ありがとうございましたと言って
結局全員と
握手することしかできなくて。
言葉を失った
落語家って
どうしようもないですね。
阿部≫映画「ねことじいちゃん」
どんな作品か
映像で少しだけご紹介しましょう。
阿部≫志の輔さんが演じるのは
２年前に妻に先立たれ
小さな島で猫のタマと
１人暮らしをする老人、大吉。
大吉≫今日も無事
目が覚めました。
阿部≫ある日、タマのおかげで
妻の残したレシピノートを発見。
大吉≫豆ごはん。
ああ、いいにおい。
阿部≫それは、亡き妻と食べた
思い出の料理。
しかし
レシピノートに書かれたのは
たったの３ページ。
大吉は島の仲間たちと一緒にレシピノートの
続きを書くことを決意。
そんな矢先、大吉は病に伏せてしまいます。
大吉≫タマはおらんかったかね。
≫おお、見てないよ。
阿部≫小さな島で起こる
猫と人との
いとしい物語を描いた作品です。
監督が動物カメラマンの岩合光昭さん。
船越≫前、ここにも
来ていただきましたよね。
阿部≫そのときのお写真です。
岩合監督の演出が驚きの連続だったそうですね。
志の輔≫猫しか
見てなかったですね。
そんなことはないですけど
僕は写真家としての岩合さんと
それから、「ネコ歩き」の。
本当に僕尊敬に近いものがあったんですよ。
こんな写真が撮れる人って
この瞬間は、一体
なんなんだろうと思う
瞬間ばかりなんです。
「ネイチャー」の
表紙になった
初めての日本人カメラマン。
僕、すごく尊敬していて。
この方が
初めて映画を撮るということで
オファーがあったんですけど
逆に、この方が初めて監督をやる
そんな作品を
汚しちゃいけないと思って
正直、お断りしたんです。
偉そうにお断りしたんじゃなくて僕にはできませんと
言ったんですが
やってくれ。いや、できませんと言って
ちゃんと
断っていたつもりなんですけど
そこが落語家ですよね。
僕が尊敬している岩合さんの初映画だったら、通行人でも
飲み屋さんのお客でも
なんでもいいですから
１カット、２カットでいいので
出してもらえませんかという
そのひと言を言ったら
じゃあ、とりあえず
事務所に来て
話をしましょうという間に
２カットが１０カットになり
２０カットになり
主演みたいなことに。
阿部≫何しろ猫が相手ですよね。
リハーサルなどはどういうふうに
されたんでしょうか。
志の輔≫本名は
ベーコンっていうんですけど
タマは
最後の本番のときだけで
あとはずっと、ぬいぐるみで
やってたんです。
助監さんが
やってくれているじゃないですか。
私は思ってるんですよ。
そんなにうまくいくかなって。
これが、動くんですよ。
私が新聞読んでるのを邪魔しようというのでくるので
タマ、お前…っていう。
監督の言うとおりになるんです。
本当にチューするんです。
ずっと屋根の上から…。
うれしそうでしょう。
僕、照明さんに聞いたんですけど猫だけのカットは
先に撮っていたわけです。
あとから人物になって先に撮っていて最初、監督が
屋根から下りてきます。