から、もうすぐ1年になる。
>>黒木さん、こんにちは。
>>こんにちは。
>>杉野です。
覚えてます?
忘れました?
>>申し訳ないけど。
>>忘れちゃいました?
>>覚えてるって言うたらうそになってしまう。
>>杉野のもとには、旅行はもち
ろん、
このような手軽な外出を支援して
ほしいという依頼も多い。
>>黒木さん、小さい段差あるん
で気をつけてください。
ゆっくり、ゆっくり、
気をつけてくださいよ。そっち溝があるんでね、気をつけ
てくださいね。
>>常に声をかけながら歩くこと
10分。
行きつけの喫茶店へ。
認知症の方は、静かな環境を好む
傾向がある。
週に1度でも、
こうして外出することで、気分が落ち着き、
夜もぐっすり眠れるようになると
いう。
>>気分転換にいいですね。
ね?
>>おかげさんで。
きょうなんか、
散歩かなんかですか?
>>そうなんです、そうなんです。
黒木さんと一緒に、
喫茶店行こうって思ってね。
>>男性にとっては、この散歩が、
外の空気を吸える唯一の時間だ。
>>もう少し、
ぐるって散歩しません?>>散歩中は、
男性の様子や認知症の進行具合を
チェック。
報告書にまとめ、家族のもとに送
っている。
>>足元気をつけてくださいね。
そこもちっさいね、
溝があるんでね。
>>株式会社あるくには、代表の杉野のほかに、
登録スタッフとして、
50人の外出支援専門のヘルパーが在籍。
さまざまな依頼に対応している。
>>ここが事務所になります。
>>もともと老人ホームで、
ヘルパーとして働いていた杉野。
利用者の人たちと会話を楽しんで
いたとき、
ふと耳にしたあることばが、
今の仕事を始めるきっかけになっている。
>>孫の結婚式、
今度あるけど行きたいなとか、温泉、
あそこ、
嫁さんと昔、新婚旅行で行ってんけど、行きたいなとか、
そういったことをよくおっしゃら
れた人もいましたね。
>>しかし。
>>まず、
そういう体の状態になった自分自
身が外に出るとか、
今までやってたようなこと、
やるっていうのは、まあ、
できないだろうという、
諦めがほとんどだと思いますね。
>>そんな人たちの力になりたい。
26歳のときに老人ホームを退職。
介護が必要な方の外出を専門でサ
ポートする会社を立ち上げた。
当時、
パーキンソン病の父親を旅行に連れていきたいと計画していた為澤
さん。
杉野の会社の存在を知り、
すぐに依頼したという。
>>有馬温泉に行っても、車いすだし、
お風呂までは無理かなって思って
たんですけれども、
杉野さんがご自分で洗面器を用意
して、
有馬温泉のお湯をくんできていた
だいて、
お部屋で父の足をつけて、
マッサージしてくださったことは、もう一番印象的ですね。
>>杉野の献身的なサポートによ
って、旅行は大成功。
家族は一生の思い出を作ることが
できた。
>>気持ち、
ちょっと低めでもいいかもしれませんね。
姿勢、
体勢。そうです。
すばらしい。
すばらしい。
>>現在、