奏でていたと考えられます。
高次倍音が含まれる典型は→
モンゴルに伝わる伝統的歌唱法ホーミーです。
♪♪~(歌声)
舌を特殊な形に動かし 低いうなり音と甲高い音を同時に出し→
そのハーモニーが
幻想的な世界を作り出します。
ひばりさんは この高次倍音を
曲の必要な箇所だけに→
ピンポイントで出しています。
この曲のサビの部分。
♪♪「ああ」
「あ」の周波数は 4,500ヘルツ以下で高次倍音は現れていません。
その 0.3秒後。
♪♪「かわのながれの」
この「か」の音だけに
高次倍音が現れます。
聞き手に それとは気付かせない
超絶テクニックで→
奥行きのある歌声を
作り上げていたのです。
♪♪「ああ かわのながれのように」
エンジニアの大道さんはもう一度 ひばりさんの歌声を→
丹念に聴き直していました。
高次倍音のほかにも際立った特徴が見つかりました。
ひばりさんの歌には 楽譜に対して
音程やタイミングのズレが→
随所にあったのです。
♪♪「それもまた」
ひばりさんの曲を自己学習したAIは
本来なら→
楽譜からのズレや高次倍音までも
再現できるはずでした。
しかし 新曲という未知の領域で
AIは 楽譜で指示された音を→
忠実に表現することに とどまっていたと
考えられます。
大道さんは
思い切った改良を行いました。
開発したAIには
メインのAIをサポートする→
4つのAIが配置されています。
音程 タイミング ビブラート→
そして倍音など 音色に特化したAIです。
いずれも 歌に深みを与える要素です。
しかし 新曲では 楽譜に縛られ→
十分に機能していませんでした。
そこで 大道さんは→
音程とタイミングのズレを担う→
2つのAIに
関与の度合いを強めることを→
指示したのです。
そうすることで ひばりさんの歌世界に→
近づこうとしました。
新しい設定で新曲「あれから」を歌わせてみました。
♪♪「夕日がまた沈んでいく
あっという間の」
AIの歌声を
専門家に解析してもらったところ→
あの高次倍音も 確かに出現していました。
開発から1年近く。
AIによる ひばりさんの歌声作りは
完成に近づいていました。
AIでよみがえった美空ひばりさんが
いよいよ 人々の前に姿を現します。
会場は 生前 ひばりさんが幾度となく
歌声を響かせた NHKの101スタジオ。
新曲を伴奏するオーケストラ→
特設のスクリーンに3DCGを映し出すエンジニアなど→
総勢100人を超えるスタッフが
集結していました。
会場には 200人近い美空ひばりファンが
駆けつけていました。
秋元 康さん。
(拍手)
そして AI開発に関わった
全ての人たちも集まりました。
AIでよみがえる美空ひばりさん。
30年ぶりのステージです。
それでは お待たせいたしました。
AI美空ひばりコンサートの開演です。
(拍手)
♪♪~
♪♪~
(拍手)
♪♪~
♪♪~
♪♪~
(拍手)
(拍手)
駄目ですね アナウンサーが泣いちゃね。
しゃ… しゃべれない…。
て… 天童さん どうでした?
(小松)和也さん…。
はい。
あの… 本当に… いや…
(小松)語りかけてました。あの言葉は どう…。
いや… びっくりしました 正直。 ええ。
ああ そうなんですね。もう こういう時代なんですね。
あの… 演奏されている皆さんも