触れるのを避けてきました。
道代さんは どう考えているのか。
この日 2人は初めて尋ねることにしました。
道代さんは 人工呼吸器をつけて
生きていきたいと伝えました。
その行だったら 目つぶって下さいね。
私は 道代さんに生きる支えは何かと尋ねました。
「せ」ですか? 「そ」ですか?
「く」ですか? 「け」ですか?
ああ そうですよね。
延命措置を選ぶのは→
家族との何気ない日常に
喜びを感じるからだと→
道代さんは 私に教えてくれました。
安楽死団体からの返事を待っていた小島ミナさん。
対応するとの連絡を受け
11月末 スイスに到着しました。
はい どうぞ~。 はい どうぞ。
スイスの安楽死団体 ライフサークルのエリカ・プライシック医師です。
ハロー ミナ! ハロー。
耐え難い苦痛があるか 明確な意思表示ができるかなど→
安楽死のために
必要としている要件を→
ミナさんに
確認しに来ました。
すると プライシック医師は
思いがけない言葉を口にしました。
今 安楽死を選ぶべきなのか。
医師の言葉が3人の気持ちを揺らしていました。
プライシック医師は 安楽死は
家族にも覚悟を迫る死だからこそ→
十分な話し合いが欠かせないと
考えていました。
別の医師によって
最終的な判断が行われました。
この段階で 安楽死には該当しないと
判断される可能性もあります。
姉たちは どこかで 安楽死を
思いとどまってほしいと願う一方で→
ここで引き返せば 妹が再び
自殺を考えてしまうのではないかという→
不安にも襲われていました。
この日の午後 ミナさんは→
安楽死の要件を満たしていると
判断されました。
そういう運びになりました…。
電話の相手は 反対していた妹でした。
ミナさんは
決意を固めたことを伝えました。
ミナさんにとって
自分の尊厳を守るための選択でした。
この日の夜。
3人は ホテルで最後の晩さんの時間を持ちました。
じゃあ 水で乾杯しますか。
水で乾杯。
はい お疲れさ~ん。
お疲れさ~ん。
まあ でも本当に…→
でもさ あの~…。
うん そうね。
妹の選択に悩み続けた姉たち。
スイスに来てから
救いに思えた出来事がありました。
病状が悪化してから 家族の手を
煩わさないようにしてきたミナさん。
これまで頼らなかった入浴介助を
初めて姉たちに任せたのです。
残された時間を惜しむように
3人は朝まで一緒に過ごしました。
イエス。
クローズ クローズ。うん クローズ。
クローズね。
ホワット イズ ユア ネーム。
マイ ネーム イズ ミナ・コジマ。
アンド ホワット イズ ユアデート オブ バース。
マイ バース イズ…。
ウフフフッ。
うん… ありがとう。
(泣き声)
(泣き声)
ありがとう。
ミナちゃん ありがとう。
ミナさんと同じ病気を患い→
延命措置を選ぶことにした…
この日 2時間の一時帰宅が許されました。
うん そうそう そうそう。
家族が痰の吸引などを覚えて実現させました。
自宅から続く並木道。
ほら。 ほらほら ほら。 ほら。
大好きな桜を見ることができました。
見えた?
ミナさんが安楽死をしてから5か月。
今年は 2人だけで見る桜となりました。
姉たちは スイスで一緒に過ごした時間が
あったからこそ→
今 妹の安楽死と
向き合うことができるといいます。
でも 本当に…
2019/12/28(土) 15:05〜15:55
NHK総合1・鹿児島
NHKスペシャル選「彼女は安楽死を選んだ」[字]
去年、重い神経難病を患っていた日本人女性が、スイスで安楽死を行った。民間の安楽死団体が、海外からも希望者を受け入れているスイス。そこに向かう日本人と家族の記録。
詳細情報
番組内容
去年、一人の日本人女性が、スイスで安楽死を行った。女性は重い神経難病を患い、自分らしさを保ったまま亡くなりたいと願っていた。患者の死期を積極的に早める安楽死は日本では認められていない。そんな中で、民間の安楽死団体が、海外からも希望者を受け入れているスイスで安楽死することを希望する日本人が出始めている。この死を選んだ女性と、彼女の選択と向き合い続けた家族の姿は、私たちに何を問いかけるのか見つめる。
出演者
【語り】森田美由紀
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
ニュース/報道 – 報道特番