♪♪~
(
上崎さん) ほら あそこ あそこ!あそこ あそこ あそこ!
どこ~?
<毎日のように ここへやって来る女性がいます>
≪どこ~?≫
おった おった おった…!
あ~
あっ! おるよ おるよ!おるよ! まだおる おる!
おった!
おった! おった!右 右!
(
上崎さん) あ~ 出た出た出たあ~ 出た出た。
あ~
大きい 大きい!
<お目当ては…>
<世界で最も小さなクジラです>
<日本では
瀬戸内海などの→
浅い海に生息しています>
<世界的に見ると 絶滅の危険性が高いとされていますが→
ここでは
一年中 見ることができます>
みんな
向こうに ハハ…。
<下関の小さな海岸>
<スナメリに魅せられた上崎さん>
<そして
仲間たち>
ここは…
。
フハハハハ
お庭です。
(スタッフ)
そこにすむスナメリは?
<ここは
海の庭>
<上崎さんは
海岸沿いの小さな集落から→
毎日のように足を運びます>
<この庭で→
私たちは
身近にあふれる自然の大切さを→
教えてもらいました>
≪張り切って行こう!≫≪うい!≫
<近くに住む人たちの
憩いの場です>
<私たちのカメラは
上崎美代子さんに→
偶然出会いました>
(芳野) <海岸の風景を撮影しに来た僕に→
上崎さんは
「スナメリ出るよ」と→
人懐っこく
話し掛けて来たのです>
<まさかと思いつつも
僕はカメラを回してみました>
(
上崎さん) 2頭がすごかったね!
(スタッフ)
上崎さんここにお姉さんがいるから→
ここの
ここら辺…?(上崎さん) おった おった…。
お姉さん
どこ?(スタッフ) お姉さんがここ。
それで
ここら辺ってことですよね?
(
上崎さん) 潮目が… うん うん潮目がここら辺 この辺。
(スタッフ)
この辺ですね? それで構えて。
(
上崎さん)あ~! おった おった…!
潮目の中
出た 潮目の… 潮目やけもうちょっと上げてごらん。
(
芳野) <すでにカメラには写っていたのですが→
僕には
全く見えていませんでした>
(
上崎さん) あ~ あっ お兄さん!(スタッフ) どこ どこ どこ?
まんじゅう岩?
(上崎さん)丸い そこの岩の後ろ!
(スタッフ)
ここら辺っていうこと…?お姉さんの…。
これ
まんじゅう岩?(上崎さん) これ まんじゅう岩。
まんじゅう岩の…
この辺。
うん
その辺に合わせとって。
(スタッフ)
あれが まんじゅう岩。(上崎さん) あの丸いのが…。
(
芳野)<指示通りに構えていると…>
(
上崎さん) あ~! あっ あっ…!
≪赤い船の前!
あの白い中! 白い中!≫
<上崎さんは地元水族館の
ボランティアとして→
海岸を訪れる人々に→
スナメリの魅力を伝えています>
<この海岸のそばには
30年前に移り住みました>
<その後
夫と別れ→
病院事務の仕事をしながら→
女手ひとつ 娘を育て上げました>
<どんな時にも
海に励まされた上崎さん>
<恩返しにと
海岸のゴミ拾いをしていた時に→
スナメリと出合いました>
何か…。
<以来13年→
毎日毎日 コツコツ→
上崎さんは
観察を続けて来ました>
<スナメリの発見日時→
頭数 場所→
それに
行動の様子→
潮の状態と天気まで>
<さらに 海岸の風景を描き→
集めた情報を重ね合わせます>
<すると いくつかのことに気が付きました>
≪や~
きれい きれい 光って≫
<まずは
大潮の日に姿を現しやすいということ>
<潮の流れが速く→
餌となる魚の動きが活発になるからだと考えました>
(
上崎さん) あ~ 出た出た出た。
(
上崎さん)あ~ あそこ筋が行くやん。
筋が行くけ
分かるね。
<最も会えるのが春>
<繁殖を終え 親子で泳ぐ姿を見ることができます>
<上崎さんは
スナメリ観察のコツも→
分かりやすく
まとめました>
<いくつかご紹介しましょう>
<まずは 潮目が現れた時>
<水面に白い線が出来た時には
要注意>
(
上崎さん) 出た 見た見た?
<
「魚がとびはねる」>
<おなかをすかせたスナメリが
追い掛けているのかも>
<鳥が空を舞い始めたら→
絶好のチャンス到来>
<上崎さんたちの
スナメリ観察の活動は→
日本動物大賞を受賞>
<地球環境の保護について→
考えるきっかけをつくったと→
評価されました>
(
芳野)<上崎さんと出会って2か月>
おった
おった おった…!
あ~
あっ! おるよ おるよ!おるよ! まだおる おる!
(
上崎さん) 食ってるよ!
そこ
そこ そこ! 葉っぱの後ろ。
(
芳野) <ようやく僕もスナメリが現れる時の様子が→
分かって来ました>
<この日は 大ぶりの魚を食べる→
貴重な場面を
捉えることができました>
<一方
こちらは上崎さんの写真>
<上崎さんは
こんな場面に→
何度も遭遇しているのです>
(上崎さん) チヌ チヌ チヌ!
(
上崎さん) うお~!≪すごい すごい≫
(スタッフ)
うれしいですねやっぱ見れると。
そうよ!
それが見れただけじゃなくって→
クルクル
クルクルあっち向いてたり→
こっち向いてたりしよって
背中ぽんこら ぽんこら出よったね。
チヌやった?
チヌやろ…。
チヌやったって
よう帰って見てみ 大きくして。
<本州と九州に挟まれた…>
<古くから海上交通の要衝で→
日本と東アジアを結ぶ
国際航路が通っています>
<1日
1000隻もの船が行き交う この海に→
人間と同じ哺乳類→
野生のスナメリが生息しているのです>
<住宅街や工場に
囲まれながらも→
小高い丘に隔てられた
上崎さんの庭…>
<200mほどの
きれいな砂浜が続きます>
<海岸には
スナメリの他にも→
たくさんの命が宿っています>
<梅雨の頃 見つけたのは…>
(
上崎さん)あっ 出そう あ~ 出た~!
ハハっ
出た! 撮れた?
ハハハハハ!
<上崎さんは特に珍しい生き物を見つけると→
しばらく手元に置いて→
観察してから海に返すようにしています>
<この日
見つけた…>
<おなかに子供を
宿していました>
<産んでいるのは
実は雄>
<タツノオトシゴは→
雌が雄のおなかに卵を産み付けます>
<そのまま雄が卵を育て
産み落とすのです>
<絶滅危惧種のカブトガニも→
よく見つかります>
<この日は
つがいで流れ着いていました>
<台風が近づいていたので→
上崎さんは保護することにしました>
汗
たらたら~。
<カブトガニを
一人でも多くの人に見てもらいたい>
<上崎さんは
海の教室を開くことにしました>
あっ
すごい ホントすごいうっわ デカい すご~い。
デケェ~
。(上崎さん) これが標本です。
≪わっ
スベスベ~≫
≪これ≫
(上崎さん) そうそう そうそう。
(
上崎さん) ここが…。
(
上崎さん) ここにペタっとくっつくような形になっとるね。
裏は
こんななっとる。≪うわ~≫
<死んで漂着した
カブトガニを使った→
お手製の標本です>
裏ってどうなってるんだろうとか→
お目目ってどこにあるんだろう
とか…。
もう1回触って
。あっ!
(
上崎さん) 大根すりができるよ。≪ホントや チクってなっちょる≫
≪太古からおるいうて
昔から姿が変わってないって→
書いとるよね≫
(上崎さん) そうなんですよ。
<自分が感じた
自然の面白さを伝えます>
おった!
おった! おった!おった! 右 右!
(スタッフ)
青旗の右?あの青旗の右!
(スタッフ)
真ん中の青旗?うん 1番青旗。
ちょうど船の
今 後ろ。
(スタッフ)
あそこら辺ですよね?今 通った所ら辺ですよね?
(
上崎さん) 入る入る 入って来る。
よし
きれいに見えたね。
(
上崎さん) あ~ 出た出た出た!どこ~?
(
上崎さん)そこの お岩の後ろに出た。
≪どこ~?≫
(上崎さん)ちょっと待って ええと…→
ほんなら
赤い浮きの手前ぐらいに出るかもしれんね。
県外だけじゃなくって→
いろんな所からたくさんの人が来て…。
もっともっと
発信して行きたいな。
せ~の…
。(一同) イチ ニの サン!
(
クラッカーの音)≪あ~!≫
≪あ~
すごい!≫
<一昨年の3月>
やりました~!
<上崎さんは3月19日を→
この海岸のスナメリの日と決めました>
<
「みにいく」の語呂合わせです>
(スタッフ)
じょうさん よかったっすね。
うん
よかった~ う~ん…。
うち
泣かんにゃいけんやったのにあぁ~。
<いつもの観察仲間→
たまたま海岸を訪れた人たち→
みんな一緒に
お祝いをしました>
あ~
あそこにおるわあそこら辺に。
(
芳野)<上崎さんと出会って1年>
<気が付けば
僕1人でも→
スナメリを見つけられるように
なりました>
(
汽笛)
<その後
上崎さんが海を訪れる回数は→
少しずつ減って行きます>
<冬には姿を見せなくなりました>
<末期の
すい臓がんでした>
<次の春
2度目のスナメリの日>
<朝から痛み止めの薬を
使いました>
(
波の音)
<いつもの波の音が→
聞こえて来ました>
<上崎さんは
余命宣告を受けました>
<ガンの積極的治療は行わず→
できるだけ自宅で闘病する道を選びました>
<下関市内に住む→
娘の美由姫さんが駆け付けました>
<母に代わって
みんなをもてなす準備をします>
<美由姫さんにとっても
ここは大切な場所>
(
竹下美由姫さん)ちょっと待って!
<幼い頃
母に連れられ→
毎日のように遊びました>
ありがとうございます。
どうぞ
ケーキ食べて帰って…。
(
男性) こんな暖かい日になるとは思わなかった。
あ~
ありがとう!
これね
子供さんに…。
(
女性) ごめんね 遅くなって。ありがとう!
また
そんなこと言ったら…。
こんにちは!
あっ。
はい
こんにちは。
はい
できましたね。
≪あ~!≫
<30人を超える仲間が集まってくれました>
うわ~
ハハハ…。
(
上崎さん) おめでとう!
≪あ~!≫
≪あ~!≫
≪あ~!≫
(クラッカーの音)
今日は
とっても良いお天気で→
この第2回の→
スナメリ…スナメリ祭りが迎えられて→
私もホッとしています
。
で…→
私事…。
あ~…
。
座ろう
。
私事ですが
今までここを30年お掃除して…。
13年スナメリと出合って…
。
まだまだ…
。
(
上崎さん) 最初は何が何かさっぱり分からん状態で…。
(
上崎さん)あそこ… あそこ怪しい。
≪え~
楽しみやな~≫
大丈夫
大丈夫 諦めないで。
あ~
降りる降りる降りる!
(
上崎さん) 青旗の沖ってそれ逃がしたら もう撮れん…。
あ~
出た出た!デケェのが出た!
見た?
デカいのが出た 今ね。
(
上崎さん) えっと… 青旗と→
カモメの間に出た
今。
♪♪~
♪♪~
<いつまでも見ていたい>
いっつもこうやってて帰らんね いつも。
<ひと月後>
<娘と仲間に囲まれた最期でした>
<上崎さんの暮らした家>
<娘の美由姫さんは改装を始めました>
<母が残した
写真や記録を展示して→
海の庭を愛する
誰もが立ち寄れる場所にしたいと言います>
(
美由姫さん) まぁ 一番には→
その
お母さんの思いをつなげてあげたい→
…っていうのがありますけど
。
私が行ったところで
スナメリ見つけられるかっていったら→
なかなか見つけられないですけど
。
私なりにできることをしようかな
みたいな→
…は思ってるので
。
<一番いい所には→
母が大好きだった4枚の写真を飾りました>
(
美由姫さん) 玄関開けて やっぱ見えるほうがいいですからね。
(スタッフ)
寂しくないように…。うん。
<上崎さんがいなくなった
海岸では…>
≪スナメリ!≫
≪えっ?≫
≪あ~!
カモメのいる所スナメリがおるってよ≫
≪スナメリ!
カモメがいる所よ~≫
≪は~い!≫
(女性) 大体 あそこら辺おるのはおるの おる。
あのカモメの下の…
いったら ビシャ~っとなるとこ。
あそこら辺
大体スナメリがバッと捕食…。
今
食い付いてる ほらほら!(スタッフ) あ~ 出た出た。
(
女性) あ~ こっちも出たこっちも出た あそこも出た。
どんどん出てる
。
あっ
後ろにも出てる青旗の後ろにも出てる。
(スタッフ)
出てる出てる…。(女性) たくさん来てる ほらほら。
あのビシャ~となってる所
。
また
そこにもおるちょうど 今 おじさん…。
あ~!
今… 3匹ぐらいおるちょっと待って。
初めてね~
すごいよかったね~。
私も
この一瞬だけやった一瞬やったけどさ→
うわ~
見れたと思った。≪感動 感動≫
そこに
あの後ろに…近くに来ます。
あぁ
いや~ でも本当に感動でした。
ここ
ちょいちょい来てはね話 してね→
いろいろ話
聞いたんですよ。そう そう そう。
≪よかったです
今日≫ね~ ホントに ホントに。
(スタッフ)
うれしいですね。うん…。
(
女性) あっ 今度はあそこら辺やろ あそこ あそこ!
あそこら辺!
ほら~ 出た出た!
ほら
あの黒い…。≪あ~ 出た出た!≫
≪出た出た出た!≫
あの ほら→
白いカモメがおる
あの辺。≪あ~ あの辺?≫
≪よう見た感じね
ピュって…≫≪あ~ 出た出た出た≫
へぇ~!
<身近な自然を見詰め続けた上崎さんの思いは→
つながって行きます>
<今日も 海の庭で>
(
山下) ガンになってから私は本当に幸せです。
<今年3月に亡くなった
山下弘子さん>
<取材を続けた4年の記録から→
彼女が見ていた景色を探します>
2018/07/16(月) 01:05〜01:35
読売テレビ1
NNNドキュメント「今日も、海の庭で… 〜スナメリと生きた13年〜」[解][字]
山口県下関市、関門海峡の海岸では絶滅危惧種で世界最小のクジラ、スナメリを観察出来る。13年間観察を続ける上崎美代子さんは癌を患いながらも自然の素晴らしさを伝える
詳細情報
出演者
【語り】
永田亮子
番組内容
山口県下関市、1日千隻の船が行き交う関門海峡を臨む三軒屋(さんげんや)海岸は、海を見つめる上崎美代子さんを中心にいつも賑わう。視線の先にいるのは『スナメリ』。絶滅の危険性が高い世界最小のクジラだ。上崎さんは海岸に現れるスナメリを13年間毎日のように観察してきた。癌の宣告を受けても、海岸に通う上崎さん。そこはまるで『庭』のようだという。その『海の庭』で上崎さんの思いは広がっていく。
制作
山口放送
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
ニュース/報道 – 特集・ドキュメント