MIKIKOは 振り付けや演出を変えることはせず→
ただ 「自分の感情と向き合って」と伝えた。
本番直前。
MIKIKOが 背中を押す。
♪♪~
いよいよ SAYAのソロ。
♪♪~
情熱的な表情 ダイナミックな跳躍。
エネルギーほとばしるパフォーマンスだった。
♪♪~
(拍手)
フー!
(拍手)
MIKIKOは また一人
ダンサーの中に眠る輝きを引き出した。
お願いしま~す。
この日 東京オリンピックの式典を手がける 演出メンバーが発表された。
MIKIKOさんの名前も そこにあった。
今や日本を代表する存在になったMIKIKOさんだが→
その道のりは 意外なものだった。
本名 水野幹子。昭和52年に生まれ 広島で育った。
体を動かすことが大好きで バレエと
ヒップホップを習い始めたのは 高校の時。
だが それは 周りと比べて
極めて遅いスタートだった。
関節は硬く 体の使い方も分からない。
ハンデをはね返そうと 毎日のようにスクールに通い 人一倍レッスンを重ねた。
猛練習の甲斐あって→
人気ダンスグループのバックダンサーに抜擢される。
それは 大きな喜びのはずだった。
だが…。
自分には 前に出て何かを表現したい
という情熱に欠けている。
迷いの中 ダンサーとして
舞台に立つかたわら→
短大生の時から始めた
ダンススクールの講師を続けた。
転機が訪れたのは 28歳。
広島のダンサーを全国に発信しようというステージショーの企画が持ち上がった。
MIKIKOさんは 初めて全ての振り付けと
演出を手がけることになった。
誰にどんなダンスを踊ってもらうか。
MIKIKOさんは ダンサーのことを一人一人 研究し始めた。
ダンサーの一人…
ふだんは明るい性格だが時折見せる 物憂げな表情が気になった。
♪♪~
MIKIKOさんはふだんの講免さんをイメージした→
明るく強いシーンを用意した。
そこから一転。何気ないしぐさで 静かにたたずむ場面へ。
♪♪~
すると 彼女の繊細な心の動きが確かに引き出せた。
この時感じた喜びが 今も
MIKIKOさんを突き動かす。
ダンサーは皆
人生をかけてステージに上がる。
自分もそれに
人生をかけて応えていきたい。
東京オリンピックの式典も手がける
演出振付家 MIKIKO。
アーティストの身体能力や個性を見つめ→
その人だけの振り付けで輝きを引き出してきた。
去年秋 挑んだPerfumeの全国ツアー。
これまでにない演出に打って出た。
ツアー1か月前。
MIKIKOは 制作スタッフとの打ち合わせに臨んだ。
総合演出を担うMIKIKOは
曲の構成やセットについて→
これまで試みたことのない演出を
考えていた。
20年にわたり 一番近くで
3人の成長を見てきたMIKIKO。
従来の全国ツアーでは→
大がかりなセットと派手な演出で会場を沸かせてきた。
だが 3人のダンスが進化し→
アーティストとして成熟してきている今→
できる限り
シンプルなものにするという案だった。
中でも MIKIKOを悩ませている曲があった。
♪♪~
ライブのラストを飾る 「無限未来」。
これまでのクールな振り付けから大きく変え→
感情豊かな
しなやかな振り付けにしていた。
♪♪~
♪♪~
この振り付けの意図を
会場で どう表現するか。
さまざまなアイデアを検討する。
プログラミングを使ったアートの第一人者…
ステージの背景に
自然の風景を映し出す提案をした。
要は ライブ画ってことですよね。
ライブ画。
MIKIKOの案は 照明と光のレーザーだけを
使うというもの。
全国ツアー初日の3日前。
ちょっと一回チェックで 音出します。
舞台上には
MIKIKOの構想をもとに作られた→
シンプルなセットが完成していた。