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2019/08/27(火) 00:47〜01:37 プロフェッショナル 仕事の流儀「革製品修復職人・保科美幸」[字][再]

だが 怒りは母の原動力。
傷ついた高級ブランドバッグを
みるみるうちに 蘇らせる。
ブランドバッグが数千円から数万円で
本来の輝きを取り戻す。
予約は常にいっぱい 2か月待ち。
保科は 1人の子を持つ新米ママ。
息子同伴で出勤するため
朝は てんてこまい。
(保科)はい 行こう。
子どもを職場に連れていくことに抵抗はあった。
でも 他に選択肢はなかった。
保科の勤める工房は東京・二子玉川にある。
革製品の修理とクリーニングを請け負う
小さな工房。
だが 依頼は全国各地から舞い込む。
時に 200万円近い高級バッグも。
保科たちは いかに修復するのか。
そして きめの細かいサンドペーパーで表面を整え→
すっぴんの状態にする。
ここからの色補修が 保科が業界屈指といわれる ゆえん。
顔料を混ぜ合わせて色を作り
革にメークを施す。
用いるのは 漆職人が使うやわらかいハケ。
他の業者の失敗例。
真ん中に僅かな色ムラ。
厚塗りした部分は革の質感が失われている。
(子どもの泣き声)
子どもの声でしょ ちょっとね そしたらもう 散歩に行く…。
(子どもの泣き声)


鮮やかな赤が目を引くが長年の使用で くたびれていた。
なるほど。
バッグを にらみ始めた。
この色は 何色を混ぜれば作り出せるのか。
だが 肌読みは色の分析にとどまらない。
指先の感覚に嗅覚をも駆使し
あるものを読み取る。
色の調合は保科の感覚が全て。
依頼主が最も気にしていたハンドル。
♪♪~
(女性)大丈夫ですか?はい。
持ち主の手元で
バッグが輝きを放っていた。
だが保科は 無類の心配性。
艶消し剤を少量 混ぜることでマットな革の質感を再現するという。
(保科)直した 直した ほれ。
リスクをいとわず僅かでも可能性があれば それに賭ける。
だが 色補修を施せば
ヌメ革本来の質感は失われる。
一度は断ったが どうしてもと頼まれ
やむなく引き受けた。
訪ねたのは なじみの革の卸売業者。
保科が考えていたのは焼きを施して色を濃くすることで→
シミを見えなくする方法。
柿渋を すぐに取り寄せた。
別のヌメ革を使って試し塗り。
迷ったら 進め。
保科の姿勢が この日もまた
バッグを蘇らせた。
だが 保科の日常は綱渡り。


この日 想定外のことが起きた。
そして更に。
緊急事態にもかかわらず保科は なぜか笑顔。
ねえ だから美幸 美幸…
ん?
1週間で
およそ30個を仕上げるという激務。
日中 工房で
仕上げることができたのは2つ。
蒼太朗…
かつては 時間を忘れいくらでも仕事に没頭できた。
でも母となった今は それはできない。
はい いいよ~。
息子を寝かしつけて家事を終え
再び 仕事に向かう。
僅かな傷も 見逃さない。
連日の夜なべとなった。
生徒会役員を買って出るほど
活発な少女には→
高校に入るとコギャルになった。
テレフォンアポインターのバイトもバーテンダーも→
そんな時 友人の紹介で出会ったのが
今の会社。
転機は ひょんなことだった。
職人の直したものに 客がショックを受けることも少なくなかった。
軽い気持ちで 「やります」と答え
職人になった。
でも それが苦しみの始まりだった。
でも…。
商品の特徴を頭に たたき込んだ。

業者に頼み込み革のイロハを教えてもらった。
徐々に 知識が身についてきた。
どう塗っても 跡が残る。
これでは
また客の悲しむ顔を見ることになる。
工房に押しかけ 職人に教えを請うた。
夜行バスで行き来しながらハケ使いを学ぶ日々。
そんな中 ふと気付いた。
自分が 夢中になっていることを。
そうすると自分は…

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