2020/01/07(火) 00:20〜01:10 プロフェッショナル 仕事の流儀「芸能プロ社長・渡辺万由美」[解][字][再]
あるんじゃないですか?
「人に勝るものがない」と
常々語る渡辺だが→
才能を発掘する眼力は
業界随一とされる。
この日は 毎週100通以上送られてくる
という履歴書から→
次なる時代の顔を探していた。
(ノック)
この日 年に3回あるかないかという
社長面接が行われた。
俳優志望の 高校2年生。
書類審査とマネージャー面接をくぐり抜け渡辺のもとにたどりついた。
(笑い声)
これといった質問はないまま 面接は終了。
別れ際 渡辺は一つのことを提案した。
はい。
渡辺は 彼の雰囲気に
ピンと来た様子だった。
だが 社長の独断というものを
渡辺は極度に嫌う。
事前に面接したマネージャーにも
その意見を 逐一 聞き始めた。
人を見極める時
渡辺が 最も大切にすることがある。
渡辺は言う。
「売り込むより求められるアーティストを育てたい」。
選ばれる人になるために
何よりも欠かせないのが 努力。
あの高校生にも その才能があると
見込んだ。
だが 惚れ込んだ才能が すぐに
花開くほど甘くないのが この世界。
映画会社幹部との会食で
話題に上ったのは→
一人の人気俳優だった。
え~! そうなんだ。
好きです。
ごめん 鈴愛ちゃん。
32歳。
去年の朝ドラで人気に火がついた男性アーティスト一番の古株。
(渡辺)お疲れさまで~す!
中村は15年前 高校2年生の時渡辺のプロダクションに入った。
「この日 渡辺は…」。
(笑い声)
おいちゃん。
ん?
ここのレストランち
いつ開店する予定なんか?
2年後の18歳 朝ドラに抜擢。
とんとん拍子で行くと思いきや知名度は 一向に上がらなかった。
だが渡辺は ことあるごとに言った。
「あなたは そのままでいい」。
私の小さな体は この大きな世界に
嫌気がさしている。
だが 他のプロダクションであれば
契約を終了されても おかしくないほど→
稼ぎは上がらなかった。
実質 赤字。
それでも渡辺は 15年間
契約を更新し続けた。
♪♪~
15年の時を経て 今 中村にはオファーが殺到するようになった。
ハハハハハハ!
こぼさないで下さいよ。
早いですね 今日は。
今日 初日ですから。
(笑い声)
♪♪~
(鈴の音)
渡辺さんには毎日 欠かさないことがある。
それは 母の住む家に行き
亡き父に 手を合わせること。
父 晋さんは
今日の芸能界を形づくった 伝説の人物。
でも渡辺さんにとって その父は
あまりにも遠い存在だった。
晋さんは 戦後間もない日本で→
屈指の人気を誇ったジャズバンドのメンバーだった。
時代は 戦後の混乱期。
俳優や歌手の地位は低くその日暮らしの人も少なくなかった。
業界を根本から変えようと→
晋さんは妻の美佐さんと→
芸能プロダクションを
立ち上げた。
所属タレントの生活を安定させるため
業界で初めて 月給制を導入。
更に アーティストの権利を守る仕組みを
次々とつくり上げていった。
♪♪「スイスイ スーダララッタ
スラスラ スイスイスイ」
「時代の顔」を次々と世に送り出し→
芸能界の地位を押し上げた。
でも 渡辺さんは複雑だった。
アーティストの育成に力を入れていた父は→
家にタレントを住まわせ
家族のように面倒を見た。
渡辺さんは
そんな家が好きになれなかった。
「普通の親子のように 父と話したい」。