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ヨーロッパ北部
スカンジナビア半島の冬。
太陽は
何週間も昇らず→
姿を見せない時が
あります。
森にすむ動物たちは→
身を切るような寒さに襲われます。
しかし
厚く降り積もった雪の下では→
新たな命が誕生しています。
メスのヒグマが冬ごもりの間に3匹の子供を出産しました。
親子は巣穴の中で
ぬくぬくと過ごしています。
生まれたばかりの子供たちは
まだ夜空の月も→
穏やかに照る冬の太陽も
見た事がありません。
誕生以来 一度も安全な巣穴から
出た事がないからです。
太陽の光が
日に日に力強さを増していきます。
冬ごもりしていた動物たちが
徐々に目覚める季節です。
オスのヒグマです。
窮屈な巣穴に5か月も こもったあとでは→
雪の上を歩く事すら
簡単ではありません。
冬ごもりの間
食べ物を全く口にしていません。
ふだんなら
ヘラジカにとって恐ろしい捕食者。
しかし この時期のヘラジカは
クマを恐れません。
長い脚が
雪の下の地面にまで届き→
クマよりも
速く動く事ができるからです。
全てのクマが 穴の外に
出てきたわけではありません。
分厚い雪の下は暖かく→
3つ子の母親はじっと巣穴に潜んでいます。
幼い子供を連れて
一歩 外に出れば→
たちまち
今とは違う環境に置かれる事を→
母グマは知っています。
3匹のこぐまは巣穴の外で遭遇する事になる→
多くの冒険と危険を
まだ何も知りません。
(鳴き声)
おなかが減ったオスのクマは→
森で少しずつ
本来の活動を開始します。
春には まだ少し早く→
食べ物はなかなか見つかりません。
食べ物を探しているのは
クマだけではありません。
1匹のオオヤマネコが
近くを うろついています。
雪や氷は ところどころ
解けかけているため→
体の軽いツルでさえ
時々 脚が はまります。
大きなオスのクマが→
池に張った氷の強度を確かめています。
ある目的があるからです。
死んだヘラジカを見つけたのです。
秋以来 何か月ぶりかの食事。
誰かと分け合う気などありません。
クマは獲物を氷の上から
運びだそうとしています。
もし 争奪戦になっても→
オオヤマネコなどクマの敵ではありません。
しかし 池の氷が
クマとヘラジカの体重を→
いつまで支えられるかは
分かりません。
オオヤマネコも池から退散します。
これで落ち着いて食事ができます。
(ツルの鳴き声)
ツルの群れが南方から戻ってきました。
スカンジナビアの森に
春を告げる鳴き声です。
巣穴の中の母グマは
何も食べないでいると→
いずれ お乳が出なくなります。
こぐまたちに運動をさせるためにも→
そろそろ
巣穴を出なければなりません。
しかし 夜の森は
安全とは程遠い場所です。
うろついているのは
オオカミだけではありません。
2匹のオスのクマです。
同じような体格でどちらも空腹です。
オオカミは2匹が争っている隙に→
横取りできる獲物がないかこっそり うかがっています。
しかし 争いは長引かず