2019/12/22(日) 21:00〜21:50 NHKスペシャル 東京リボーン 第3集「輸送革命 果てなき欲望との闘い」[字]


沈埋工法の数少ないスペシャリストである。
じゃあ 今日一日 ご安全に。

(一同)ご安全に。
この巨大沈埋函の沈め方には→
海の工事ならではの仕掛けがある。
沈埋函の内部には→
バラストタンクと呼ばれる巨大な水槽がある。
このタンクに海水を取り込み
その重さで沈めていくのだ。
水量の細かい調整をしながら
4時間以上かけて沈めていく。
これまで 既に
4つの沈埋函が沈められている。
ここから 海底にある沈埋函と
接合させる作業が始まる。
これこそ
沈埋工法の最大の難関である。
海底のおもりと台船をワイヤーでつなぎ→
沈埋函を動かしながら数ミリ単位で接合させていく。
函には さまざまなセンサーが設置され→


位置や傾きの情報が指令室に上がってくる。
自分の目で見ることはできない
水中の工事。
西村は 頭の中で
函の向きや目標とのズレをイメージし→
指示を出していく。
函が 海底近くに到着した。
ここから 潜水士の出番だ。
潜水士は沈埋工法の成否の鍵を握る存在である。
誰も近づけない現場に飛び込み→
機械の取り付け 溶接など水中の作業を一手に担う。
中でも 最も重要な任務が計測である。
新たに沈めた沈埋函と既に沈められていた函との間に向かい→
その間隔や高さを計測する。
潮やうねりなどで センサーには誤差が出ることがあるため→
最終的に
人の目で確認しなければならない。
函の接合には
数ミリ単位の精度が要求される。
トンネルの強度が
全く変わってくるからだ。
しかし 水中での巨大建造物の計測。
危険と隣り合わせだ。
とりわけ 東京の海は危険である。
視界は僅か30センチ。
大量のプランクトンによるものだ。
計測中に 巨大な函が僅かでも動いたら→
気付かぬうちに
指や体が挟まれるおそれがある。
潜水時間にも限界がある。

今回の水深では1回で潜れる時間は25分。
体への負担を考えると→
1日の作業で潜れるのは2回が限界である。
4人の潜水士が交代で潜る。
川崎さん 宇野です。
「上 W1」。
「下側 Wの2 298です」。
(一同)おお~。
(拍手)
海上と水中の見事な連携。
完璧な工事だった。
2016年4月に始まった工事。
7つのうち 5つまで沈埋函を沈めた。
しかし この3か月後
プロジェクトチームは→
最終函の工事で
最大の試練に直面することになる。
世界中からモノが集まる
物流拠点 東京港。
日本のコンテナ輸入量の25%が
集中している。
しかし コンテナの数は増え続け→
受け入れの限界に近づきつつある。
現在 東京港には 大井埠頭など→
4つのターミナルがあるがそれでも足りない。
そこで 2020年春
東京港の南端に→
Y2と呼ばれる
新たなコンテナターミナルを稼働させる。
あの海底トンネルは→

新ターミナル Y2と都心の幹線道路とを→
最短距離で結ぶ
役割を担うのだ。
1日1万2,000個相当のコンテナを扱う
東京港。
それにしても
なぜこれほど大量の荷物が届くのか。
中に入っているのは
私たちの生活に密着したものばかりだ。
あるコンテナの行方を追いかけてみる。
タイから届いたコンテナに詰め込まれていたのは→
大量の段ボール箱。
その中身はというと…→
鮭の切り身だ。
実は この鮭南米のチリで育てられていた。
日本マーケット向けに
安定供給する巨大養殖場だ。
その鮭が 直接日本に来るわけではない。
次に移動したのはタイの加工場。
5センチ角均一に