≫岡山県の山間部にある西粟倉村は
今、奇跡の村と呼ばれています。
過疎にあえいでいた1500人の村に
延べ180人の移住者が押し寄せ
夏祭りはご覧のにぎわい。
20年ぶりに
新しい保育園もできました。
なんとベンチャー企業が
34社も誕生したのです。
過疎の村をよみがえらせたのは
元々、村にあるもの。
それは
森の中に落ちていた木です。
山口≫今、山の中に
入ってきました。
すごく山が深いですよね。
木がたくさん立ち並んでいます。
≫森林が面積の9割を占めている
西粟倉村。
この日、伐採作業をしていたのは
村で生まれ育った
國里哲也さん、46歳。
村再生のきっかけを作った人です。
先祖代々、森を手入れし
伐採した木材を売って生計を立ててきました。
明治時代から林業で栄えていた
西粟倉村ですが
昭和40年代を境に人も減り
森は荒れ放題になっていきました。
基幹産業である林業が廃れ
財政難に陥った村に
2004年
町村合併の話が浮上。
当時の状況を
元村長はこう振り返ります。
≫住民の反対で
合併の道が閉ざされました。
では、村の財政は
どうすればいいのか。
ヒントとなったのは
國里さんが始めたある取り組みだったのです。
≫森の手入れをすると
必ず生まれる間伐材。
建築資材として
多くは売り物にならず
価値がほとんどなかったものに
目をつけたのです。
≫職人が丹念に作り出すのは
自然な木のぬくもりを生かした
オーダーメイドの
子ども向けの家具や遊具。
こちらの巨大な遊具も
職人の手作りです。
子どもに優しいと
口コミが徐々に広がり
東京や大阪の保育園から
注文が殺到。
年間の売り上げが
3億円にまで成長しました。
タダ同然だった間伐材に
大きな価値が生まれたのです。
≫國里さんが始めた
間伐材の利用を参考に
2008年
村は森の木を生かして
財政難を解決する方針に
かじを切ったのです。
ところが、同時に
大きな問題も浮上します。
山はそれぞれ所有者が
バラバラだったのです。
≫そこで10年間
村が森を一括で借り上げます。
利益を還元する条件で
管理することで
価値を生み出す間伐材を
大量に集めることに成功したのです。
そして
最初に取り組んだのが…。
村の温泉です。
14度という低い温度で湧き出ているため
今までは
灯油を使って温めていました。
そこで、間伐材を使う
まきのボイラーに
変更したのです。
≫更に、間伐材を利用するこんな施設も作りました。
≫この村営の施設に間伐材を
細かくチップにしたものが
運ばれてきます。
チップを燃やした熱でお湯を作りその熱を村の施設の空調に利用。
20年ぶりに
新しくできた保育園で
実用化されています。
山口≫中に入ります。
山口≫ここも
暖かい空気が出てきてる。
≫保育園に使われている木は
すべて村のもの。
もちろん内装の家具は