2019/12/29(日) 00:25〜01:25 NHKスペシャル選「戦後ゼロ年 東京ブラックホール 1945−1946」[字]


街にあふれている。→
未来では カラスが たらふく
ごちそうを食っている。→
そんな話をしても

誰が信じてくれるだろう…>
腹減ったよな。
<獣のようにヤミ市をさまよう浮浪児を見た。→
底なしの沼のような目で
見つめられた。→
どきりとする>


<ヤクザやヤミ屋の手先になる子どももいれば→
乏しい稼ぎで
病気の母親を養う子もいる>
どこだ!? おい 待て!
<ある日 浮浪児の狩り込みに出くわした。→
役人や警察は 孤児たちを
1匹 2匹と数え→
施設に連れ去った>
<逃げないように裸にされる>
<痩せこけた子どもたち。→
飢えは 子どもから心を奪う>
戦後ゼロ年。
大都市では毎月100人を超える餓死者が出た。
食糧難につけ込む
恐ろしい犯罪が起こっていた。
連続殺人事件の犯人 小平義雄。
元海軍3等兵。
7人の女性を毒牙にかけた。
その手口は どれも似ていた。
(小平)こんにちは。
買い出しですか?
はい。
大変ですね。
ご存じですか?
この先に 親切な農家の方がいて→
いつも お米を
安く分けて下さいます。
そうですか。
お困りでしょう。よかったら ご案内しますよ。
そうですか?

では よろしくお願いします。
全てが ゼロになった東京。
しかし 本当はゼロではなかった。
巨大なブラックホールが
国民の財産を のみ込んでいった。
東京湾から
大量の金塊が見つかり→
海外でも大きく報じられた。
ニュース映像を カラー化してみた。
日本軍の隠匿物資。
元はといえば 本土決戦のために→
軍が国民からかき集めた
財産にほかならない。
占領軍の担当官によれば
隠匿物資の総額は 数十億ドル。
現在の価値で 数兆円に上る。
なぜ これだけの隠匿が行われたのか。
事の発端は
鈴木首相の出した通達だった。
日本が ポツダム宣言を受諾した→
8月14日に出された。
米軍上陸前に 軍需物資の放出を
命じるものだった。
アメリカ戦略爆撃調査団の
報告によれば→
敗戦直後の日本には→
経済を2年間支えるだけの物資があり→
食糧も 大量に→
備蓄されているはずだった。
しかし 占領軍が上陸した時には

その大半が消えていた。
翌年の正月 陸軍の倉庫から→
軍人が隠していた物資が大量に見つかった。
大豆380俵 木炭450俵→
米 ゴム。
怒った周辺の住民3,000人が
押しかけた。
外務省にも ヤミ物資が
隠されている噂を聞きつけ→
300人が詰め寄った。
事務次官は しらを切ったが→
カメラは
禁制品のウイスキーを捉えていた。
そして 倉庫には
米や炭など隠匿物資の山。
各地で 次々に
隠匿物資が見つかった。
こうした物資が ヤミ市に流れ
高値で売られていたのだった。
占領研究の第一人者 ジョン・ダワー教授。
この事件を国家ぐるみの悪質な犯罪と見る。
一方で 日本人の中には
占領軍に食い込み→
米軍物資を
横流しする者も現れた。
長者番付の上位を
ヤミ成金が独占した。
歴代の権力者と親交を重ねてきた。
若き日ヤミ市で稼ぎ 財を成した。
富の源泉は