SNS時代を生き残るための電話術に迫ります。
1隻の船が 9日間の航海に
旅立とうとしていた。
目指すは 小笠原諸島北西の沖。
その深海にある 「海底火山」。
今夜のプロフェッショナルは
その格納庫で出番を待つ→
日本が世界に誇る船。
6500mの深さまで潜ることができる潜水調査船だ。
1989年の誕生以来 世界中の海に潜り…
深海に 豊かな生態系が存在することを証明してきた。
地震のメカニズムを解き明かすカギとなる
太平洋プレートの亀裂を→
世界で初めて捉えたのも 6K。
今夜は 30年にわたり世界を驚かせ続けてきた6Kと→
そこに集う人々が織り成す物語。
え~!
ここ いいわ!
私たちの知らない世界へ。
6Kとともに。
出港から およそ2時間。
母船「よこすか」のミーティングルームで
作戦会議が行われていた。
6Kには 主に2種類の人が乗り込む。
深海で何を調査するか。企画立案する研究者。
それを実行に移すため
6Kの整備と操縦を担うエンジニアだ。
今回のプロジェクトを率いるのは
異彩を放つ この男。
人呼んで…
深海の熱水地帯から新種の微生物を次々と発見。
生命誕生の謎に迫り続ける
この分野の第一人者。
エンジニアチームのリーダーは→
潜航回数400回を超える…
今回の目的地は 東京から南へ1000キロ。
小笠原諸島の北西に位置する海底火山…
ここで 火山から噴き出す熱水を好む
希少な生物を探し出す。
探すのは アルビンガイ。
体長は10cmほど 全身が毛むくじゃらという奇妙な巻き貝だ。
本来 日本の海域には存在しないと
考えられていた。
ところが…。
8年前 水曜海山で→
深海のタコ・ジュウモンジダコの仲間を
撮影していた時のこと。
映像に アルビンガイと思われる
丸い物体が映り込んでいた。
だが このプロジェクトは→
アルビンガイを ただ探し出すのが目的ではない。
まず 水曜海山のカルデラに 6Kを着底。
アルビンガイを見つけ出し 捕獲する。
そのアルビンガイを
カルデラの縁・外輪山に移動。
環境が変わっても 彼らが生存できるのか
観察する。
いわゆる 「人為的生息地移転」。
この研究を決行するのには訳があった。
深海での「人為的生息地移転」は
世界初の試みだ。
(高井)やる やらないにかかわらず…
航海3日目の朝。
6Kを積んだ母船「よこすか」は
水曜海山の洋上に達していた。
いよいよ 6Kの出番。
格納庫に 張り詰めた空気が漂い始めた。
エンジニアチームが
全ての動作を入念に確認していく。
(機械音)
ハッチに 髪の毛1本でも挟まれば→
機密性が損なわれ
大事故につながりかねない。
乗り込むのは 合計3名。
1人は 研究者。 貝のエキスパート…
残る2名は 操縦士と副操縦士。
重要な1回目の潜航は副司令・千葉和宏に任された。
6Kに クレーンの金具が装着された。
総重量 およそ30トンの機体が 海へ。
(着水音)
スイマーが クレーンの金具を外す。
午前10時過ぎ 潜航開始。
潜る時 6Kはエンジンなどの動力を必要としない。
おもりと自重のみで
海底へと沈んでいく。
その速度は
1分間に45m 時速2.7キロだ。
5分ほどで 水深200mに到達。
ここからが いわゆる「深海」と呼ばれる領域。
日光が ほとんど届かなくなり
漆黒の闇に包まれていく。
頼りは 6Kのサーチライトのみ。
目に飛び込んでくるのは…
プランクトンの死骸や排せつ物が
雪のように見える。
母船「よこすか」は 音波によって→
6Kの現在地を確認しながら 誘導を行う。
万が一 通信が途絶えれば→
6Kは たちどころに深海の迷子になってしまう。
潜航開始から40分