2019/11/26(火) 00:20〜01:10 プロフェッショナル 仕事の流儀「潜水調査船・しんかい6500」[解][字][再]


おもりの一部を切り離すことで→
浮力と釣り合わせ 降下を止める。

ここからは 「スラスター」と呼ばれる推進装置で→
前後左右 そして上下に 6Kを操る。
操縦士・千葉の腕の見せどころ。
コントローラーを用い
潮の流れなどを計算に入れながら→
巧みに 6Kを操る。
え~!
深海だけに生息する
ジュウモンジダコの仲間。
8年前 アルビンガイらしき
物体を見つけた時にも→
泳いでいたタコだ。
しんかい 了解。
まずは このプロジェクトの
きっかけとなった→
映像のポイントを目指しながら
アルビンガイを探す。
しかし 海底を移動しながらの捜索は


容易ではない。
ライトによって得られる視界は 10mほど。
しかも 潮の流れは変わりやすく思いどおりに移動するのは難しい。
3分ほど進んだところで
千葉が6Kを停止させた。
目の前 一回。
アルビンガイが生息するのはこうした熱水が噴き出す穴の周辺。
海底火山が噴出する
300度以上の熱水には→
6Kに ダメージを負わせる
硫化水素などのガスが→
大量に含まれ 危険だ。
熱水をかわしながら 先へ進む。
アルビンガイは いないのか。
気付けば 潮が 横殴りに打ちつけていた。
操縦が 一層 難しくなる。
目指すポイントは この岩を回り込んだ先。
岩を慎重によけながら進む。
海底での捜索を始めて1時間半が過ぎた時のことだった。
(千葉)あっ 分かりました。
見えました 私も。
(チェン)イエス!
これが アルビンガイ。
40個体はいると思われた。
日本の海域で 初めて確認されたアルビンガイの群れ。
2回目の潜航チームが分かるよう
発信機を設置する。
午後5時。
ミッションをやり遂げた6Kが→
7時間にわたる深海の旅から帰ってきた。

エンジニアチームは 翌日の操縦士に現場の状況を引き継ぐ。
私は しんかい6500。
今年で三十路を迎えた潜水船です。
潜水時間は およそ8時間。
海中でのスピードは2.7ノットに達します。
…といっても
人間が歩くほどの速さですが。
でも 貴重な生物や資源の宝庫である
深海では→
ゆっくり 慎重に移動するのが マナーだと
私は考えます。
6500mの深海ともなると
かかる水圧は すさまじく→
指先ほどの面積に→
お相撲さん4人分もの重みがのしかかります。
生身の人間なら ぺっちゃんこです。
その水圧に耐えるためコックピットは チタン合金。
厚さ7cmの完全な球体でできています。
これは 私の自慢の腕…
とても繊細に動かすことができ
海底で 物をつかんだり→
実験のための装置を扱うことも
できるんです。
でも 私には
もっと誇りに思っていることがあります。
私には 乗っている人間の命を守るための
工夫が→
コックピット以外にも
いくつも施されているんです。
万が一 マニピュレーターが

岩の隙間などに挟まり→
身動きが取れなくなった場合。
私は 自らの腕を発火させ切り落とします。
まだ やったことはありませんけど。
そして もう一つ。
何らかの原因で 電源が落ちてしまい
動けなくなった場合。
おもりを支える装置が
自動的に解除され→
海面に浮き上がる設計に
なっているんです。
30年。 1,500回潜って 大きな事故はゼロ。
それが 私の一番の自慢です。
でも こんな私にも
救ってあげられないものがあります。
深海の旅は 最長8時間に及びますが
私には トイレがありません。
この人のように おむつをはくなり
気合いで乗り切るなり→
そこは 自己責任でお願いしますね。