＞＞やっぱり、その、骨折って、
＞＞やっぱり、骨折って、行く道
はもう、一つしかないんで。その、安楽死っていう。
＞＞体の大きな馬は、心臓だけで
なく、
足を動かすことで血液を体中に循
環させています。
普通、骨折を治すためには、
安静にしなければいけないのですが、馬の場合、寝たきりになって
しまうと、
大事な血液が内臓に行き渡らなくなり、やがて、死に至ってしまう
のです。
＞＞ただ痛い、
痛いって思いながら、
亡くなっていくっていうのが。どうしても信じたくなかったから。
＞＞よし、
ほら、立てる。＞＞いや、
折れとらん、
本当にしびれとるだけだって思いたかったし。
フルくん、立って。


＞＞まじで立って。
＞＞お母さんが動画を撮ることが
できたのは、ここまで。
馬専門の獣医さんが横浜から駆け
つけたのは、３時間後。
そして、家族に告げられたのは。

＞＞肩甲骨と、後で分かったんで
すけど、この大たい骨ですね、
複雑骨折してて、
どうやら馬房で転んだみたいです
ね。
＞＞それは恐らく、
フルハートが馬小屋で寝転がろうとしたときのこと。
普通、
馬は寝転がるときにバランスを崩すことはほとんどないのですが、
フルハートは人間でいえば１００
歳を超えた高齢のため、バランス
を崩してしまったらしいのです。
＞＞横浜の獣医さんに折れてるっ
て言われて、まじかって。
＞＞聞いた瞬間はもう、固まりま
したよ。
聞く前から、ちょっとは、骨折か
なって思ったんですけど、やっぱ
りいざ、
そういう診断されると、やっぱり
固まりますよね。
まじかみたいな。
＞＞そして、獣医さんが下した判
断は。

＞＞本当に一番獣医さんがやっぱ
り慣れてるんで、冷静で。だけど、
その冷静なそのことばが、
その当時の僕にはちょっと痛くて。
面倒見るから、
立てなくても面倒見るから、
僕たち、動かして面倒見るから、
生命維持はしてくれっていう考え
もやっぱ出てきちゃって、だけど
結局、つらいのは本人なんで、
フルくん本人なんで。
＞＞そう、
骨折したまま生きながらえても、
フルハートはずっと痛みに苦しみ
続け、やがて死んでしまうのです。
＞＞それを考えたら、
死なしてあげちゃって、楽に天国に行ってもらったほうがいいかな
って。
＞＞安楽死って、
楽にしてあげるっていう意味じゃ
ないですか。
だからフルくん、こんな苦しんで
るんだったら、
早く楽にしてあげたほうがいいん
じゃないかなとは、ちょっと思っ
てました。
まあ、死んでほしくはなかったけ
ど。
＞＞複雑骨折の宣告からおよそ５
時間。

長い話し合いの末。
＞＞麻酔を先に打って、で、
そのあと麻酔が効いたら、
安楽死のお薬を注射でやってくん
ですけど、麻酔が効き始めると、
本当に全然動かなくなって、
そっから安楽死の薬を入れるんですけど、全然、いつ死んだかも、
いつ亡くなったかも分かんないぐ
らい、
本当に、まあ、楽そう、寝たのか
なっていう。
なんだろう、僕は、
何も考えれなくなっちゃった。
最後、やっぱり確認のために、
脈を測ったりして、心臓が止まったよって言われて、もう、亡くな
りましたって言われて、本当にも
う、そのときはもう、ことばも出
ないような、
感情がなくなったのかなと思うぐらい、本当に無になっちゃって、
止まっちゃって、自分の中で時間