2019/12/22(日) 21:00〜21:50 NHKスペシャル 東京リボーン 第3集「輸送革命 果てなき欲望との闘い」[字]
そんなに 24時間食いたいか?
はやりの服が すぐに着たいか?
一つ間違えば 東京港という心臓から→
血液が流れなくなるような事態が
起こるかもしれない。
そうなると 俺たちのヤワな日常なんて
すぐに吹っ飛んじまう。
それにしても この目詰まり→
トンネルの一つや二つでどうにかなるものだろうか。
実は 東京湾には 致命的な弱点がある。
巨大ターミナルとしては 水深が浅いのだ。
毎朝9時。
東京湾に一隻の船が出る。
ドラグアームと呼ばれる この赤い機械が
海底に向かう。
すると…。
ヘドロだ。
海の底にたまった土砂が
次々に吸い上げられてくる。
その量 1回 700トン。
ただでさえ浅い東京の海には→
荒川や隅田川などから
大量の土砂が流れ込んでくる。
放っておくと
水深は→
大型船が通れないほど
浅くなってしまう。
浚渫船は
巨大な船の通る航路を掘り続け→
海底に
海の道を作っている。
一番太いこの道は
水深16メートルほど。
巨大なコンテナ船が通る航路だ。
その先は浅くなり大型船は もう進めない。
浚渫によって 日本の心臓 東京港の機能は
なんとか維持されている。
では 吸い上げられた土砂は
どこに行くのか。
東京湾で今も続く 埋め立て工事の現場。
そう 埋め立ての土となるのだ。
積もり続けるヘドロ。
それを掘り 埋め立ての土に使う→
一石二鳥のサイクルを繰り返し→
東京は膨張してきた。
海底のヘドロや土砂を使い 出現した
陸地の代表格が→
利用客数 世界第4位のメガポート
羽田空港である。
元は 何もない海だった この場所。
半世紀の間利用者が増える度に海を埋め立て→
面積 1,500平方キロの巨大空港に
成長を遂げた。
しかし 拡張は もう限界である。
巨大コンテナ船の航路がすぐそばまで迫っているのだ。
2020年 東京は
外国人の受け入れを→
1,400万人から 2,500万人に増やすことを
目標にしている。
それに備え 国際線を→
1日120便前後から170便に→
大増便する
計画である。
しかし 空港の運用は
現状でも余裕はない。
混雑時には
まるで電車のラッシュ時のような→
分刻みのダイヤが組まれている。
映像を見てみると→
その混雑ぶりが よく分かる。
ぴたりと同じルートを同じ間隔で飛んでくる航空機。
多い時間帯で 2分に1回
発着が繰り返されている。
新たな滑走路を造れない中で→
1日50便という大増便をどう実現するのか。
取った手段は
新しい飛行ルートの開拓だった。
今 そのための管制訓練が始まっている。
これまで羽田空港には海側からしか着陸できなかった。
その理由とは こうだ。
東京の空には 終戦直後の米軍支配がそのまま残っている。
都心方面の上空は
アメリカ軍が管轄する横田空域。
羽田空港を発着する民間機は
飛行してこなかった。
そこで 日本政府は 増便を訴え→
交渉の末 横田空域の一部使用が認められた。
これまで 羽田空港では 南風の場合→
離陸には AとCの滑走路。
着陸には BとDの滑走路と
使い分けてきた。
都心上空を避けるための苦肉の策だった。
しかし BとDの滑走路に着陸する航空機があった場合→
AとCでは 離陸を待機せざるをえず→
時間のロスが生じていた。
都心からの新たなルートを活用すると→
着陸も離陸もAとCの滑走路で可能となる。
2本の滑走路で
着陸と離陸を効率的に行うことで→
増便が可能となるのだ。