国の未来を左右する占い師の役を「女好き」に仕立てた。
そうすることで　物語序盤から

客の心をつかめると考えた。
悪役…
悪人だが　不幸な過去を背負い苦悩する陰のある人物にした。
海老蔵の　信念。
荒らすことで　伝統は更に大きく深いものになる。
それが　見る人を
より喜ばせることになると確信する。
迎えた本番。
（発声練習をする海老蔵の声）
序盤。　女好きに仕立てた安倍清行。
何か　おわかりでござるかの。
（客席の笑い声）
狙いどおり　序盤から盛り上がる。
そして　僅か４０秒での早替わり。
（拍手）
女好きから一転　悪役…
（拍手）
さあ　さあ　さあ


ついて参れ　ついて参れ。
更に３役目。
悪事を見破る　知略に優れた家臣。
ふ～。
ふ～。
お入～り～。
♪♪～
（拍手）
だが　どれだけ熱演を繰り広げてもあの冷静な海老蔵は　いる。
舞台は　クライマックスへ。
海老蔵自ら演出を加え　「荒らした」場面だ。
♪♪～
（拍手）
４時間出ずっぱりの舞台を演じきった
海老蔵。
だが　満足した表情は見せなかった。
この日　海老蔵さんは　長野にいた。
亡くなった妻　麻央さんと続けてきた
植樹活動に参加するためだ。
３５０年続く市川家を背負う　海老蔵さん。
自身も父となり　亡き父・團十郎さんに思いをはせることが　増えたという。
海老蔵さんの父・團十郎さんは→
「昭和の大スター」と言われた十一代目　團十郎の長男として生まれた。
水道の水で洗い上げた
肝の太打ち細打ちの…。
だが　滑舌や発声に悩んだ。
そして　１９歳の時　父が他界。
芸を教わる師匠を失った。
家の伝統を守らねばと　先輩役者のもとを訪ねては　教えを請うた。
研鑽を積んでいた３１歳の時

海老蔵さんが生まれる。
そして。
きょうのなまだら　ならなままながつおちょいとしごかんめ→
くるわくるわ　なにがくる…。
その日から市川家で代々繰り返されてきた→
父から子への　厳しい指導が始まった。
一方　父・團十郎さんは息子を指導する　その裏で→
團十郎という大名跡を継ぐことに
悩んでいたという。
名を継いだ父・團十郎さんは　そのあとも→
努力する姿　芸を受け継ぐ覚悟を示し続けた。
５７歳で白血病に襲われても　なお。
何度も舞台に戻り　演じた。
そして　團十郎さんは　６６歳で亡くなる
直前まで　舞台に立ち続けた。
市川團十郎のあるべき姿や　覚悟。
海老蔵さんへと　受け継がれた。
というのがあるんで
そうなると　やっぱり　必然的に…
６月。
ある舞台の会見が開かれた。
（海老蔵）三法師と…。
（海老蔵）光の君を…。
やりたい…　務めて…。
（海老蔵）務めさせて頂きます。
（海老蔵）
どうぞ　よろしくお願い致します。
歌舞伎の道に進むと宣言した勸玄に
経験を積ませ→
次へ　つなぐ一歩としたいと

考えていた。
♪♪～
おはようございます。
海老蔵と勸玄は　稽古に入った。
２人が出る演目は　「太閤記」と「源氏物語」。
勸玄は２つの舞台で　３つの役を演じる。
ヨオ～　成田屋。
（笑い声）
どうしたのじゃ。（笑い声）
あ　芝居で　役者を褒めるのは
そのように致すのか。
何気ない時間が
勸玄を歌舞伎役者へと育んでいく。
もみじのごとき御手の内に…。
勸玄の役の場面に入った。
この日まで
海老蔵と練習を重ねてきていた。
♪♪～
おう。
（一同）ははあ。