危険を伴うのだ。
3年3か月続いた工事の総決算である。
じゃあ あの~ いよいよ いよいよです。
タワーより各所。
海水の重みでゆっくりと沈んでいく沈埋函。
それでは 第3段階に移ります。
ウインチ スタート。
函が海底に到着し
潜水士たちが計測のため海に入る。
相変わらず 濁りはひどい。
函の隙間に体を挟まれないよう慎重に作業を進めていた。
すげえよ すげえ。
工事は順調に進んでいるように見えた。
しかし 終盤 想定外のズレが発覚した。
ズレが計測されたのは7号函と接合する この場所。
計測された隙間は
目標値より 16センチ広い。
高さも24センチ ズレていた。
134メートルという 巨大沈埋函の工事。
しかし 目標とするのは
誤差2センチ未満。
トンネルの耐久性に
影響が出るからだ。
海底に設置したジャッキで
高くなっていた7号函側を下げて→
目標位置に近づける。
その時 更なるトラブルが襲った。
センサーが止まったのだ。
ジャッキによる修正を行おうにも→
数値が出なくなってしまった。
大ピンチである。
頼りは 潜水士。
もはや 正確な数値は彼らが測るしかない。
ジャッキによる修正が
何度も繰り返された。
その度 潜水士は海に飛び込み
数値を報告し続ける。
57。 は~い OKで~す!
しかし7号函側のジャッキを調整すると→
今度は
反対側がズレてしまう事態に陥った。
計測を繰り返す中で→
潜水士たちの潜水時間は限界へ近づいていた。
リーダーが買って出た。
ピンチの時こそリーダーの器が問われる。
267。
海上では 指揮官の西村が解決策を模索していた。
当初 ズレが出た場所の
ジャッキだけを動かし→
目標値に合わせようとしていた。
しかし この方法では反対側に新たなズレを生じさせていた。
函自体カーブしているため
影響の度合いが読みにくかった。
そこで 対角線上にあるジャッキを
同時に動かすことで→
ズレが生じるのを抑えようとしたのだ。
西村は 134メートルの巨大な沈埋函を→
2ミリずつ動かしていくことを指示した。
7号東側 マイナス2ミリでお願いします。
7号東側南行き マイナス2ミリ。
西村のイメージではこれでいいはずだ。
潜水士から計測データが届いた。
誤差 僅か1センチ余りだった。
海上の頭脳と水中の技。
エキスパートたちが知恵と体力を振り絞り→
ピンチを乗り越えた。
これで 最高!
こういうのないとね。
あ~!あ~!
工事開始から 3年3か月。
7本の沈埋函 全てが 海底に沈んだ。
はい じゃあ 6号函側 ハッチ開放します。
930.8メートルの海底トンネルが一本につながった瞬間である。
トンネル内部では オリンピックに向け
道路舗装など→
その後の工事が 急ピッチで進んでいる。
大会期間中 このトンネルをくぐり→
アスリートたちが競技場へ向かう。
そのあとは 私たちの生活を支える物流の大動脈となる。
2020年に向け 大増便を行う羽田空港。
都心上空の新ルート開設に向け準備を急いでいる。
深夜 この下では
今も軟弱地盤と闘いながら→
トンネル作りが進められている。
東京港。
この日も港は コンテナであふれていた。
ガンマンたちは黙々と積み降ろしを続けている。
トラックドライバーたちは
やはり この日もひたすら待ち続けていた。
東京の海では
毎日 海底の浚渫作業が続いている。
掘り返したヘドロを埋め立てに使う。
明治以来 100年余り続いてきたこのサイクルにも いずれ終わりが来る。
東京港 南端にある この埋め立て地。
あと50年余りで 満杯となりヘドロを受け入れられなくなる。
それでも 東京の海には
ヘドロが流れ続けてくる。
50年後 それを
どこが引き受けてくれるのか。
その時 東京は