藤は咲き始めるんですよね 最初。
ということは 直接当たってる光じゃない
何か回り込んだ光ですよね?はい。
その瞬間
時間で言うと 5分か10分ぐらい。
その5分か10分の間だけ
むちゃくちゃ美しいんです。
他には絶対ない ここにしかない
藤の色を見せてくれるんです。
もう それを見た時に
この藤を 神様の花やって→
神様の藤だって言う人の気持ちは
分かると思います。
藤が自ら光っているように見えるんです。
だからやっぱり そこに神の姿を見ても何ら不思議じゃないと。
それがまた特別な色であれば なおさら。
で 春日大社には 藤だけじゃなくて→
ハス 大賀ハスという
古代ハスもあるんですけれども→
あれも全く同じですよね。
日が昇る前もっと短いかも分かんないです。
2分か3分ぐらいの間だけ
やはり咲いたばっかりのハスが→
自ら輝いてるかのように
特別な色を出して。
ハスの場合は
ほほ笑んでるように見えるんですけど。
その瞬間をね 見せてくれます。
だから どんなものにも特別な色があるんです。
特別な色は 命であったり
そこに神の姿を見たり→
その… かけがえのない
オンリーワンだと思ってます。
保山さんにとって その色というのは
どういうものですか?
私が撮っている
映像の中での色というのは→
一番大切な… 絶対にこれだけは
妥協できないものなんです。
絵を撮ってるというよりも
色を撮ってるという方が はい→
正しいかも分からないです。
自然の中にある本物の色を忠実に撮影して伝えることによって→
初めて その映像が心の奥に届く
っていうふうに 僕は思ってて。
だから あの~ 日本人のDNAというか
そういう記憶の中に→
原風景もそうですけど
その 日本古来の色→
昔から 日本人が 親しんできた色が
DNAの中に入ってると思います。
それを刺激するというか
そこまで届くということで→
やはり本物の色を 忠実に撮影したいと。
でも世の中を見たら ほら あのね→
今 インスタ映えとか
いろいろ言われてますけど→
紅葉の写真とかでもね
みんな あとで加工して。
デジタルですからね 調整できますよね?
真っ赤になるじゃないですか。
例えば 旅行のガイドブック見ても→
すごく色がどぎつくなってるじゃないですか。
で みんなが それを見て→
「きれい きれい」って言うてるじゃないですか。
例えば 夕日の中でもね そういう
一瞬の輝きとかが 必ずあるんです。
その ず~っと同じ赤じゃなくて
そのピークになる瞬間。
朝焼けでもそうです。
本当にこう あとで加工したかのような。
その鮮やかになる一瞬が
必ずあるんです。
それをこう ちゃんと撮れてるかという。
切り取ってくるかと。
美しいものは全て その一瞬だけ輝く。
その輝きこそが美しいんであって。
常にその色があるわけじゃなくて
でも その一瞬だけ輝く瞬間がある。
そこを撮れているかどうか
ということですよね。
保山さんが 映像に興味を持って→
その道を行こうと思われたのはいつごろ…?
高校3年の時の学園祭で
8ミリで映画を作ったんですよ。
で 脚本書いて 撮影して。
で 学園祭で上映した時にね→
お客さんが その映画を見て
泣いてくれはったんですよ。
どういうストーリーだったんですか?
昔よくあったね主人公が白血病で みたいなね→
どこにでもあるような
ストーリーだったんですけど。
そういう映画でも一生懸命作ったら→
お客さんがね 最後はこう泣いてる方もいらっしゃって。
そのね 泣いてる様子を見て
もう なんか衝撃でしたね。
すごく感動したんですよ。
何やろう この感動はと思って。
自分が作ったものでね