あ~ これは… あ…。
あ~ これ また随分と書いたもんですね。
草刈さん 何を出してるんですか?
いや これね… これね正吉じいさんのね 日記なんですよ。
明治から昭和まで。
まあ本当に よく書いたもんですね。
日記ですか。
あっ 何か落ちましたよ。
鳥の羽根?
「今日も庭にトキが飛んできた。→
面白い鳴き声だ。→
なんと美しい羽だろう」。
トキ。
佐渡の空を舞う トキ。
学名を「ニッポニアニッポン」といいます。
その美しさは 多くの人の心を捉え続けてきました。
染色家は トキの羽の色を追求。
桜の枝から「とき色」を再現しました。
陶芸家は トキの羽ばたく姿に引かれて
レリーフで表現。
日本画家は 絵の中で
トキを自在に飛ばします。
中国では 美しくも はかない
トキの物語が舞台になりました。
世界中で上演されています。
今日は トキの美の世界へご案内しましょう。
ここに日本人がトキを特別な鳥と
考えてきた証しが伝えられています。
式年遷宮のたびに新調される
「須賀利御太刀」。
天照大御神に奉納される太刀です。
つかの部分に飾られているのがトキの羽根。
1,000年以上前に定められ
受け継がれてきました。
トキは今 ここで命をつないでいます。
トキは とても警戒心の強い鳥。
田んぼで餌を食べていても
僅かな物音で すぐに逃げてしまいます。
佐渡の人たちは
そんなトキを見守ってきました。
佐藤富士美さんも その一人。
野生のトキを見守る監視員をしているうちに→
トキの美しさに魅せられたといいます。
翼を広げた際に見せる桃色の羽。
佐藤さんは 佐渡の豊かな自然に映える
トキの羽の美しさを→
写真に とどめてきました。
トキの生態を見守る…
羽の色について調査を重ねてきました。
内側の翼にだけ色が残るのは→
紫外線に当たらないからだと
考えています。
トキが最初に文献に現れるのは
「日本書紀」とされています。
「桃花鳥」と書く地名があり→
トキの由来になっていると考えられています。
…というのが私の考え方です。
長崎さんが研究で使っている江戸時代の着物の色見本帳。
ここに「とき羽色」とあります。
トキの羽の色が 当時の人々に愛されていたと考えています。
今日 一つ目のツボは…
今もトキの羽の色を追求している染色家がいます。
使うのは桜の枝。
雪の重みで折れた枝を譲り受け染料にします。
細かく刻んだ桜の小枝を
煮出していきます。
40分ほど煮出すと 黄色っぽくなりますが
これは使いません。
2回目からは だんだん赤くなります。
これを10回ほど煮出していきます。
毎回 微妙に異なる赤い色の中から
とき色を探ります。
とき色に近づけるために
色みの違う液を掛け合わせます。
色に深みを出すために
3日から5日 置きます。
とき色を いかに見極めるか。
諏訪さんは味で判断します。
色むらが出ないよう
絹糸に手早く移していきます。
桜の枝の色を呼び起こし
トキの羽の色を思わせる。
15年かけて追い求めてきた
諏訪さんの とき色です。
咲き誇った桜の花びらが
あしらわれました。
トキの舞う姿が よみがえります。
おっ またトキのことが書いてある。
「明治43年10月3日 今日2年ぶりに
やっとトキを見られた。→
歩く姿も愛らしい。
次は いつ会えるんだろう」。
明治も末期になると
トキは少なくなっていたんですね。
上海歌舞団による舞台…
中国 日本 アメリカなどで200回以上 上演されています。
物語は 農業が盛んだった時代。
トキの妖精と農民が恋に落ちます。
♪♪~
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