（中田久美）時間がないんだよ。
女子バレー界の伝説。
そう言われた人物は怒れる指揮官となって→
コートに戻ってきた。
東京オリンピックで 金メダル。
お家芸復活を 託された。
史上最年少の１５歳で 日本代表に選出。
再び日の丸を背負い 特別な思いを誓う。
進むのは いばらの道。
♪♪～（主題歌）
♪♪～
（掛け声）
実業団チームを率いて３度の日本一。
おめでとう～！
類いまれな統率力に日本中の期待が集まる。
２１歳で 「再起不能」の重傷。
絶望を味わった。
就任２年目 訪れた誤算。
迷いを 口にした。
バレーボールに人生を懸けた 勝負師。
速攻！
密着半年
戦いの記録。
朝７時半。
まだ誰もいない体育館に一番に やって来たのは→
監督の中田。
おはようございます。おはようございます。
選手が来るまでの間 タブレット端末で
前日の練習映像を丹念に見返す。
（取材者）怖い！
中田は 異様なまでの「観察魔」。
選手が やって来ると
その表情や自主練習の様子に→
目を凝らす。
（中田）走っていて…
現役時代 敵の僅かな隙をも見抜き
「背中に目がある」と評された。
その観察眼が 指導者となった今も
最大の武器だ。
（掛け声）
実業団チームの監督に就任するや若手の才能が次々開花。
常勝軍団に生まれ変わらせた手腕を買われ
日本代表監督となった。
（一同）イエーイ！ イエーイ！
（歓声と拍手）
≪さあ いこう！
（一同）よし！
だが バレーボールが
お家芸と言われた時代は もはや過去。
♪♪～
２年前 日本の絶対的エースと言われた→
木村沙織が引退。
東京オリンピックが迫る中軸となる選手がいない→
致命的な問題に直面していた。
現在 日本は世界ランク６位。
メダル圏内に食い込むには
一人一人の力を底上げするほかない。
練習中 中田はコートを
ゆっくりと歩き回り 目を光らせる。
そして選手に 一つのことを繰り返す。
具体的な指示は出さず「なんで？」と問うだけ。
やらされて勝てるほど
世界のトップは甘くない。
その先に行けるかは
自分に問いかけた量で決まると→
中田は考える。
練習中厳しい言葉を選手に飛ばす中田さん。
けれど…。
♪♪「あなたに逢いたくて」
選手からは 「久美さん」の愛称で
呼ばれる一面もある。
ハハハッ。
♪♪～（手拍子）
選手の誕生日には必ず中田さん自らが
ケーキを持って お祝いをする。
（拍手）
（２人）ありがとうございます。
選手に注ぐ まなざしは
指導者というより先輩だ。
アハハハッ。
（取材者）酒の つまみじゃないですか。
この日 １本の紐が体育館に張られた。
高さは およそ４メートル。
この紐を超えないように
ボールを低く上げ続ける。
これが ２０２０年に伝説をつくるための
中田の秘策。
世界は今 １９０センチを超える
大型スパイカーが珍しくない時代。
技術も極めて高い彼らに打ち勝つために
中田が標ぼうするのが…
レシーブに トス。
高さを抑え 正確に最短で つなぐことで相手とのズレを生み出す。
しかし 世界の強豪もまた
速さを磨いている。
繊細な技術に裏打ちされた
究極の速さが 求められていた。
５月。 中田はチームを率いて
イタリアに飛んだ。
この地で合宿を行い