2018/10/11(木) 01:00〜01:45 アスリートの魂「石川遼 27歳の告白」[字]


ドライバーを振り抜く感覚を→
体に覚え込ませる。

更に 取り出したのは砂袋。
体全体を使って たたきつける。
脳裏に浮かぶのは 10年前→
迷うことなく
ドライバーで攻め続けていた頃の自分。
「よいしょ~ よいしょ~ よいしょ~!」。
4月中旬 男子ツアーが国内で開幕した。
石川は ミスを恐れず
ドライバーを振り抜くと決意していた。
フェアウェイが直角に曲がり→
ティーグラウンドからグリーンが見えないこのホール。
それでも…→
ドライバーを握る。
林の上。
果敢に 直接グリーンを狙ってみせた。
…っていう状況の中で
その怖さから逃げない。
逃げ出しそうな自分との闘い。


歩きながらも ドライバーを手にスイングのイメージを高める。
試合後 必ず向かうのは練習場。
スマートフォンの明かりを頼りにクラブを振り続ける。
地道な 地道な 反復練習だ。
そうですか。
ありがとうございました。
お疲れさまです。
石川は 一日一日
ひたむきに努力を重ねていた。
真価が問われる大会に臨んだ。
年に3回 行われる国内最高峰のメジャー大会。
その初戦だ。
3日目。 首位と6打差の18位。
上位に食い込むため
ビッグスコアを狙った。
3番 パー5。
ドライバーで距離を稼ぎたい。
ファー!
大きく右へ。
6番 再び パー5。
相次いで右に曲げるミス。
18ホール中 12回ドライバーを握ったが
そのうち 実に4回を右に曲げた。
この右に曲がるボールこそ
石川の心の弱さだった。
右に曲げたときのスイング。
上体が起き上がり手が後れてついてくる。
置きに行こうという意識が働き
ドライバーを振り抜けていないのだ。
プレッシャーがかかる場面になると→

曲げてはいけないという強迫観念にさいなまれるという。
お疲れさまでした。
ありがとうございますお疲れさまでした。
ドライバーにこだわり
そして 苦しむ日々。
自分にとって ドライバーとは 何なのか。
この日 これまで 他人に語ってこなかった思いを打ち明けた。
本当ですか?
(取材者)どっちかっていうと何だろう やっぱり…
ドライバーは初めの一歩にすぎない。
そう語った石川。
私たちは
これまで抱いてきたイメージを捨て→
改めて その原点を探ることにした。
石川が ゴルフを始めたのは6歳の頃。
すぐに夢中となり→
どんなショットでも 一打一打→
心躍らせるように振り続けたという。
最高の一打を放つことだけをイメージしていた少年時代。
憧れ続けた 一人のゴルファーがいた。
13年連続で世界ランキング1位に君臨した絶対王者だ。
その真骨頂は→
どんな状況でも ただ貪欲に→
最高のショットを追い求める→
一打への執念。
中でも 石川が→
衝撃を受けた一打がある。
2位に大差をつけ
最終18番ホール。
夕闇が迫り ボールの行き先も見えない中

セカンドショット。
タイガーのように
全てのショットに執念を込める。
それは 意識せずとも かつて
当たり前のようにできていた ゴルフだった。
一打に懸ける思いを貫きたい。
しかし 曲げてはいけないという恐怖が→
邪魔をする。
石川は その恐怖を打ち消すために→
曲がる時のフォームを
徹底的にチェックしていた。
あ~あ…。
肩の回し方やクラブの軌道など細かな動きを一つ一つ確認する。
あえて 右に曲がるボールを再現するなど
試行錯誤を重ねる。
ある一球を打った時だった。
「何も考えない方が まっすぐいく」。
自分に言い聞かせるように つぶやいた。
曲げるとか曲げないとか→
そんなことを考えている時点で