ふだん10頭ほどでしか見かけないシャチが→
大集団で現れたのです。
あの根元さん一家とは別の群れのようです。
最初は数頭だったのですが…→
どんどん増えていきます。
うわ~ すげえ。
全貌を捉えるためにドローンを急行させます。
2つの大きな群れが合流します。
これほど多くのシャチが集まる様子を克明に捉えた例は ありません。
身を寄せ合うように泳いでいます。
♪♪~
すると 更に驚きの行動が!
シャチが1列に並び始めたのです。
♪♪~
号令をかけたかのようにびしっと等間隔に並んでいます。
♪♪~
一体 何をやっているんでしょうか…?
♪♪~
おっ? 隊列が崩れました。
そして 数分後→
再び 1列に並びだしました。
その後も 繰り返し 隊列を組み直します。
なんとも不思議な動き。
1時間ほど 謎の行動を続け→
大集団は姿を消していきました。
なぜ あんな大集団が知床に現れたのか?
そして 謎の行動は何を意味するのか?
調査隊は まず
知床のシャチの全体像を把握します。
これまでに個体識別されたシャチは417頭。
実は これ 研究者もびっくりの数字です。
シャチは 北欧や北米 南極などの海に
生息していることが確認されています。
シャチが多いことで知られている
ノルウェーの沿岸。
1,300kmに及ぶ広い海域で
識別されているシャチは 900頭余り。
一方 知床では 羅臼の沿岸
僅か50kmで 400頭以上。
世界でも屈指の生息密度で
あることが分かったのです。
一体 なぜ 知床に
これほどのシャチが集まってくるのか?
その謎を追うのは
北海道大学の三谷さん。
神出鬼没のシャチの追跡に使うのは…
船に近づいてきたシャチに取り付けて→
移動経路や潜る深さを調べます。
発信器が自然に外れるまでの間→
この情報を頼りに シャチを追いかけます。
群れが一斉に潜っていきます。
いつまでたっても 上がってきません。
何をしていたのか?
発信器のデータを解析します。
すると予想外の結果が明らかになりました。
ここです。 ここの…
それまで シャチが潜れる限界は水深250mほどと考えられてきました。
ところが 知床のシャチは→
水深300m付近を頻繁に行き来しているだけでなく→
なんと 最大で 736mまで
潜っていることが分かったのです。
知床にシャチが大挙して集まる理由が
深海にあるのではないか。
動いてれば大丈夫です。
用意したのは 深海の水圧に耐え360度を撮影できる特殊なカメラ。
これを シャチがよく潜っている場所に
沈めていきます。
次第に 周囲が暗くなっていきます。
シャチが頻繁に潜っていた水深300mに到達すると…。
突如 おびただしい数のオキアミが
現れました。
レンズに張り付いたのは 50cmほどのイカ。
更に タラも現れました。
知床の深海は
生き物で あふれかえっていました。
冬 流氷に埋め尽くされる
知床 羅臼の海。
この氷には
豊富な栄養分が含まれています。
これが解けると
オキアミなどが大発生し→
魚やイカが集まってきます。
更に 海底の地形にも特徴が。
北側の水深は およそ2,400mと
深くなっていますが→
南に向かって数十mへと
急激に浅くなります。
切り立った崖のように
なっているのです。
この崖が
深海に住む魚やイカの前に→
立ちはだかります。
ここは いわば…
数々の条件が
奇跡的に重なって生まれた豊かな海。
それが シャチを引き寄せていたのです。
知床に多くのシャチが集まってくる理由は分かりました。
では 大集団が1列に並ぶ→
あの謎の行動は何だったのでしょうか?
彼らの行動を探る手がかりを