1つは 間違いをおかしてしまう人間の愚かさです。
地盤が沈下することに気付かぬまま
建物を建てるなんて…。
もう1つは ピサの人々の根気強さです。
この塔を何とか完成しようと少しずつ建設を続け→
およそ200年かけて ついに
一番上まで造ってしまったんですから。
ピサの人々は
諦めずに塔を完成させました。
最上層は垂直に つまり 下の階に対して
斜めに付け加えられました。
ピサの斜塔が完成したのは 1372年。
一方で フィレンツェの大聖堂はまだまだ完成からは程遠い状態でした。
ピサの斜塔や大聖堂を含む
広場全体のスキャンが終わりました。
これは 今までに作られた中で
最も精細な3Dモデルです。
今から およそ 650年前に→
この広場が どれほどの威容を誇ったかがよく分かります。
ピサの大聖堂は 14世紀末までに完成。
しかし フィレンツェの大聖堂は→
未完成のままでした。
15世紀には メディチ家は大富豪となり→
フィレンツェは
イタリアの金融の中心地となりました。
人々は それに ふさわしい大聖堂を
求めました。
ブルネレスキは どうやって大聖堂の
ドームを造り上げたのでしょうか?
ドームの3Dスキャンが完了しました。
これで 今まで見ることができなかったドームの構造や設計の秘密も分かります。
すぐ目に付くのはドームが1つではなく→
外側と内側の二重構造になっていることでした。
歴史学者のロス・キングが
チームに協力します。
この構造の秘密を どう説明しますか?
(ロス・キング)見に行きましょう。
待ち受けるのは 463段の階段です。
ここが 内側と外側のドームの間ですね。驚くべきレンガ造りだ。
レンガが 400万個あると思って
いいんですか?
(ロス・キング)
そのとおりです。 ブルネレスキは 最初に100万個のレンガを注文しましたが→
最終的には 400万個になりました。→
ドームには 形とサイズが違う55種類のレンガが使われています。
特注のレンガですね?
ここで 天井が丸くカーブしていますね。
そして この補強用の壁が
中央に向かうような構造になっている。
何だか動物か人間の体内にいるような気が
してきました。
生き物の体の中を 筋肉や腱に沿って
歩いてるような気分です。
(ロス・キング)ええ ブルネレスキは 建物は
人体のようなものだと言っていました。→
確かに 骨や肉や血管に当たるものが
あります。→
今 私たちは 建物の骨格に沿って
歩き回っているんです。
スコットたちが
ドーム内を実際に探索している間に→
スキャンチームの作業は
さらに進んでいました。
すごいな。 見事な出来だ。
ブルネレスキが秘密にし続けたアイデアが→
明らかになるかもしれません。
(ウィル・トロッセル)そこを見てください。→
中が空洞になっている
狭い空間があります。→
私たちが実際に歩いて
スキャンしました。→
この中をずっと見ていきましょう。→
私たちがいた通路だ。そうです。→
ここは非常に狭い 閉じられた空間で
美しいレンガ造りに囲まれています。→
ここなど ヘリンボーンの模様が
本当に美しいですね。→
ブルネレスキは
このようなレンガの組み方を→
構造を組み上げていくのに使いました。→
アルファベットのAの字のような斜めの骨組みは使われていません。
一番下の地面から 上へ上へと
ドームの てっぺんまで→
ヘリンボーンの組み方で
レンガを組み上げているんです。
21世紀のスキャン技術は すごいですね。
この技術を駆使することで→
私たちはブルネレスキが残した
わずかな手がかりから→
このように 目に見えるイメージを
作り上げることができた。
これは史上初のことですよね?
(ウィル・トロッセル)そのとおりです。
私たちが歩いた
ドームの内側の砂岩の床は→
まるで ドームを取り巻いているようだ。
これが 今のスキャン技術を駆使して分かる 最大限のところですね?
(ウィル・トロッセル)ええ。
つまり私たちはこの大聖堂の秘密の核心に迫りつつある。
これ以上 詳しく知るためには→