何か ヒントが得られないものか→
メドゥーサの映像を
繰り返し チェックします。
注目したのは 接近してきた方向。
よく見ると斜め下からのようです。
また 目は
しっかりと 対象物を見ています。
実は この映像→
窪寺さんの長年の推測を裏付けるものでした。
窪寺さんによれば ダイオウイカは→
人間より ずっと高性能な目を持っているというのです。
目の大きさは 生物界で最大級
直径30センチにもなるといいます。
2つの眼球だけで→
頭の大部分を占めてしまうほどの発達ぶりです。
ダイオウイカの目の網膜を
詳しく調べてみると→
とりわけ 感度の高い細胞が
ある部分に集中していました。
これは 斜め上を見上げるのに→
非常に都合のいい位置になっています。
抜群によい目で→
獲物のかすかな影 シルエットを探しながら→
狩りの機会を待ち→
獲物が現れると下から 一気に襲いかかる。
メドゥーサの映像は 窪寺さんの
推測どおりだったのです。
それなら おとりの獲物の影を→
ちらつかせながら潜水艇で潜れば→
ダイオウイカの方から
近づいてくるのではないか。
これこそ 窪寺さんが→
10年にわたる研究から導き出した究極の作戦です。
(窪寺)大きなソデイカなんですが
これを餌にしてですね→
来るのを待つという作戦を
とりたいと思います。
ダイオウイカの好物は 深海のイカだと
窪寺さんは考えています。
潜水艇から 5メートル離した位置に→
大きさ1メートルの特大のソデイカを連結します。
更に 潜水艇のライトを変更。
あの赤いライト イカに見えない波長の光を使います。
数回 トライしてですね
なんとか ダイオウイカを→
引っ張り出してみたいなと
思います。
夏が終わりに近づくと
小笠原では 海が荒れ→
潜水艇で潜れない日が
多くなります。
残された時間→
窪寺さんは ソデイカのおとり作戦に懸ける事にしました。
沈む時のスピードや姿勢など→
あたかも 生きたイカに見えるよう細かな調整を重ねます。
はっきりと 下から
シルエットがイカの形に見えますので→
うまく 餌と認識して出てくれると
一番いいんですが。
小さな点滅ライトもつけました。
この かすかな光が→
ダイオウイカを
呼び寄せてくれるかもしれません。
白いライトを消し
赤いライトに切り替えました。
肉眼では 点滅ライトが
辛うじて確認できるだけ。
超高感度カメラが撮影できる
ギリギリの条件です。
更に 船内の明かりを
全て消しました。
トワイライトゾーンの闇の世界と
溶け合います。
ソデイカが 潜水艇に
近づき過ぎてしまいました。
思いの外 流れが速いようです。
駄目だよキープができないと駄目だ。
潜水艇との距離が近いと
警戒されてしまうかもしれません。
潜水艇のスピードを調整し
なんとか 5メートルをキープします。
(窪寺)餌はよし 場所もよし。
これで来なくちゃな~。
ちょうどいいとこだね。
これで こう どこからか…。
狙いは メドゥーサが ダイオウイカを捉えた
水深600から800メートル。
ゆっくりと潜り続けます。
潜航が始まって 2時間。
水深630メートル。
眠気覚ましに船内の結露を拭いていた時…。
あっ 来た!
暗闇の中から…。
来たぞ!
巨大な物体が襲ってきました。
ライトつけていいか?
はい ライトつけて下さい。
何だ? これは。
(窪寺)Light! Light please.
(杉田)Whitelight please.