2019/12/28(土) 22:00〜23:00 SWITCHインタビュー 達人達(たち)・選「舘野泉×中村桂子」[字]
お小さいときからお住みになってらしたわけでしょ?
え~! 本当ですか?
ここで 取り上げてくださった…。
母はピアニスト。 父はチェリスト。
弟と2人の妹も 全員 演奏家という→
生っ粋の音楽一家で育った舘野。
5歳で ピアノを始め→
東京藝術大学のピアノ科を
首席で卒業した。
このピアノは…。
それで これはね… この楽器が→
スタインウェイなんですけど。
ええ スタインウェイですね。
随分 古いスタインウェイなんですね。
へえ~!
実は 亡くなった妹が
使ってたものなんです。
うわ~… それじゃ
思い出が入ってるんですか。 へえ~。
やっぱり…
ああ そうですか。 そうすると やっぱり→
妹さんのことも思い出したりなさいます?
そうですね。
ああ そうですか。
それで 今はねもう 82になりましたけども。はい。
う~ん… まあ… 平均して
1日のうち 3時間ぐらいかな。
ああ そうでらっしゃいますか。
でも その時間が 一番楽しいお時間?ええ…。
そうですか。
コンサートに伺うと 何かね こう音に包まれるっていう感じがする。
それが大好きで。 ええ。
それで もしかしてこんなに近くで音が聴けたら→
どんなに幸せかって 今 ちょっと
ぜいたくなことを思ってるんですけど。
こんなのは… どうかしら?
はい。
♪♪~(ピアノ)
♪♪~
こんなような…。
うあ~…! 何か→
こんな ぜいたくして
いいのかしら~? っていう。
今の曲… 何です?
これはね…
これは…
両手でも弾けますけどね。
でも 左手で弾くのが 何だか…。
きれいに弾ける?
なるほど。
やっぱり 何ていうか…
ああ… こう 自分の中から→
この 一つの手の中にこう 入っていく。
ええ。 だから 音楽というのは→
まあ よくいわれるのは こっちが…
この 一つの手に まとまって。
だから メロディも 伴奏も。
あるいは…
そういうのが こう 一つの手に固まって→
ここへ出てくるという…。
そこへ 思いを込めてらっしゃるのね。
その 何ていうか…
なるほど。 ふ~ん。
でも 私 今ね 本当に
ピアノ全体が鳴ってるっていうのが→
何か よ~く分かりました。
♪♪~(ピアノ)
♪♪~
18年前のコンサート映像。
力強い演奏と豊富なレパートリーで
世界を魅了してきた舘野を→
病が襲ったのは この翌年。
2002年フィンランドで開かれたコンサート。
演奏を終え
立ち上がって あいさつをした直後→
舘野は ステージ上に崩れ落ちた。
脳出血だった。
幸い 命は取り留めたものの
右半身に まひが残った。
前兆は
お感じになってらっしゃいました?
前兆は 感じてなかったんだけども→
やっぱり…知らなかったんでしょうね。
だから もう 相当なハードスケジュールが
ず~っと続いて。
体が もう悲鳴を上げていらした?
悲鳴 上げてたんでしょうね もう…。
ご自身は お気付きにならなかったけれど。
もう ここまでだよ… っていって倒れてしまった。
それで 結局…
でもね それも… その2年間…
えっ? つらくなかったんですか?
つらくなかった。
それで…
家内が「あれほど 私たちの家で…」。
いや~ それは だって→
いつも 演奏旅行に行っておしまいになって 奥様としては→
ご一緒にいる時間が
とても短かったわけでしょ。
それが いつも いてくださる。