この会社が与えていたのは、
なんとタイの赤ちゃんでした。
動いている魚しか食べないといわれていたからです。
しかし、この餌にはばく大なコス
トがかかっていました。
>>この餌を確保するためには、
タイに産卵させないといけません。そのために、タイ専用の水槽を用
意し、産卵しやすい水温を保つな
ど、
多額の経費がかかっていたのです。



>>ふ化から僅か15日間にかかる餌のコストは、
出荷までのコストの1割も占めて
いたのです。
さらに悩ましい問題は、
これだけ費用をかけているのにもかかわらず、
生存率が極めて低いことです。
この会社の場合、
ふ化してからひとつき間を生き延
びるのは、僅か1%だといいます。
そこでこの会社では、
6年前から安くて生存率が高くなる、新たな餌の開発に乗り出しま
した。
まず試したのが、生のシラスを練った餌です。
生の魚の風味があるので、
きっと食べてくれるだろうと思いましたが、結果は失敗。
今度は生のシラスをゼリー状にし
て、タイの赤ちゃんに似せました。
クロマグロは目がいいので、見た
目をそっくりにする作戦です。
しかしこれも失敗。
結果を出すことはできませんでし
た。
転機が訪れたのは4年前。
少し成長したクロマグロの赤ちゃ
んが、食いついた餌がありました。
その餌には、ホタテのエキスが含
まれていました。
水中に溶け出したホタテのエキス
が、クロマグロの嗅覚に反応し、
むむっ、これはおいしいぞと感じ

たのではないかと、
この会社は分析しました。
この一件をきっかけに、開発したのがこちら。
ホタテのエキスを加えた餌です。