吉之助さぁのため→
精いっぱい気張いもす。
あの… 恥ずかしか話じゃっどん→
我が家には いささか
借金があいもす。
貧乏暮らしに耐えられもすか?
そいは…。
すまんの。
あっ 若さぁ!お待ちしちょいもした。
一体 ないの騒ぎじゃ? こいは。
いや~ 若さぁの人気にはひったまがりもした!
まさか… おはんら!
(声色を変えて)吉之助さぁあたいを選んでたもんせ!→
吉之助… さぁ。
雪篷さぁ! いつ島から戻られたとでごわすか!?
(雪篷)たった今じゃ!
赦免にないもしたか。
わいが余計な事するからじゃ。
そいは おめでとうございもす!
何が めでたかか。
わしゃ 12年も島にいて→
もう待ってる者も住む家もなか。
いや もうじゃったら こん家に来たらよか。
ああ 言われなくても世話になる。
こんな下手な女子より→
わしの方が役に立つ。
字を書かせたら天下一品じゃっで。
西郷どん
いっそ わしを嫁にせえ!
え~っ!
どうぞ 好きなだけ いてくいやい。
のう 吉二郎!
(吉二郎)はい。
という事じゃ。
さあ みんな帰った帰った。
さあ 帰った帰った。
兄さぁ こちらの方は?
お~ そいじゃ
こん御方が あの川口雪篷殿じゃ。
あん沖永良部の!
命の恩人じゃっで。
(吉二郎)そいは…。
わしが川口雪篷じゃ。
好きなだけ世話になっど!
(園)どうぞ さ湯です。
酒の方がよか。
あ… こいは気付きもはんで。 ただいま。
ほんのこて
遠慮のなかお人でごわすな…。
兄さぁ 人が増えるなら→
なおさらお嫁さんを取った方がよか。
ないごて嫁をもらうつもりは
ないなんて。
おいは 島に妻と子がおる。
そいは分かっちょいもすが。
確かに島妻は
[外:D4F0B6247BBB9102758D1F4A06506C9F]摩に連れてくる事はできん。→
じゃっで [外:D4F0B6247BBB9102758D1F4A06506C9F]摩の男は
みんな [外:D4F0B6247BBB9102758D1F4A06506C9F]摩で本妻をもらう。
じゃっどん そうせんところが
西郷どんちゅう男なんじゃろうな。
じゃっどん 西郷家の跡取りは
どげんすっとですか?
こんままでは
父上や母上に叱られもす。
姉さぁの言うとおりでごわす。→
こんままではご先祖様に申し訳が立ちもはん。
若さぁに代わって
吉二郎さぁは大変な思いで→
こん家を守ってらっしゃいもした。
吉二郎には→
ほんのこて感謝してもしきれん。
じゃっで 兄さぁ!
こいだけは おいのわがままを
聞いてくいやい。
一日もはよ嫁を取って
西郷家に跡取りを!
お願いしもす。
(熊吉)お願いしもす。
<翌日 吉之助は
急きょ 城に呼び出されました>
こいは どげんこっじゃ!?
ないごて また参勤交代を→
命じられねばいかんとじゃ!
<3年前 久光は幕府と掛け合い→
諸藩を苦しめる参勤交代を
取りやめさせておりました。→
しかし それを
幕府が再開するというのです>
わしには分かっちょっど。
先頃の戦で あまりにたやすく→
長州を ねじ伏せたもんじゃっで
幕府は思い上がっちょっとじゃ!
そいは つまり…→
西郷。
お前のせいじゃ!
<吉之助に対する完全な言いがかりでした>
畏れながら…。
何じゃ!
仰せのとおりにございもす。