2019/12/29(日) 01:25〜02:25 NHKスペシャル選「東京ブラックホール�U 破壊と創造の1964年」[SS][字]


驚くべき声明を発表した。
「東京オリンピックに参加する選手は→
日本での輸血を拒否する」。
その後も日本は
オリンピックの準備に邁進した。
日本橋に高速道路がかかり

競技場の建設も進んでいた。
建設業界の受注額は→
オリンピック関連工事の始まった5年間で総額5兆円を超えた。
この機に乗じた公共工事を巡る汚職が
頻発していた。
その数 2,000件。
都庁 建設省 道路公団の役人が→
政治家や業者と結託し 利権に群がった。
夏に入ると 東京では42日間の日照りが続いた。
水源の水量は 僅か3%にまで落ち込んだ。
ダムでは 雨乞いの祈とうが続いた。
<そば屋や豆腐屋は 水不足で休業。→
病院も深刻だ>
<ついに 自衛隊の給水車がやって来た>
<慌てて 俺も バケツを持って駆けつける>
終戦から この年までに
700万人が東京に流入。
高速道路や競技場は出来ても→
人口増加に応えるライフラインの整備が追いついていなかった。
(破壊音)
政府は人々の生活の向上を後回しにして→
オリンピックだけに金をかけていると
批判が集まっていた。
NHKの この年6月の世論調査。


「今年 一番 関心があること」に→
オリンピックと答えた人は 2.2%。
100人中 僅か2人。
開催まで4か月に近づいてもなお
人々は無関心だった。
「オリンピックに
費用をかけるくらいなら→
今の日本でしなければならないことは
ほかに たくさんあるはずだ」。
6割の人が そう考えていた。
<夏の一日 小雪さんの父親を捜して工事現場を歩き回った。→
誰も心当たりがないという>
いえ…。
え~っと…。
<出稼ぎ労働者は使い捨てなのか…。→
2019年も
非正規で働く人で あふれている。→
立場の弱い人たちに
繁栄の恩恵が回ってこないのは同じだ。→
一体 何のための経済成長なのか…>
<早朝アルバイトに出た>
<満員電車の押し屋>
<ハイヒールが散乱していた>
<どうやって
会社まで たどりついたのだろう>
ホワイトカラーが急増し
労働者の3/3を占めていた。
年間の労働時間は
今より600時間も多かった。
会社の成長は 自分の幸せ。

所得倍増を夢みて 深夜まで残業に励んだ。
サラリーマンは 団地暮らしに憧れた。
だが 入居抽選会の競争率は30倍を超える。
当選 130番。 130番。
この夫婦は 25回目の抽選でようやく幸運を引き当てた。
当選までの5年間 佐藤さん一家4人は
4畳半一間で辛抱した。
小さな内風呂を新居に運ぶ。
くみ取り便所とも お別れ。
狭い風呂で 幸せをかみしめる。
長時間労働で不在の夫のために妻は家を守ることを求められ→
専業主婦という言葉も生まれる。
世界でも まれな男だけの企業社会が出来上がっていく。
<オリンピックが2か月後に迫っていた>
<東京都知事の号令で始まった東京浄化運動に→
市民200万人が動員された>
<ゴミだけじゃない 警察も総動員され風紀の粛正が強化された>
<傷痍軍人の募金活動も
取締りの対象となった。→
オリンピックという平和の祭典には
ふさわしくないという>
これは 海外のカメラマンが撮影した
盛り場の映像である。
記者が体験したのは
東京名物 トルコ風呂。
こうした風俗店も
軒並み オリンピックを前に→
取締りが厳しくなった。
盛り場の女性が警察を見た途端 逃げていく。
世界に 先進国 日本をアピールしようと

必死だった。
取締りは 若者たちにも及んだ。
アメリカ風のファッションをまとい銀座をたむろする みゆき族。
警察は みゆき族を非行の温床と見なし
見つけ次第 補導した。
アメリカの雑誌は
東京の若者の変貌を特集した。
<東京の若さに驚く>
<2019年に比べ 16歳も若い>
<俺も踊ってみた。→