2019/11/26(火) 00:20〜01:10 プロフェッショナル 仕事の流儀「潜水調査船・しんかい6500」[解][字][再]


(着水音)
2回目の潜航。
前日に発見したアルビンガイを捕獲し引っ越しをさせる。
群れから 数体を吸引し カゴに収めた。

研究者として乗り込んだのはリーダー…
エンジニアチームのパイロットは
13年目の中堅…
アルビンガイの引っ越し先は→
発見ポイントから400mほど浮上した外輪山の上。
しかし その道中 異変が起きた。


6Kが 海底を えぐり始めた。
垂直スラスターは→
6Kが 海中で上下移動するための推進装置。
故障すれば
上昇することができない。
軽度のシステムトラブルであれば
再起動によって 復旧できるはず。
このままでは おもりを切り離し
緊急浮上するしかない。
その時。
操縦士・大西が目をつけたのは通常 海水を出し入れし→
機体のバランスを保っている
「補助タンク」。
このタンク内の海水を大量に排水。
機体を軽くして 上昇させ→
タイミングを見て 再び海水を取り込めば
外輪山に着地できると考えた。
排水による上昇を試み
6Kが 徐々に 海底から浮かび始めた。
だが その時 研究者の高井が
意外なことを口にした。
引っ越しを諦め
アルビンガイを 元の位置に戻し→
緊急浮上する安全策を提案した。
何よりも安全を重視するエンジニアが「攻める覚悟」を決めた時→
最も結果を求めたいはずの研究者が
あえて「引く勇気」を持つ。
この両者の関係が これまでも
安全と成果を両立させてきた。
その時 再び 想定外のことが起きた。

上昇しているはずの6Kが→
なぜか 沈み始めたことに
高井が気付いた。
原因を調べるため
大西が操縦装置を手にした。
すると…。
垂直スラスターが 突如 動き始めた。
スラスターに引っ掛かっていた異物が
何らかのきっかけで取れたのか。
6Kは 難局を切り抜けた。
そのまま 400m上昇し外輪山に アルビンガイを移動。
引っ越しを 無事に終えた。
♪♪~
私 しんかい6500は
今から30年前に生まれました。
平成の時代が 幕を開けた年です。
従来の潜水船の能力をはるかに凌駕する私の登場に→
たくさんの人々が
期待に胸を膨らませました。
現在の総司令の櫻井さんも そんな一人。
当時は 「まだまだこれから!」という若手エンジニアでしたが。
(拍手)
あのころ 水深6500mにまで人間を連れていける潜水船は 私だけ。
誰も見たことのない生き物を
次々に発見しました。
宇宙だけが 未踏の地ではない。
足元にも 刺激的な世界があることを→
人々にお見せしたのです。
20年のつきあいになる高井さんを喜ばせたのが→
ある微生物との出会い。

それは 水素と二酸化炭素からメタンを作り出し→
それをエネルギーに変えて生きる
メタン菌。
深海の熱水域に
人知れず生息していた彼らは→
生命の起源に迫るカギを
握っていたのです。
そして 更に 水深6200mの深海で
地球規模の地割れを発見。
巨大地震のメカニズムを解き明かす
手がかりをつかみました。
でも 誕生から 10年 15年。
各国の海洋研究が活発化し最新鋭の潜水船が 次々と開発され→
風向きが変わり始めました。
…という声が聞こえ始めたのです。
私は もういらない…?
そんな時でした。
2011年 東日本大震災が発生。
私は 今後の地震予測のためのデータを集めようと→
三陸沖の震源間近を
3度にわたって潜りました。
大震災発生から まだ4か月。
余震が1日300回以上起きる中での調査でした。
そんな中 私と 私に乗り込んだ研究者と
エンジニアは 海底の亀裂を発見。
震源で何が起きていたのかを
調査し続けました。
それから半年後のことでした。
私は 6億9,000万円という予算を投じられ→
かつてない大改造を施されました。