近年　秋葉原は外国人観光客に大人気。
たとえ拙くとも　懸命に向かっていく。

（ｈｉｔｏｍｉ）バイバーイ！サンキュー！
サンキュー！　いってらっしゃいませ。
バーイ！　サンキュー！
はい　ありがとうございます。
よろしくお願いします。
去年　冬　母になった。
バイバーイ。　ありがとうございますよろしくお願いします。
失礼いたしま～す。
お待たせいたしました。
だが　夫婦共働きでの子育ては
想定外の連続だった。
（凛斗の声）
あれ～　なんで泣くの？　君。なんで泣くの？　かわいそうに。
ママとギューッ。
携帯電話を　しきりに確認する。
店のメイドたちで結成した
アイドルグループのライブリハーサル。
≪暗転　曲スタンバイ。　３　２　１　ゴー。


パニエの動きが　ふわあ　ふわあふわあ　ふわあ　みたいな。　分かる？→
はい　ありがとうございま～す！
ただいま。
金髪のギャルは　どう見ても場違いだった。
店から客の姿が消えた。
「メイドであってこそ　私」。
一人の常連客が事件以来　初めて店にやって来た。
こわばっていた客の表情は
しだいに笑顔に変わっていった。
ｈｉｔｏｍｉさんは思った。
「ここで待ち続けることには　意味がある」。
はい　ｈｉｔｏｍｉです。　お願いしま～す。
憧れのメイドになったものの→
実際に店に立つと
自信を失ってしまったという。
はい。
「自分は　メイドにふさわしくないのではないか」。
りりなの苦しみが
ｈｉｔｏｍｉには痛いほど分かった。
りりなと向き合ってから　約２週間。
お願いします。
メイドとして会話を盛り上げる力は
つけてあげたい。
失礼いたします。
マニュアルどおりの淡々とした接客で戻ってしまった。
ｈｉｔｏｍｉが声をかけた。
ねっ？　そうなんですよ。
ほんとだ！
そう！
あっ　そうなんですか。

糸口の見つけ方を示した。
ひとつのきっかけで　人は変われる。
りりなは　会話の糸口を探していた。
客が他のメイドと撮影した写真に
目を留めた。
共通の話題で盛り上げる。
言って　よさを。よさ…。
問題は　自分一人で　どこまでやれるか。
それではいきます。せ～の　萌え萌え　きゅ～ん！
それでは　萌えと愛情が
ウサギとウサギが逃げないうちに→
（拍手）
（ハンドベル）
♪♪～
萌え。萌え！
いや　見入っちゃった。　すごいね。
いいね　萌えの流儀ね。うん　萌えの流儀。
あの　ｈｉｔｏｍｉさん　プロだ。
やっぱメイドさん　顔だけじゃなくて→
ほんとそうですよね。
テーマパークの主として頂点に立ってるの分かる。
あのリボンの形　ほんとに　ｈｉｔｏｍｉさんのは
くっきりリボンですもんね。
そう！　リボン大事じゃない。
プレゼントもリボンが疲れてるとあれやだなって思っちゃうけど。
リボン…　熨斗かってぐらい　きれいな。
あれはいいよ。ねぇ。
行きたくなっちゃうね　見るとね。
だってほら　笑顔で笑顔にする　みたいな。
相手が笑顔だと

やっぱ笑顔になっちゃうじゃん。
もうじゃあ明日にでも。
帰る時　エレベーターがさちょっと恥ずかしいよね。ああ！
あ～　そうか。　ちょっと確かに
てれくさいかもですね。
こういうのは　別にいいんだよ
いいんだけど→
え　どういうことですか？
ちょっと大人のＤＶＤとかの…。（笑い声）
出て　あっ！　見られてた！
とかあるから→
出る時の方が危ないんだよってことを
言いたいの。
なるほど。
何が言いたいかわからない…。
ごめんね　ごめんね。
話ずれちゃってごめん。
やっぱり　エレベーターが
カシャンって閉じるまでは→
ものすごい笑顔で帰っていくっていう