2019/12/29(日) 01:25〜02:25 NHKスペシャル選「東京ブラックホール�U 破壊と創造の1964年」[SS][字]


東京への憧れは現実の厳しさに 次第に色あせていく。
本当に驚いちゃうよね。
放送中止を決めたスポンサーは監督に こう言った。
これは この年に建設された

ある新興宗教の巨大聖堂である。
地方から上京した若者が大量に入信し
新興宗教が急成長していた。
故郷を離れた若者たちの
不安や孤独を受け止める→
格好の受け皿となっていた。


<テレビは夢の箱。この中だけは やたら明るい>
(小雪)ケンジさ~ん。
あっ 小雪さん。
あの… ちょっと相談したいことがあって。
<小雪さんは 横町の団子屋の店員。→
集団就職で 秋田から来た。→
夜は バーテンの見習いをしている>
日曜日 お休みできない?
<デパートの屋上は 遊園地になっていた>
へえ~ 世の中には
こんたの買える人もいるったな~。→
たまげだ。
ケンジさんの夢は?
マンガ家かな。
そうか。小雪さんは?
(小雪)バーテンの学校さ 通ってる。→
いつか独り立ちして お店を持つのが夢だ。
独り立ち…。
田舎には帰りたくない。 ここで頑張る。
ケンジさんは東京の人?
あ~… あの 実は 僕は21世紀の東京から来たんです。
フフッ フフフ… へえ~。
じゃあ 聞くけど21世紀の東京って どんなとこだ?
う~ん…。
あっ 水洗トイレは普及してます。お尻も洗ってくれます。
でも やっぱり… 貧しい若者は多くて→
生きるのは大変で…。
出稼ぎの人は外国から来ます。
…で 今 オリンピックの準備してます。
オリンピック?

うん。 2度目の東京大会 2020年。
フフッ それ
ケンジさんの描いてるマンガだべ!
小雪さん… 相談って何だったんですか?
(小雪)私のお父さん出稼ぎで東京さ来てから 消息不明なの。
(小雪)
ケンジさん 工事現場で働いてたでしょ?
心当たりないかなって思って。
聞いてみます。
ありがとう。
(発車ベル)
(笛)
出稼ぎに行ったまま連絡が途絶えた人が増えていた。
この年 行方不明者全体では
8万人に上った。
東北の村役場は相談者であふれた。
工事現場で事故に遭ったり→
悪徳業者に
だまされたりしたケースが多い。
衝撃的な映像が残されている。
両親とも消息を絶ち子どもたちだけが故郷に取り残された。
「この家では 自分たちで食事を作り→
ボロをまとって寝るという生活をしている。→
父親は 出稼ぎに行ったまま帰らない上→
母親も 子どもたちを捨てて逃げてしまったのである」。
このころ 東京と地方の所得格差は
2倍以上に広がっていた。
しかし その東京の中でも
格差が生まれていた。
貧困の深刻さを物語る ある事件が起きた。

(サイレン)
3月24日 正午 駐日アメリカ大使
ライシャワーが襲われ→
刃渡り16センチのナイフで
太ももを刺された。
犯人は 心を病んだ若者だった。
病院に運ばれた大使は1,000ccの輸血を受けた。
大使は 手術のあと こう語った。
だが 事は美談では終わらなかった。
輸血されたのは
肝炎のウイルスに汚染された→
いわゆる 黄色い血。
売血によって集められたものだった。
ライシャワー大使は→
血清肝炎で長く苦しんだ。
<この街へ迷い込んで一番驚いたのは→
命を削って僅かな金にかえる人がいくらでもいるということだ>
<乳飲み子を抱えた女性が→
朝早く 人目を避けて小さな建物の中に入っていく>
<民間の血液銀行…。→
血を売って生活費の足しにする>
<借金を抱えた人… 仕事にあぶれた人…>
<売血は牛乳瓶2本で1,000円くらいになる>
輸血用の血液の9割は
売血によって賄われていた。
しかし
その2割がウイルスに汚染されていた。
保存期間が切れた血液は 転売されて
化粧品の材料としても使われていた。
オーストラリアが