「あ この子は施設の子」って→
施設全体のくくりで
見られるようになってきたんです。
まあ 施設を悪く言う親も
中には いてるんで。え!
で それで給食の時とか 並んでたら
ある男の子が→
「俺 施設の子に給食 渡したくないねんな」
とか言われたりとか。
で 同級生の下敷きが無くなったんです。
当時 阪神タイガース すごい人気で金本選手の下敷きを持ってる子がおって→
言われたのが…
ある子が言って。 で それで 俺ら誰も とってなかったんですけど 結果。
生徒指導室みたいなとこに
連れていかれて→
その中で 同じ施設の子が5人ぐらい
いてたんですかね 全員呼ばれて…
う~わ!
あ~ 最悪。先生にまで言われて。
今だったら もう大変よね。
いやもう ほんとに。うん。 あ そう。
だから やっぱ 自分って世間から見れば→
こういう感じに見えるんやと思ってしまったりとか。
だから 自分で自分を
責めるようなとこもありました。
でもさ 施設で
楽しかったことって言われたら 何?
運動会って あったんですよ。
へえ~。
ある高校生のお兄ちゃんが
今年の運動会は…
…って言ってくれて 借り物競走で→
「兄弟」とか 「母」 「父」とか書いてるような紙を こう置いてて→
で 取りに行ったら その取った子が
自分が家族と思ってる子→
お兄ちゃんやったら お兄ちゃんと
思ってる子を連れてきて とか。
あと
親子リレーみたいな感じで→
自分の母代わりの職員とか→
父代わりの職員とかと一緒にリレーしたりとかして。
運動会の日 やっぱ あの日初めて
家族じゃないんやけど→
家族に感じれたというか。
はあ~!
あ 俺って
ひとりじゃないんやなあと思った。
そっか。 そこで まあ 「ああ やっぱ
いいな 家族って」って思った。
そのあと 親との関係性って
やっぱ ちょっと変わってきた?
さらに悪化しました。
はあ~ そう。
小学校の最後の授業参観
っていうのがあって→
その授業で 両親に感謝の手紙を読むって
授業があったんですよ。
当然 困るじゃないですか。
両親っていうても育ててもうてへんし。
施設の職員に相談したら 「お母さんに
電話するわ」っつってくれて→
電話してもらって お母さんが
「見に行くわ」って言ってくれたんです。
それで…
…みたいな感じで。書いておいてたんですよ。
で 当日 お母さん来てくれるやろなあと
思って期待してて 待ってたんです。
で だんだん 自分の順番になってきて
「あ 来うへんな」って悟って→
その時に 職員が見に来てくれてて→
それで まあ 念のために用意してあった職員への手紙を読んで…
…みたいな感じで。 もうそしたら
女の職員さん ガーッて号泣してくれて。
ま 俺にとっては 「職員が親やから」
みたいな感じで言って。
こっちまで
ちょっと泣きそうになって。
お母さんは じゃあ…。
結局 来ずで。来ずで。
期待してたんですけどね やっぱり。
それ以来 全く親にはもう 期待せんほうがいいんやと思うようになりました。
そうか…。
いや そうなりまさぁね。
そうね~。
その後 思春期を迎えたユウトさん。
施設で暮らしていることを→
秘密にするようになります。
中学までって 地元に施設があるんで
全員 知ってるんですよ。
校区外の高校に行ったら
知らない子のほうが多いじゃないですか。
それで 高校入ると同時に
ちょっと言わんとこって決めて。
うん うん。 ちょっと隠して。
隠すようになりました。
隠すって どうやって隠すの?
ウソの設定で。 例えば 僕が言ってたのはお母さんが ちょっと体悪くて→
おばあちゃんのとこにおるねん。
それは うまくいったの?うまくいって。
あと 連絡網。 みんなって やっぱり