充実してんだ。あぁ でも 勇作のに比べたら→
規模は小ちゃいけどな。
あっ なあ 今度良かったら来てよ。
いろんなイベントとかやってるし。
行ってもいいの?うん。
新作 持ってきてよ
試写会とかええやん。
あぁ いいね。
どうせなら 大きなスクリーンで見てもらいたいし。
あぁ~ いいね。
うん。
あっ。
あぁ… こんな白い布と映写機があればできるって。
ははっ
よくやったよな 大学のとき。
やったね。
えっ ちょっと。 入ってええの?
ふふふっ
真夜中の映画祭 公園でね。
うん。
あのとき→
かすみとファーストキスした。
う… うそ してへんよ。
えっ? 覚えてない?
あの公園ではしてへん。
スクリーンの後ろで
告白したじゃん。
告白は覚えてる。
何だ そんなもんか。
俺は覚えてるよ。
かすみの髪の香りも→
ほら スクリーンの陰で…。
あっ してへんってば。
ショックだな~。
俺との思い出なんてそんなもんか。
あれから15年やもん。
かすみとは あのころのまま歩いてるような気がするよ。
はいはい
映画監督って口がうまいんやね。
いっつもきれいな女優さんに
囲まれてるんやろ。
かすみみたいな人はいない。
かすみは俺にとっては特別な存在なんだ。
あのころもそうだったし
今だって。
おなかすいた。
私な 勇作の最初の映画→
映画館で観にいってんで。
そうなんだ。 で?
泣いた。
泣いた? うん?
エンドロールの勇作の名前見たら
何か ぐっときてもうて。
かすみの言うとおり→
俺はあのころと同じだ。
かすみの書いた脚本が撮りたい。
はぁ? 今更 何言うてんの。
1人で東京に出て映画の道に進む
って決めたん勇作やんか。
だから わかったんだって。
俺が書くんじゃだめなんだよ→
かすみじゃなきゃだめなんだって。
たまたま再会したからってな→
思いつきで もの言うたらあかん。
今 再会したことが大事なんだよ。
今日 会ったのは
運命なのかもしれない。
そんくらいにして。
あのころ…。
約束すっぽかされても→
デートできひんくても→
勇作の夢 邪魔したらあかんって→
自分の気持ち 我慢してて。
勇作とだめになってから→
めっちゃ勉強して資格取って今の仕事始めて。
忘れよう 忘れようって。
それやのに…。
運命とか言わんといてよ。
ずるいやん。
♪♪~
♪♪~
何で→
かすみの本音に気付けなかったんだろう。
私らはさ→
もう別々の電車に乗ってんねん。
絶対に交わらへん
レールの上を走ってる。
♪♪~
ばかだな 俺。
そんなん言わんでも知ってるよ。
でも 私な→
後悔してへんよ。
あのころの自分に言ってあげられる。
よう頑張ったねって。
あんなに一生懸命人を好きになれて…。
幸せやったねって。
あのころの気持ちは→
今も大切な宝物や。
最初にキスした場所も→
ちゃんと覚えてるよ。