米軍の横流し物資であった。
アメリカにとっても
ルールなき東京は 金のなる木だった。
占領軍に食い込んだ人物の中に
あの男もいた。
田中角栄。
1947年 政界に身を投じた田中。
占領軍の発注で→
いかに建設業者が潤ったかを証言した。
占領軍の建設発注は
現在の価値で 6,500億円に及ぶ。
この金の出どころも日本政府。
土建業界は潤ったが財政は ひっ迫した。
<皇居前広場では→
連日のように進駐軍のパレードが行われる。→
見物人も多い>
<でも 俺には退屈だ>
<ちなみに 皇居前広場は→
進駐軍の兵士が 日本の女性と公然とデートする場所だ>
<浮かれたアメリカ兵が
若い女性にダンスを教えていた>
<のぞいていたら
MPに尋問された>
(笛の音)
占領軍は 日本のメディアに→
兵士と日本女性の交際を
報じる事を→
厳しく禁じていた。
しかし アメリカでは 実態があからさまに報じられていた。
敗戦直後
40万人の占領軍上陸にあたり→
性犯罪を恐れた日本政府は→
その 防波堤とするために売春施設を作る事を決定した。
大蔵省が 3,300万円を用意。
管理する組織が設立された。
組織の名は RAA。
国内では特殊慰安施設協会と呼ばれ→
警視総監が陣頭指揮を執った。
事務所は銀座7丁目に設けられた。
RAAの新聞広告。
「特別女子従業員募集衣食住および高額支給」。
仕事の内容には一切触れていない。
これは 最近発見された占領軍専用の売春施設の映像。
オーストラリア軍の兵士が撮影した。
265の部屋があり200人の女性が働いていた。
<新年の大ニュース。→
長らく神様だった天皇が→
突然 神様の座から降りると
宣言した>
<人間となった天皇は
全国巡幸を始める。→
つい この間まで
雲の上にいた存在。→
今や誰もが生身の姿を拝めるのだ>
<天皇制に関する議論はびっくりするほど オープンだ。→
誰もが天皇について
ひと言 言う自由を→
楽しんでいるように思えた>
<腹をすかせた大群衆が→
皇居の門の前で
大騒ぎしているのに出くわした>
<焼け跡暮らしの苦しみを 天皇に
直訴したいという事らしい。→
門の中に入って 宮内庁の食堂に
押し寄せた人もいた>
<その顛末を報じる新聞を読んで
誰もが ため息をついた。→
皇居の中では 米 魚 肉が
ふんだんに用意され→
壁には 皇族向けの夕食のメニューが
貼り出されていた>
米を出せ!
<空腹を抱え 誰もが怒っていた。→
食糧メーデーに出かけたら
なんと 25万人が集まっていた>
<その5日後
敗戦後二度目の玉音放送があった>
<玉音放送に2回目があったなんて
知らなかった>
<でも 玉音放送の神通力も
限界があるみたいだ>
<ニュース映画では 学生やサラリーマンが
玉音放送を批判した>
<不思議な事に
天皇が神様を降りた途端→
焼け跡には新しい神様が
次々と現れた>
<一番人気があったのは
踊る宗教。→
路上で我を忘れて踊る>
<俺も踊ってみた>
<ますます腹が減った>
政治の世界にも秘密のブラックホールが生まれた。
1月に発せられた
公職追放令により→
軍国主義者 20万人が追放され→
27の右翼団体が解散を命じられた。
衆議院議員も 3割が追放された。
軍国主義の排除は アメリカにとって→
日本の民主化を果たすために