2019/12/29(日) 05:00〜06:00 こころの時代〜宗教・人生〜・選「命の輝きをうつす」[字]


5年後 10%から5%ぐらいしか生きれないんやって。
その時に化学療法の先生が さらっと→
「でも 再発してしまうともっと低くなりますけどね」みたいな。
「再発すると保山さんの場合 ほぼダメ」
みたいなことを→
さらっと言わはるんですよね。
その時に初めて客観的に自分の状況が分かって→
そうか 5年は まあ生きられへんから→

3年… そしたら3年生きさせて下さい みたいに。
ちょっと なんか
神頼みじゃないですけど。
せめて せっかく手術も成功したんだから
3年は生きたいなって。
その時に ほんと願いましたね。
3年だけって。
でもね 今 もう5年生きてるわけで。
その5年間の中には 肺がんの肺への転移も乗り越えながら→
今があるんですけど。
手術後も抗がん剤治療を続けた保山さん。
体力勝負のテレビカメラマンの仕事は


続けられなくなりました。
一人 がんと向き合い
孤独と絶望を抱えていました。
まあ がんになった時はね 正直
僕 友達ほとんどいなかったんです。
仕事仲間は たくさんいましたけど。
仕事離れて友達がいてたかというとゼロですよね。
で 仕事仲間も親しいかというと
う~ん…。
恐らく みんな
ライバルばっかりやったと思います。
で フリーランスで いろんな大きな仕事を
させてもらってたんで→
僕がいてなかったらいいのにな
と思ってる人も→
きっとたくさん いてたと思います。
僕が逆の立場でもそう思ってたと思います。
そういう状況で がんになって倒れたって
いったら もうすぐにね 業界の中で→
「保山はもう がんであかんらしいで」
っていうような うわさも広まって→
だから あっという間に 僕は ない人。
存在すら忘れられた人というか。だから その時に思いました。
あ 友達一人もいてない。
で テレビ業界の仲間とも 心でつながってる人なんか誰もいなかった。
仕事ができなくなったら
もう 誰ともつながっていない。
すごく孤独というか 暗闇の中で
一人ぽかんとこう 漂ってるような→
暗闇の中で 自分が 一人がいてて

誰ともつながっていないような。
社会の中で完全に孤立してて。
で その中でがんと向き合わなければならない。
毎日がしんどい。
本当に望みを持てないというか。
でも フリーランスのカメラマンの
看板を下ろせへん理由は→
体が回復したら
もう一回できるんちゃうかって→
その望みは… 捨てたくない。
だから 30年間カメラマンやってきてもう それしかね できへんのですよね。
で 自分のできることは それだけなんで
それで社会とつながりたいというか。
誰かの役に立ちたいというか。
だから… ね。
格好いいことも言ってるかも
分かんないですけど うん…→
本当は情けないというか
思いどおりにいかない。
分かってもらえない。
でも 一人でも伝わる人がいてたら→
自分ができる唯一のことで
その人とも つながりたいし。
社会の中で孤立もしたくないし。
なんか… ね 自分が生きてきたこの世の中に 今生に何か→
お礼というか お返しもせずに
死んでいくのも嫌なんで→
なんか まだまだ頑張れるので 排便障害は
大変ですけど まだまだ頑張れるので→
もうちょっと頑張っていきたいというか。

はい。
そんな中で スマホ スマートフォンで
何か動画を撮り始められたんですね。
はい。
これは どういうもの?
だから その時は まあ
抗がん剤を続けてたので→
毎日 出歩くわけにもいかず→
家の中で しんどい しんどい いうて一日過ごしてて。
で スマホを こう見てて。
あ これ 動画機能があるんやっていうことに気が付いて→
で なんかね
撮ってみようと思ったんですよ。 うん。
ほんなら 自分が一番撮りたいものを
撮ろうって思って。
自分が一番撮りたいもんって
何やろうって思った時に→
それは 自分が一番親しんだ
奈良を撮ろうと思ったんです。
奈良の美しい風景を撮ろうと思って。