更に 20頭ほどの群れが次々と浮上してきました。
♪♪~
気付くと 船の周りには5つの群れ→
合計で100頭以上。
去年撮影した大集団を上回る規模になっていました。
この映像を
大泉さんに詳しく分析してもらいます。
そうなんです かなりギューギューで。
大泉さんは 一つの仮説を立てました。
謎の大集団は なんと→
お見合いの場ではないかというのです。
母系社会のシャチ。
オスは 大人になっても家族から離れないため→
異性との出会いがありません。
そこで 複数の家族が一堂に会して→
繁殖相手を探すための出会いの場を
作っているのではないかというのです。
シャチの交尾の決定的な映像は
これまで撮られたことがありません。
しかし 今回
気になる行動が映っていました。
群れの外れ。
盛んに水しぶきが上がっています。
大型のオスが
激しく尾びれを振っています。
近づいてみると
メスを追いかけていたのです。
果たして 謎の大集団は
本当に お見合いの場なのか?
今年5月。
港を出て 僅か3分後のことでした。
やばい やばい!
背びれの曲がった 根元さん一家がいます。
そのほかにも
次々にシャチが集まってきました。
いくつかの家族が集まって
50頭近くになっています。
いよいよ お見合いが始まるのか?
シャチの交尾を鮮明に撮影できれば世界初の快挙です。
その時 2頭が群れから離れました。
後ろのシャチが 生殖器を出してもう一頭を追いかけています。
すると 順番が入れ代わりました。
そして…。
こちらからも生殖器が…?
なんと 2頭はオス同士だったのです。
あの イボちゃんも。
♪♪~
一体 どういうことなのか。
繰り返し映像を確認した大泉さん。
高い社会性を持つ動物ならではの→
交尾に向けた準備行動ではないかと考えました。
こうした練習を繰り返した上で→
やがて 交尾に臨むのではないか。
知床は 世界的にも珍しい→
シャチの繁殖の海となっている可能性が高まったのです。
これまでの調査結果から→
あの1列に並ぶ謎の行動についても→
仮説が立てられました。
シャチの鳴き声から社会性を研究している→
中原さんです。
接触が多いですね やっぱり。
なぜ 大集団は
整然と1列に並んでいたのか?
(鳴き声)
まず 鍵になるのは→
家族だけで通じる鳴き声…
(鳴き声)
別の家族と鳴き交わし→
相手が 血のつながっていない群れであることを確認。
複数の家族が合流します。
次に 気になる相手をよく見ようとします。
すると 目が横にあるシャチは→
横向きに体を寄せます。
並んでいるのは…
つまり 集団お見合いの場で→
それぞれのシャチが
相手をよく見ようとして→
結果として 1列に並ぶのではないか。
そして 途中で隊列を崩して再び 並び直すのは→
いわば
席替えだと考えました。
知床に現れる謎の大集団。
それは 強い絆で結ばれたシャチの家族が織り成す 神秘の光景。
新たな命をつなぐ
知られざる営みなのでしょうか。
知床での
2年にわたる取材の最終盤。
見覚えのある家族に出会いました。
背中の模様の中に黒い線が入ったシャチがいます。
1年ぶりに→
あの謎の大集団を作り上げていた家族に→
再会しました。
その時…。
あ~ 本当だ。 くわえてる くわえてる。
赤ちゃんをくわえてる。
赤ちゃんをくわえて泳ぐ母親がいました。
へその緒がついています。
生まれたばかりの新しい命。
でも 小さな体は動きません。
命を落とした我が子を