オウムに対する宗教弾圧」。
警察を激しく非難していた。
初動捜査を指揮した元警視総監 井上幸彦が→
取材に応じた。
当時の警視庁は異例の捜査体制をとった。
本来 こうした凶悪事件は
刑事部が担当する。
しかし この事件は
主に過激派や→
思想犯の情報収集
などに当たる→
公安部が
担ったのだ。
地下鉄サリン事件などで
手いっぱいだった→
刑事部に代わり 公安部に→
オウムの組織を解明させようと考えたという。
公安部の捜査から
オウムの信者だった→
現職警察官が浮かび上がった。
事件当時 地下鉄サリン事件の捜査本部にいた K巡査長。
教団に捜査情報を漏らしていた。
半年近く軟禁状態に置いて取り調べたところ→
「長官を撃った。 けん銃は
神田川に落とした」と→
供述した。
しかし こうした捜査で得た供述を疑問視する声もあった。
公安部の元捜査員が
初めて取材に応じた。
公安部は 神田川で
大規模な捜索を行ったが→
けん銃は見つからず K巡査長の
供述を裏付ける事もできなかった。
オウムの犯行と見て
初動捜査を指揮した井上。
当初の見立てを
修正する事は難しかったという。
本当にオウムの犯行なのか。
全く別の男が刑事部の捜査線上に浮上していた。
真犯人を名乗り 私たちに
手紙を送ってきた 中村 泰。
公安部の捜査が
オウムに向かう中→
刑事部は 全く
別の事件の捜査から→
偶然 中村に
行き着いていたのだ。
名古屋で 現金輸送車を襲撃し
逮捕された男だった。
その捜査の過程で
警察が押収した→
4,000点を超える証拠品。
私たちは 独自に入手した。
60を超える
偽名を使った→
大量の免許証や
パスポート。
盗難車のものと見られる
127もの鍵。
軍事用の防弾チョッキと→
ガスマスク。
自らの身長を
10cm近く 高く見せるための→
シークレットブーツもあった。
刑事部を驚かせたのは→
長官狙撃事件との関わりを
疑わせる 数々のものだった。
最寄りの駅から
國松長官の自宅までのルートに→
印をつけた地図。
そしてフロッピーディスクの中には→
長官を狙撃した時の状況を
詳細に描写したかのような詩が→
記録されていた。
三重県にあった中村のアジトで4,000点に及ぶ証拠品を発見した→
刑事部捜査一課 元管理官
横内昭光。
思わぬ捜査の展開に
色めき立ったという。
横内は このアジトで
発見したメモから→
中村の貸金庫を突き止め
14丁のけん銃や ライフル銃→
1,000発以上の実弾も押収した。
犯行に使われたコルトパイソンは見つからなかったものの→
刑事部は 中村が真犯人ではないか
という心証を強く持った。
中村自身も 私たちへの手紙で→
事件に使った銃について詳しく述べていた。
「長官狙撃に使用したのは
TASCOⅡを装着した→
Python Hunterだったのです」。
銃の専門知識をひけらかし真犯人を自称する→
この男は 何者なのか?
1930年に生まれ 旧満州で幼少期を過ごした中村。
少年時代は 貧困に苦しみ→
戦争に突き進む国家を嫌悪していたという。
東京大学に入学したが
学生運動に のめり込み→
革命を志して退学する。