ほとんど みられませんでした。
クジラに食べられなくても→
長い旅の途中 別の天敵にやられてしまうようなんです。
あらら～…。
そもそも こうして稚魚を食べるクジラは→
この辺りでは フラのほかには
確認されていません。
フラは
ザトウクジラの中でも→
新たな「開拓者」のような
存在なんですよ。
開拓者？
ええ。
ザトウクジラが食べるのは 普通→
ニシンやオキアミといった 大きな群れを作る生きものです。 それを→
数頭が力を合わせて 一斉に追い込み→
こんなふうに 豪快に食べるんです。
うわっはっはっは
いや～ すごいすごい！
大迫力ですな～。
本来サケの稚魚は→
ザトウクジラが狙うほどの
大きな群れには なりませんが→
放流直後は別。
この場所と時期を覚えたフラは毎年 ここに→
１頭だけで 現れるようになった
というわけなんです。
へえ～。
もちろん 影響がないとはいってもふ化場の人たちも→
おっ
人とクジラの知恵比べですな。
「目くじら」立てず じっくり
拝見いたしましょう。
なんてね。
人とクジラの知恵比べ。
生けすの一部を切り離し→
船で沖合に運んで放流する作戦です。
フラは いつも岸のすぐそばにいるため→
生けすごと 沖合に運んで放流すれば食べられないはずです！
沖合に着くと
生けすの四方を囲む網を巻き上げます。
一気に放たれる サケの稚魚。
ところが…そこには なんと フラの姿が！
生けすの あとを追って
泳いできたんです。
あ～… 大きな口で食べちゃいました。
初戦は フラの完全勝利！
ふ化場の人たち
このままでは 引き下がれません。
人とクジラの
知恵比べ。
今度は クジラに気付かれないように→
稚魚を船に積んで→
沖に運んで放流する作戦です。
ふ化場は この作戦のために→
お金を出して
ボートをチャーターしました。
太いホースで
生けすの稚魚を 船に移します。
船の中に 魚がいるとは→
フラは 夢にも思わないでしょう。
ひそかに 魚を積んだ船は
沖へと向かいます。
近くに クジラの気配はありません。
放流は大成功！
今度は
人間の知恵と工夫が勝りました。
しかし
大量の稚魚を この方法で運ぶと→
お金も 時間も かかりすぎて
採算が合いません。
生けすの中には まだまだ 魚がいっぱい。
そこで…。
人とクジラの
知恵比べ。
稚魚を 一斉に網から出すと
まとめて食べられてしまうので→
小出しに 放流する作戦です。
生けすの網を 少しだけ開けて→
稚魚が ちょっとずつ
出て行けるようにしました。
もし 魚が危険を感じたら→
生けすの中に逃げ込めるというメリットもあります。
この作戦に フラはどうする？
突然 生けすの下から→
激しく 泡が湧き上がってきました。
この泡フラの仕業に違いありません。
生けすの中の稚魚を 外に
追い出そうと しているんでしょうか？
リックさん 潜って確かめます。
あ また泡です。
この真下に いるはず。
リックさん懸命に フラの姿を探します。
なんと
フラは 生けすの中に いました！
狭い隙間を見つけ
巧みにすり抜けて 入ってきたようです。
フラの大きさは 生けすと ほぼ同じ。
こんな事態誰も想像していませんでした。
生けすから 逃げ遅れた稚魚を