私は自分の信じた道を突き進む。
違うでしょ?これでしょ。
そんなことは当たり前だ!!え~!
ところで この家では客人に対して水も出さないのかね?
客人?まぁ いいでしょう。
水なら そこの蛇口をひねれば
出てきます。コップもそこに。はい。
まずっ!
見ろ。水が濁っている。
言われてみれば。
全然 分かんないけど。
私は このところ
水しか飲めない生活を強いられ→
故に 水の良し悪しについては
かなり舌が鍛えられている。
この水は まずい!
じゃあ 飲まなきゃいいじゃん。喉が渇いている!
うちには
水以外の飲み物はありません。
もう用は済んだはずですが?
(ノック)
今夜は
銭湯に行くことに致しましょう。
ええ?面倒くさ…。
水が濁っていると言われた以上→
その水を使ったお湯に
つかるのは 抵抗があります。
明日 水道水の点検に
来てもらうことにします。
じゃあ いいよ 1日ぐらい
お風呂 入んなくてもさぁ。
ありえません。
この汗ばむ季節→
20代前半といえば まだまだ
新陳代謝が活発な世代にあって→
相当量の汗と老廃物を
分泌しており→
1日の入浴を怠るということは
女性としての品質を→
著しく損なう事に他なりません!
はあ…。
聞いてますか?
行きますよ。
(缶が転がる音)
夜道が怖いですか?
別に。
大陀羅一族は金にものを言わせて→
どんな汚い手を使っても
あなたを殺そうとします。
今 千曲川さんを
解雇にすることなど→
できるはずが ありません。
でも 城之内君が 私を狙ってるって分かった時点で→
あの探偵は 何で
私に教えてくれなかったの?
教えてくれてたら 彼が
あんな目に あわずに済んだのに。
自分なら
彼の過ちを正すことができた。
救うことが
できたというのですか?
千曲川さんは あなたを守るために最善の方法を選んだんです。
違う!
あの人はトリック返しを
楽しんでるだけ。
もう何年も前の話になります。
彼はある事件を担当していました。
その事件の謎を解明する直前に→
証人だった女性が不審な死を遂げたんです。
♪♪~
(橋田の声)その時 彼は心の中で何度も こう繰り返しました。
もう少しだった。
もう少し自分が早ければ早く動いてさえいれば…と。
それ以来 彼は一貫して→
今のスタイルで仕事をするようになりました。
事件の全容を掴むために相手を泳がせ→
秘密裏に動いてそのトリックを見破り→
事件が起きる前に 事件を防ぐ。
早すぎる探偵。
彼が最終段階で
相手を追い込むのは→
そこで初めて 動かぬ証拠と動機があぶりだされるからです。
決して トリック返しを楽しんでいるわけではありません。
あの人の過去なんて
私には関係ない。
そうですね…。
あなたには関係ない。
あ~!水 おかわり。
(マスター)営業妨害か?
じゃあ 酒をくれ。
金を出せ。
ない。
じゃあ 出ていけ。
あ!私は 大きなミスを犯した。
(マスター)はぁ?
私のせいで…
ああ 考えると 悲しい 苦しい→
本来なら 浴びる程 酒をのみ→
全てを忘れてしまいたいというのに!
しょうがねぇな 全く!