引き出すには→
焙煎の時間と温度
その微妙な調節が カギとなる。
時間を変え 温度を変え。
三枝は 各産地の豆ごとに試行錯誤を重ね→
ほぼ独学で
焙煎の技術をマスターした。
更に 豆の事を より学ぶため
毎年 産地に赴き→
気候や土壌 農園の経営状態まで
把握に努めている。
焙煎を始めて 40分。

ショコラティエという仕事と向き合う時→
三枝には 一つの矜持がある。
焙煎した豆は 細かく砕き砂糖やミルクなどを加え→
丸一日 混ぜ合わせ続ける。
そうして ようやくチョコレートは出来上がる。
♪♪~
だが。
出来たチョコレートを
型に流し 冷やして→
板チョコを作っている時だった。
三枝の目が 光った。
はい。
冷やす際の温度調整が理想的でなく→
表面のつやが 僅かにないという。
三枝の格闘の現場はここから→
もう一つの工房がある
大阪に移る。
♪♪~
八ヶ岳で作られたチョコレートは→
ここで 果実や酒などと合わされ→
さまざまな味わいのチョコレート菓子になる。
バレンタインデーを過ぎた
2月下旬。
三枝が ある事に取り組んでいた。
夏に発売する新作チョコレートの試作だ。
今年 三枝が挑む事にしたのは
パイナップルや スイカ。
ライム。
そして更に もう一つ。
難しいと思いながら

挑んでみたいものがあった。
麦茶だ。
だが麦茶は 風味が淡く→
チョコレートに混ぜると
味わいを感じにくい。
三枝は 麦茶を濃く煮出し
チョコレートと混ぜ合わせてみる。
やはり 麦茶の風味が→
チョコレートの味に負けてしまっていた。
1,000種類以上の
チョコレート菓子を→
生み出してきた三枝でも→
麦茶は 極めて難しい。
う~ん…。
数日後。
改善策を考え 再び試作に挑む。
自分で麦を焼きそれを煮出して作る→
オリジナルの麦茶も
混ぜる事にした。
更に 合わせる
自家製チョコレートの産地も→
変えてみる。
しかし 結果は。
う~ん。
麦茶を 濃く煮出すのがよくないのではないか。
通常の濃さで煮出し→
その水分を飛ばして使う事も試す。
すると。
ついに 手応えを得た。
ところが 満足のいく出来にも

かかわらず→
三枝は まだ終わろうとしない。
3日後。
ああ…。
三枝は知り合いの茶師と会っていた。
麦茶の風味を
より際立たせる方法がないか→
相談する。
三枝が 最も大切にする流儀がある。
その後も
試作に取り組んだ三枝。
この日 ある試みをした。
新作を 著名な料理評論家やチョコレート評論家に→
食べてもらう。
麦茶が 高い評価を得た。
引き算がいいかもしれない。
私も引き算にしてほしいんですよ。
その一方で こんな意見も出た。
だって シェフ…
三枝の最大の強みは→
チョコレート自体の香り高く 深い味わい。
じつは三枝自身も
今 強く思っている事があった。
チョコレートを更に
もう一段 深く見つめ→
これぞ 「我が店の味」という
究極のものを確立したい。
その思いは やがて三枝を→
新たな挑戦へといざなう事になった。
♪♪~

(拍手)
この日 三枝さんは→
定年退職を迎える姉と兄のために慰労の会を開いた。
昭和31年 大阪で3人きょうだいの
末っ子に生まれた三枝さん。
高校生の時 他界した
父に代わり→
働き始めていた
姉や兄に助けられ→
学校に通う事ができた。
家族に支えられて高校を卒業した三枝さん。
そこから
今に至るまでの道のりは→
誰も 思いも寄らないものだった。
デザイナーになりたかった三枝さん。
ところが 美大の受験に失敗。
ならば 早く手に職をつけ働こうと見つけた仕事が→
ケーキを作る パティシエだった。
働き始めて2年。
日本を代表する洋菓子職人だった
安井寿一さんと出会う。
その指導の厳しさは
つとに有名だった。
少し腕が上がってくると→
当時 日本にまだ入ってきていなかった→
洋菓子の写真を見せられ
こう言われた。
「夕方までに 作れ」。
そして なんとか作り上げてもけんもほろろに酷評される。
とにかく

今やれるだけの事は やろう。
三枝さんは 文献を読みあさり
工夫を重ねた。
すると。
♪♪~
「今できる最大限の事を
必死に やれば→
可能性の扉は開くんだ」。
その事を 身をもって知った。
33歳の時 三枝さんは独立し
ケーキ店を持った。
10年以上の修業を経て 実力は
申し分ないものになっていた。
すぐに評判となり 僅か5年で
店は3つを構えるまでになった。
その翌年 本場で学ぼうと
フランスに渡った。
そこで 「チョコレートの神様」
と称される男と出会う。
ベルナシオンは カカオ豆から
丁寧にチョコレートを作る事で→
世界から 評価を受けていた。
帰国すると 三枝さんはカカオ豆からは作らないものの→
チョコレートに本腰を入れて
取り組み始める。
ところが。
やがて もやもやしたものが胸の内に生まれてきた。
カカオ豆から丁寧に作る
ベルナシオンのチョコレート。
あの鮮烈さに匹敵するものを

自分は生み出せているのか。
しかし
今や多くの店を構える自分に→
あの手間暇は かけられない。
でも 本当に 今のままでいいのか。
三枝さんは 決断した。
8店舗あったケーキ店を全て閉めいちショコラティエとして→
「Bean to Bar」に挑む。
若き日自分を支えてくれた 姉と兄。
三枝さんは
2人が好みの お酒を使った→
オリジナルチョコを
プレゼントした。
何歳になっても どんな時でも。
「今できる 最大限の努力をする」。
61歳は その流儀を胸に
挑み続ける。
♪♪~
3月。
三枝は 日本から 1万4,000キロ→
カリブ海に浮かぶトリニダード・トバゴにいた。
この国は
カカオ豆の生産が盛ん。
良質なものが
とれる事で知られる。
この旅には 大きな目的があった。
「これぞ店の味」と 誰もが認めるチョコレートを作りたい。
それを実現させる
究極のカカオ豆を→
この地で見つける。

三枝はいくつかの農園を見て回り→
この国の中でも
ベストの豆を探す事にした。
この日 訪れたのは→
近年改良された品種を多く栽培している農園。
「カカオポッド」と呼ばれる
かたい外皮の中にある カカオ豆。
管理が行き届いた土地で
5,000本が栽培されていた。
ここで栽培されているのは
「TSH」という品種。
品種改良により
実が大きく 収穫量も多い。
カカオ豆の周りの
白く甘い果肉を食べ→
豆の出来を探る。
その時 案内をしていた農園主が奧にある裏山に→
三枝を連れていきたいと
言いだした。
そこは 50年前まで→
前の農園主がカカオを栽培していた場所。
樹齢のいったカカオの木が→
実を つけているかもしれないという。
なんと 樹齢100年という
老木があった。
しかし。
この木は 現在主流のTSHよりも古い→
「ICS」という品種なのだという。
いやあ…。
翌日。

三枝は 今度は 140年ほど前に創業した農園に向かった。
農園主は 何回か代替わりし→
今は この若い夫婦が守っているという。
この農園も 手入れが行き届き
美しかった。
2018/05/28(月) 22:25〜23:10
NHK総合1・大阪
プロフェッショナル 仕事の流儀▽情熱が、道をひらく〜ショコラティエ・三枝俊介[解][字]

いま注目のショコラティエ三枝俊介。今年3月、「時代を超える普遍的な味を確立したい」とカリブの島に向かった。原材料のカカオ豆探しから挑むチョコレート作りに密着!

詳細情報
番組内容
チョコレートをカカオ豆の焙(ばい)煎から手がける“Bean to Bar”。日本の先駆者三枝俊介は、いつも「今できる最大限の努力を」とつぶやく。ケーキを作るパティシエとして高い名声を得ながらチョコレートを全力で極めたいと57歳で店を閉め、いちショコラティエとして再出発した。3月、「時代を超える普遍的な味を確立する」と向かったのはカリブの島。ここで最高のカカオ豆を見つけチョコレート作りに挑む姿に密着
出演者
【出演】ショコラティエ…三枝俊介,【語り】橋本さとし,貫地谷しほり


ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
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