京大病院で大きな事故が起きてしまう。
当時 まだ取り組みの少なかった
肺移植の手術中→
患者の血圧が下がり 脳に障害が発生。
7か月後 亡くなった。
手術には多くの医師が関わっていながら
なぜ患者の異変に気付けなかったのか。
事故調査を進めていく中
長尾さんは ある異常に気付いた。
更に詳しく聞き取りを行った結果→
メインの呼吸器外科は「血圧は他の科が見るもの」→
心臓外科は
「麻酔科が見るもの」など→
互いに 他の科がやっているものと
思い込んでいたことが判明。
人為的なミスだった。
この死亡事故により 以後 京大では肺移植手術は自粛する事態となった。
だが 先進医療をリードしてきた
京大病院にとって→
肺移植手術を再開することは悲願だった。
長尾さんは新たに招かれた外科医と共に→
カンファレンスを実施。
科を超えたコミュニケーションができるよう 意識改革に取り組んだ。
ファイト オー!
そして2年後 肺移植手術が再開された。
患者は…
母親の肺を移植することになった。
5時間に及ぶ手術だったが→
長尾さんらが促した 科を超えたコミュニケーションの訓練が実り→
親子の手術は成功した。
(拍手)
一つのことに 思い至った。
♪♪~
それから10年。
あの手術を受けた少女は 今 17歳。
友人たちと共に
学校生活を満喫している。
最近 院内で連続して
同じインシデントが起きていた。
「ガーゼ1枚 腹腔内に遺残」など→
器具を体内に残すインシデントが1年で7件も起きていた。
手術室を出る前に気付き
大事には至らなかったものの→
見過ごせない大問題だ。
長尾たち安全管理部が動きだした。
手術室の看護師が中心となって制作した
マニュアル。
遺残防止のための注意点が
明記されているのに→
なぜ繰り返されるのか。
長尾は その文言に問題を感じた。
ガーゼや器具などの数→
「カウントが合わない場合は医師に報告し 捜索を依頼する」。
看護師のすべきことしか書かれず
医師がとるべき行動が記されていない。
長尾は 医師も含めた
新しいマニュアルを作るための→
ワーキンググループが必要と考えた。
その立ち上げに 看護師側からは→
現場経験が長い 澤井直子。
医師側からは 1年前 この病院に来た深見達弥が参加することになった。
深見は 福岡で産婦人科医をしていたが→
あるきっかけから「医療安全」専従の医師になると決意した。
深見は 外科手術を行う医師たちを訪ね
話を聞いた。
次第に あることが見えてきた。
それは 診療科や医師ごとに→
マニュアルの順守に開きがある
ということだった。
一方 澤井も
看護師たちにヒアリングを行った。
看護師は 自分たちのカウントで
手術を止めてしまう不安から→
発言しにくい場合があることも
分かってきた。
動き始めて1か月。
医師の視点を加えた新しいマニュアル作りは難航していた。
科を超えての調整は難しい。
そのため リーダーとなってくれる医師が見つからない。
長尾は 悩む深見に かつての自分を重ね
自らの経験を伝えることにした。
京大病院時代 長尾は→
科を横断したマニュアル作りに取り組んだ。
成功の鍵は 立場の違う者たちが
話し合う場を設け→
粘り強く 皆のアイデアを
引き出していくことだという。
12月。 リーダーを引き受けてくれる
医師が現れた。
よろしくお願いします。
手術経験が豊富な…
深見は中山に 医師の視点を加えた
マニュアルの草案作りを依頼した。
2週間後 中山の草案が出来上がった。
それをもとに 現場の看護師2人を交え意見交換を行うことになった。
まさに長尾がアドバイスしていた
立場の違う者同士が本音で話し合う場だ。
このマニュアルには 医師がとるべき
行動が追加されただけでなく→
それぞれの担当者の役割が