ダンサーたちは 本物のトキを見て動きを研究し続けてきました。
時代は下り 自然が壊されると→
トキは すみかを失い死に絶えていきます。
剥製となったトキ。
年老いてもなお トキを思う農民は愛の力で復活させます。
中国でもトキは7羽まで減りましたが
日本の技術が繁殖を助けました。
そのお礼に中国から贈られたトキの子孫が
今 日本に羽ばたいています。
今日 二つ目のツボは…
かつて トキは日本各地に生息していました。
しかし近代化に伴い
羽や肉を目的に乱獲。
絶滅の言葉も
ささやかれるようになりました。
トキが最後まで生息していた佐渡で
戦後1人の男性が調査を始めました。
その輪は やがて多くの人たちに
広がっていきます。
当時トキの生態は
ほとんど知られていませんでした。
農薬を使用しない田んぼの生き物を
食べていること。
カラスが天敵だということ。
佐渡中を駆け巡り 突き止めていきました。
しかし昭和40年代 佐渡も開発が進み
森や田んぼが減少します。
佐藤さんは少なくなったトキを追い求め
記録に残します。
こうした成果は後に 日本や中国の
トキ繁殖の礎となりました。
息子の辰夫さんは 父・春雄さんが→
トキの調査に力を注ぐ姿を子供の頃から見てきました。
教師のかたわら 農業を営む佐藤さん。
亡くなるまで調査を続けました。
春雄さんがトキを追い始めてから
およそ70年。
多くの人々の努力が実り
水田には小さな生き物が戻ってきました。
今 400羽以上のトキが
佐渡の空を舞っています。
昭和27年か…。
「とうとう特別天然記念物に定められた。→
このままでは いなくなってしまう」。
ここは 文字が にじんでるな。
これは正吉じいさんの涙の跡か。
本当にトキに心を寄せていたんだね。
新潟港と佐渡を往来するフェリー…
船内のロビーで乗客を迎えてくれるのは→
およそ縦3メートル 横2メートルの
レリーフです。
レリーフの材料は 佐渡の土。
大空と波間を5羽のトキが羽ばたいています。
制作した池田脩二さん。
佐渡で生まれ育った陶芸家です。
40年の間 佐渡の土で
トキのレリーフを作り続けてきました。
モチーフとしたのは 子供の頃
近所の田んぼで出会った 幼いトキでした。
トキらしさっていうのかな。
最後の5羽をレリーフにしてから 32年。
池田さんは 今もトキの羽ばたく姿に
心を砕きます。
まず心象風景のトキを絵に起こします。
何度も描き直しながら 躍動感あふれるラインを探し当てていきます。
ブレンドした粘土を 型に入れていきます。
トキの姿によって 鉄分の多い赤土と少ない白土を使い分けます。
池田さんのトキが現れました。
こうして生まれたトキはいろいろな場所で羽ばたいています。
今日 三つ目のツボは…
こちらの寺では4年前にふすま絵をトキにしました。
大空へ飛び立とうとする一瞬の姿が
繊細な筆遣いで描かれています。
制作したのは本多孝舟さん。
40年間 トキを描き続けてきました。
本多さんが初めてトキを見たのは 29歳。
佐渡を訪れた時でした。
本多さんの心を捉えたのは
「キン」と名付けられた日本最後のトキ。
保護センターで飼育されていました。
当時のスケッチです。
これが きっかけで
トキを描き続けることになります。
本多さんは
現在は佐渡にしかいないトキを→
東京や岩手など各地の風景とともに
描き続けてきました。
多くの人の心を捉えたトキ。
さまざまな表現を通して各地で羽ばたき続けています。
なんと とうとう
この日が やって来ましたよ。
正吉じいさん
昔の光景が よみがえってきましたよ。
ハハハハハ…。
♪♪~
2020/01/05(日) 23:00〜23:30
NHKEテレ1鹿児島
美の壺・選「大空に舞う トキ」[字]