「君に計画を知らせなかったのは犯人に気付かれるからだ!」。
その声で
数々の作品に魂を込めてきた。
俺は必ず
巨人を絶滅させる!
さっき約束したろう 麦わら屋!
ごめんなさい。
つ~かまえた。
去年 3月の日本アカデミー賞では→
出演したアニメ映画が
最優秀作品賞を獲得。
業界最大の顕彰式では
数々の栄冠を手にするなど→
その存在感は圧倒的だ。
今回 声優界屈指の実力派と言われる神谷に→
5か月間 密着した。
「理にかなっています」。
カメラが見たのは
名声の陰で 悩み もがき続ける→
43歳の男の姿だった。
♪♪~
声優志望者が年間3万人とも言われる
この世界。
生き残れる者は ごく僅かだ。
己が発する声だけで生きていく。
その覚悟とは 一体。
「だから すぐに出ようと言ったろ!」。
挑むのは…
それは声優の可能性を見いだすための勝負の舞台。
神谷は自問し続ける。
この仕事の本質とは 何か。
自分は 何を求められているのか。
やるしかないだろ。
分かっているのは この声だけが頼り
ということ。
残された者たちの気持ちが
お前に分かるのか!
声の仕事だけで終わらないのが
今どきの声優なんだそうだ。
この日は神谷が声の出演をした
特撮映画の舞台挨拶。
ハミィ 君がやりたいことを
止めるつもりはない。
人には言えない理由があるからね。
スーパー戦隊シリーズの劇場版。
その中で神谷は ヒーローたちを率いる
司令官の声を演じた。
全て丸く収まったようだね。
作品での仕事ぶりはもちろん→
最近は声優自身にも
タレント性が求められている。
手にしていたのは
今回の映画の収録で使った台本。
自宅から引っ張り出して
ストーリーを確認していた。
大御所と呼ばれる
ベテラン声優陣が活躍する中→
神谷は中堅のエース。
これからの声優界を担うと期待されている。
僕ちんのために集まってくれて
ありがとヤッホイ!
だが自身は
時代が求める声優の在り方について→
自問し続けていた。
神谷のいう「作品の歯車」になる仕事が入った。
あの人気アニメのアフレコだ。
「ヤツらに支配されていた恐怖を…」。
圧倒的な力を持つ巨人と
人類との戦いを描く「進撃の巨人」。
原作漫画の累計発行部数が
7,600万部を突破する→
大ヒット作品だ。
約束しよう。俺は必ず 巨人を絶滅させる!
神谷は本作で→
最強の兵士とされるリヴァイという重要キャラクターを演じている。
エレンたちを取り戻すためには
躊躇するな。
殺せる時は殺せ。
原作の時点で高い人気を誇るキャラクター。
アニメで その声を演じる
神谷のプレッシャーは 計り知れない。
(神谷)はい。
テストが終わると 音響監督から細かいリクエストが入った。
「ああ 知ってる」というセリフに→
「そっけなさ」を込めてほしいと頼まれた。
画が完成していない状態で→
細かいニュアンスをイメージするのは容易ではない。
「被害者やその家族は
突然地獄に落とされたんですよ」。
テストとの違い
お分かり頂けただろうか。
では もう一度。
「被害者やその家族は 突然地獄に落とされたんですよ」。
「ああ 知ってる」。
「被害者やその家族は 突然地獄に落とされたんですよ」。
「ああ 知ってる」。
更に 次のシーンでも細かなリクエストが続いた。
敵地に奇襲をかけるシーン。
大声は出せないが 離れた味方に号令をかけるというリアリティーを→
声で演出しなければならない。