面会に訪れていた→
姉の秀子さん>
<面会室の巖さんとは→
会話が
かみ合わなくなっていた>
(
秀子さん) 神に どうのこうの…。
神様になったとかって
いうようなこと言ってたね。
<袴田さんは
「神様になった」と言う>
<この頃から
無実を訴える代わりに→
神となって
死刑のない世界に入って行った>
≪今
弁護団の1人が出て来ました 出て来ました≫
≪
「再審開始 再審開始」≫
≪今
静岡地裁から…≫
<2014年に
静岡地裁が出したのは→
再審開始の決定>
≪お姉さん よく頑張った!≫≪秀子さん 秀子さん!≫
ただ
うれしいそれだけでございます。
<この時
裁判所の判断の決め手となったのが→
血痕のDNA鑑定だ>
<一家4人が殺害された時→
犯人が着ていたとされた
5点の衣類>
<多くの血痕は
被害者のものとされた中→
白半袖シャツの
右肩の血痕だけは B型であり→
犯人の血痕であると
裁判所が認定>
<袴田さんも
同じB型だったために→
死刑判決の根拠の一つとなった>
<ところが新たに行われたDNA鑑定の結果→
袴田さんの型とは
一致しないと認められ→
再審開始が決定>
<さらに…>
<死刑囚の袴田
巖さんは→
47年7か月ぶりに釈放された>
<2014年 釈放の3か月後>
<この日
巖さんが初めて やって来たのは→
姉
秀子さんの自宅>
(
秀子さん)次から 手すりあるで。
<1人暮らしの秀子さんは→
いつか弟が戻ったら一緒に暮らそうと→
準備していました>
(秀子さん) はいはい…。
まず
どっこいしょ。
どっこいしょだ
ねっ。
<ようやく自由の身となり→
自宅での生活が始まるというのに→
巖さんは
まるで違う世界を見ているようです>
(
秀子さん)ありがとね どうもありがとう。
<長期間にわたって
捕らわれた人が→
妄想など
精神に異常を来す→
拘禁反応と診断されています>
<集まった支援者たちには目もくれず→
黙々と家の中を歩き始めました>
<同じ所を何度も行ったり来たり>
<拘置所の独房の中でも→
同じように歩いていたのだといいます>
<自宅に戻って…>
<生活に変化が現れていました>
(
秀子さん)いいよ そこへ入れちゃって。
そこに
やっていいよ。
(
掃除機の音)
<初めて見る家電製品でも→
秀子さんから教わり→
使いこなせるように
なっていました>
掃除機を
自分でかけられるんですね。
<徐々に落ち着きを
取り戻して来たかに見えた日常>
<その矢先のことでした>
<ある日 自宅を訪ねると巖さんの姿がありません>
<実は